Cooper Journal: Personas『ペルソナ/シナリオ法による商品・サービス開発』
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ここちよい体験のためのデザイン ペルソナ手法とは?
IBM のデザイン
Paul Rand
Richard Sapper
デザインと感性の両立
四国 Noguchi Isamu のミュージアム
自宅と会社の他、サードプレイス
スターバックス。音楽レーベルを作ってくつろげる体験。
iPhone.
soft device
90% は普通のタッチパネルの UI と変わりない。
iPhone は 10% の違いが重要。
Jobs の考えで良い体験が得られること。
デザインとは?
色やかたちのこと? もの中心のデザイン。
お客様に満足してもらう。人間中心のデザイン
お客様満足度のために
「お客様が満足するためには」は「ユーザー中心の考え方」を徹底すること
ユーザーにスポットライトを浴びさせ、いつも使う人のことを考慮しながらデザインをする。
そのデザインのやり方を「人間中心設計」と呼ぶ。
対象ユーザーの理解
ユーザー調査を通して対象ユーザーを理解して、情報を理解しやすいように表現する
プロトタイプ
対象ユーザーが心地良い体験をするための仮説(アイデア)を視覚化する
ユーザー評価
仮説(アイデア)が対象ユーザーにとって心地良い体験であるか、評価する
もの作りの最後の方で評価することが多く、出来上がりが近いと
実際のところ改変が出来ない。非常に早い段階で評価すべき。
デザイン分野の日本人はあまり手法とかプロセスが好きでは無い。
4-5年前 US のデザイン会議に、日本人が誰も居ない。USの代表的企業が集結している。
(参加者は プロダクト、車会社、テレビ局、ディズニー、スターバックスまで)
ほとんどの人がペルソナ手法を知っている。企業の中で実際に使っているのは半分くらい。
US では様々な手法を知っている。自分のビジネスやデザインにどう活用するかが議論の対象。
日本では手法自身も知られていないし、手法に対して興味がもたれていない。
US ではペルソナ手法を活用してビジネスで実績をあげている。
現在は、広告や宣伝をあまり信用しないようになってきている。
友人や知人の体験を信じる。
コストの削減:無駄なものを開発しない。
購買動機になるのか。本当にその機能を使っているのか。
IBM のホームページビルダーは開発に数億円かけたが、ムダだったかもしれない。
■統合的なお客様体験を考慮した、人間中心設計手法の効果
お客様満足の向上/ブランドイメージの向上/コストの削減/差別化の確率
対象ユーザーを分かりやすくしているのが、ペルソナ手法。
■ペルソナとは
Goal Directed design (Microsoft アラン・クーパー / Visual Basic )
対象ユーザーの設定/ペルソナの目標の設定/ペルソナのシナリオの設定
シナリオはユーザーが明確で、ゴールが明確でなければいけない。
■たった一人のためにデザイン
100% の人をそこそこ満足させるよりも、10% の人が 100% 満足するように。
機能を多くすれば、その機能を必要でないユーザーには障害にしかならない。
■シナリオの構成要素
1. アクタ(ユーザー)
2. 背景情報、文脈情報
3. 目標(期待)
4. アクションとイベントの例
■ユーザー定義の要素
ユーザー基本情報
名前、年齢、男女、家族、職業、環境
特徴(身体、認知、文化、性格、興味)スキル、知識
ユーザーの役割
ユーザーの目標
ユーザーの好み
ブランドを意識せずにユーザーの意見を聞いても仕方が無い。
音の良いノートパソコンが欲しいユーザーは、IBM をチョイスしない。
SONY や Apple に音の良さを求める。
■ペルソナ手法のメリットとは?
