7/12/2008

[&] iPhone 3G


林(nobi) さん x 及川さん による iPhone 3G 対談

■歴史的ターニングポイント

及川:
どれも同じようになってきて、持つ喜びが無い。
欠点さえも愛してしまえるような、もつ喜び。
昔 Mac のサウンドレコーダがあった。わざわざタイマーのために手間をかけた。
職人のこだわりが見えると、製品を愛してしまう。
日本の携帯電話は完成しているけど、各社かわらない。
iPhone には足りないところがいっぱいあるけど、
いろいろなことを思い出して。

林:
90年代はスペックシートの文化
機能の量から機能の質の時代。体験を優先する文化へ。
2007/1 に iPhone 発表時。
Apple が電話を変える。
初めアメリカで発売されたにもかかわらず、日本のメディアで紹介された。

今までの携帯電話の概念を超えた。壊した。
一般大衆消費財になると、スペック、機能比較に陥りやすい。
デジタルカメラの画素数の競争が典型的な例。

日本のこれまでの
カメラの画素数ばかり考え、何に使うのかを考えなくなってしまった。
Apple は噛み砕いた形で作り上げた。

日本の携帯電話はサービスが便利なことによって、便利だと勘違いしている。
iPhone はベストなタイミングでやってきた。
コミュニケーションが変わってしまう。

iphone が登場しなくても、ゆるやかに変わってきたと考えている。
日本の携帯電話にもフルブラウザはあるけど、なかなか使いにくい。
ビジネスモデルとして公式サイト、いったん登録して、
キャリアとコンテンツホルダーがもうける仕組みが作られてしまった。

おかしいと思っていたところに、黒船が登場した。
日本の携帯電話業界をゆさぶっているのが iPhone.

実はパソコンにも同じことがあった。
PC-98 非常に良くできたマシン。
電源を入れると完璧に動く。日本のクオリティの高さを示している。
世界の優秀なソフトウェアがなかなか使えなかったりした。
コンパックショック。IBM 互換機が一気に入ってきた。
日本のパソコンベンダーも IBM 互換機になってきた。
それまでの技術を生かしたまま、移行してきた。

ガラパゴス化と言われる日本。

iPhone の Web ブラウジング機能が革新的。
パソコンで行なっていたことが iPhone のメールと Web でほぼ完全に代行できる。
フルブラウザ的機能が簡単にできる。
簡単に使えるようになったので、
Google の調査では iPhone が使えるようになったので 50倍のアクセス。
シェアではまだブラックベリーにかなわないけど、アクセス量は iPhone が圧倒的。

iPhone だと 1台で足りる。
フルブラウザだと機能が足りない。
iPhone は見やすい画面ということが圧倒的。
視野角が iphone は広いので、みんなで見られる。
Safari でダブルタップで広がるのが素晴らしい。
カラム幅に合わせて表示してくれるのが画期的に使いやすい。

テレビを見ながら携帯電話を使っているユーザーが多い。

インターネットは所詮、書斎や仕事場の世界だった。
ポケットから出せる世界になる。キッチンなど、その場できることが
重要な価値を生み出す。

今回 GPS機能がついている。
geoTag がデフォルト YES になっている。
GeoTag がつくことによって、大きく変わってくる。

機能がうまい具合に詰まっている。
開発者らがインスパイアされる。機能からおもいつくものがある。
デザイナや開発者が、刺激を与えている。
Apple がすごいのは、標準アプリが開発者の手本になっているもの。
一つの世界観が詰め込まれている。

地理情報の取得がライブラリ化されていたり、開発者のことが考えられている。
昔の Mac の開発の志が iPhone で再現されている。

未来永劫、電話というものが変わってしまった。
Iphone で通話+ web2.0 が使えるものに。
IM や SNS, 主要なコミュケーション要素がすべて含まれている。

アップルしか出来なかったイノベーション!
垂直統合、水平統合することによって産業が活性化する。
end-to-end
実際のユーザが使うのを考える。一つのデザインとしての完成度が重要。
クリエイティブなものはコンセンサスではなく、
優れた人がやることによって完成するものがある。

どうやって携帯つくっているかというと、
春モデル、冬モデル、数件機能を付け足すだけ。
すごく分業が進んでいて、スペックシートで実装しているだけ。
それでいい「体験」を生み出すわけがない。
すべてを監督できる誰かがいないといけない。
エグゼクティブプロデューサが必要。

■ハードウェア、ソフトウェアとしての画期的な点

画面が大きい。
加速度センサーが化けるような気がしている。
モスキート:つぶれた蚊が表示される。
ゲームデバイスとして考えると、ボタンが無いのが
かえって逆にいいチャレンジを与えてくれている。
フリック操作で十時左右の操作をさせるなど。

制約があるほどクリエイティブなことができる。

制約があった方が面白いものができる。
ゲームデベロッパが挑戦している。
日本のゲームベンダーがチャンスだと思う。

新たなゲームデバイスとして見ると、
カートリッジなしに配布。
GPS, 加速度センサー、ネットワークが使える。

iPhone だと 9.99ドル、スーパーモンキーボール DS だと19.99ドル

DSはインターネットにつながるけど、いつでもどこでもではない。
iPhoneはフリーの面白いクライアントがいっぱいある。
ゲーム機はオープンに開発に参加することができない。

iPhone 3G はゲーム業界にとって大きなターニングポイント。
iPhone は「携帯」とこだわらないほうがいい。
iphone は携帯電話を作ろうとしてのではなく、
「新しいもの