ユーザー像理解の促進:専門家でない人にとってもユーザー像が分かりやすい。意識して企画/開発できる
コラボレーションの促進:部門間で共通の対象ユーザーを意識することができる。
異なる部門間で統一のユーザー像によりコラボレーションしやすくなる。
創造的なデザイン:開発者やデザイナーがより創造的な活動ができる
より革新的な提案をすることができ、説得力がある。
効率的なデザイン検討ができる。
どちらがいいものかの議論は、対象ユーザーが違うだけの場合がある。
効果的なユーザー評価:共通のユーザー像をもとに評価することができる。
同じ商品でも部署によってユーザー評価が違う。これは対象ユーザーが違うから。
被験者を集めるときのガイドに活用できる。
ユーザー評価でイイ結果を出してほしいという、意味のないユーザー評価は無意味。
市場の定義
ユーザー情報と競合商品情報の理解
コンセプトデザイン
設計の洗練。
■ペルソア手法の課題
必ずしもうまくいくわけではない。
人間中心設計手法の導入がまず重要
関連部署が納得できるペルソナを構築
ペルソナを効果的に活用
広告戦略のシナリオ、セットアップのシナリオ
ユニバーサルデザインへの対応
高齢者など、何人かの対処となるキャストを多く設定する。
■イノベーションとは
あたらしい発明や技術のこと:技術イノベーション
人間や社会にうれしい、新しい価値を提供すること:デザインイノベーション
■デザインイノベーションのための5つのアプローチ
Human Centered Design Approach : 人間設計アプローチ
ユーザーとの対話の中より、発見をする
Smile Design Approach : 統合的な満足度魅力を考慮。アートの活用
Multidesciplinary Collaboration Approach : 異なる分野の専門家によるコラボレーション
参加型デザイン
Scenario Based Design Approach: まずゴールを描く、視覚化する
デザインイノベーションのための図面(デザイン)
Prototype Driven Approach:まず作ってみる。ゴールを体験できるようにつくってみる。
ユーザーがどのように感じるか、確かめる。
http://kazkazdesign.blogspot.com/
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ペルソナ/シナリオ作成のための具体的な実践テクニック
情報構造
情報の組織化、構造化、意味の定義
表現
携帯/色彩/ラベリング
振る舞い
動作速度/アニメーション/音声
情報構造
階層/コンテンツの階層構造化、利用者の操作手順、画面内での情報のレイアウト、UI要素の特定
表現
視覚的表現、言語的表現
振る舞い
アニメーション/言語的表現
1. ユーザー調査
2. ワークモデル分析
3. 利用者情報の統合
4. ペルソナ/シナリオ
5. モデリング
6. プロトタイプ
7. ユーザーテスト
8. デザイン FIX 〜実装へ
■グループワークを重視する
ヒトとモノの相互作用は可視化・ドキュメントが難しい
みんなで手を動かしながら考えることで、利用者の経験を共有することが必要
■ユーザー調査のポイント
1. 利用者の声を聞くのではない。
利用者の声(意識している部分)だけを聞かず、その認識がなぜ生まれたかの背景を明らかにする。
2. 利用者自身を知るのではない。
利用者と利用の目的・利用対象物の関係を理解する
3. 「当たり前」を疑う姿勢が大切
利用者の当たり前、調査者の当たり前の背景にあるものを見る
紋切り型のレッテルをはらない「あの人は○○タイプだよね」はダメ。
■5つのワークモデル
1. フローモデル
ある仕事が複数の人間で分担された場合の必要なコミュニケーションの流れを示すモデル
2. シークエンスモデル
特定の人の行動がどのような手順でおこなわれたかを時系列で表すモデル
3. アーティファクトモデル
ある仕事を行なうなかで人が利用する人工物や、ノートやメモなどを作成して利用する情報の関して記述するモデル
4. 文化モデル
利用者が生活や仕事を行なう環境において、利用者の行動に影響を与える人やルール、その影響範囲を書き込んだモデル
5. 物理モデル
利用者や生活や仕事を行なう物理的な環境について考察するモデル。
■ペルソナ基本文書を作成する際の注意点
1. どんな項目を基本文書に含めるかは、何をデザインするかにもよる
2. ただし「写真」「名前」「役割」「ゴール」は最低限含める
3. ありきたりな項目ばかりを集めた典型的なユーザ像をつくらない
4. ペルソナは実在の利用者のデータを元に作成するが、すべてが事実というわけではない。
こうなって欲しいという部分は創造性が必要。
5. ただし、項目間に矛盾がないよう、項目間の関係性を十分考えた上で作成すること
■ペルソナのまとめ
○ペルソナとは、ヒトとモノとのインタラクションをデザインする際に有効な手法
○インタラクションデザインには、デザインコンセプトを決め、要求仕様を抽出するまでの
上流行程と、要求仕様を実現するために「情報構造」「表現」「振る舞い」を決める下流行程に分けられる
○ペルソナ/シナリオの作成を含むユーザー中心デザインは、みんなで手を動かしながら
考えるワークショップをベースに進めていく
○ユーザー調査で大事なことは、当たり前を疑い、実際の利用者の行動を発見すること。
○利用者の行動を理解するためには、ワークモデルを使って図式化し、構造を把握することが重要。
○行動パターンの類似を見て、利用者のグルーピングを行う。
○ペルソナ/シナリオは、どんなインタラクションを実現するかを描いたデザイン・コンセプト。
○シナリオはユーザ視点でユーザーの要求が抽出できるように描く。シナリオに描かれた物語
自身がインタラクションのデザイン。
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ペルソナ戦略の可能性 〜実施事例からみる活用方法例
エディズハウスの完成後、ペルソナを活用。
鈴木エドワード氏とダイワハウスの共同開発
効率的な Web 販売。顧客の顔が見えない。ペルソナ戦略の活用。
ターゲットとする人物像を明確にし、彼らが顕在的かつ潜在的に欲する製品(モノ)を企画。
興味・関心を示していただくお客様を的確におさえ、モノを確実に届けるコミュニケーション
(ヒト)を用意し、的確な届け方(プロモーション)を用いて、受注へ繋げる。
全ての基準として、仮想顧客像が存在する。これは社内のベクトルを合わすためにも
重要な要素になる可能性がある。
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Q. 企業でペルソナ手法を採用するためのコツ
A. 会社の中で評価基準が決まっている。数字をあげて、結果を出せば、理解してもらえる。
協力者を募って、少しづつ味方を広げていく。
ペルソナを使って「売れる」と理解してもらえる。
トップの人に納得してもらわないと難しい。
トップが一回やってみようと思わないと、ボトムアップだけでは難しい。
トップを説得しないとダメ。プライベーソセミナーに、トップが出席してもらう。
ひたすらペルソナ手法を知ってもらう場を地味に続けていく。
Q. グローバルな製品やサービスを作るとき、海外の人のペルソナを作るときには?
A. ある程度世界で通用するペルソナを作っていた。
世界のいくつかの場所で地道にインタビューを行なう。
共通項目を見いだして、グローバルに国や地域とは関係の無い、ユーザの目標、ゴールを設定する。
実際のインタビューだけではなく、ユーザに直接接する人たち(営業、サポート)の声を世界中から集める。
ペルソナが各国バラバラでは意味が無い。ユーザを理解する意味では、共通点を見つけて、ペルソナ自身の数は多くなくていい。
ベースにある価値観は国によって文化の違いがあっても変わらない(経験値)
海外のペルソナを作れる会社に依頼するととんでもない金額になる。
現地の普通の調査会社を使い、日本側でコントロールして行なう。
Q. ペルソナ手法のコストが社内で無かった場合、自分たちで行なう方法は?
A. トップダウンで費用を使うことができた。
「ペルソナ」という言葉を使った時点で説得が難しい。
他の言葉で言い換えると伝わりやすい。
定量調査に関しては既存の範囲でもできる。
質問の設計、簡易的なサポートをしてもらいコストダウン。
ペルソナを作る作業は専門家にごく狭い範囲のみお願いする。
自分なりに手法を勉強すれば、それほど難しいことでは無い。
全部外部の会社に出すのは良くない。
自分たちが足りない部分は外部の会社にお願いするけど、
社内に普及させないといけないし、中の人達が調査の様子を見ていたりしないと、
ペルソナの重要さが浸透していかない。中の人が積極的に作るのが良い。
足りない部分は外部の会社にサポートしてもらえば良い。
Q. 社内側はどういうメンバーを選定すれば良いのか。進めやすい人数と期間は?
A. 10人から 15人くらいのコアチームが理想。ワークショップのことを考えると 10人以上いると話が散漫になりがち。
どんな人を集めれば良いか:すくなくともデザイン、企画に関わる人は1人づつでも良いので必ず参加する。
実際が調査を行なってペルソナが出来るところまでは 二ヶ月程度。
コアチームと、参加者は分けた方がいい。代表する部門の重要メンバーは入れる。
ある部門を外すと、協力が得られにくい。
調査対象のリクルーティングに時間がかかりがち。全体で三ヶ月みておいた方が安全。
ユーザの取材、定量調査に一ヶ月。ペルソナ作成に一ヶ月。
営業系、デザイン系、設計デザイン系、宣伝系、マーケティング系、ペルソナ専門家の参加。
Q. ペルソナ手法は今あるものや、今使っているものを観察して有効な手法。
まだ全く存在しないものに対しても使えるのか?
コンセプト自身を受け入れてもらえるのかといった評価はできるのか。
A. 今まで無いものを作り出すにはペルソナ手法は有効。
今あるものの改善にも使えるけど、
IDEO もユーザーを観察している。
プロトタイピングし、その評価を行なうというサイクルをまわしていく。
ユーザがペルソナの設定をどこまでするかによる。
携帯電話でどうメールを送っているのかという細かいシナリオ設定をしてしまうと限定される。
新しいものを作るときは、現状のサービスを含めないペルソナ、シナリオにする。
インタラクションシナリオ、対象物が明確なシナリオ。
アクティビティシナリオ、あえて対象物を書かないで、新しい発想を得る。
新しいものを生み出すにはそのためのシナリオが必要。
逆に小さな発想になってしまう心配もある。
考慮してペルソナのシナリオを作る必要がある。
改善の時は、現状の問題を分析したり、現状のユーザーを観察したりすることの方が重要。
新しいものを作るときはプロトタイピングに時間と費用をかける。
問題解決型にやっているところが多くて、勘違いされがち。
新しいものをデザインしたり、新しいものを設計するための手法である。IDEOがとても良い例。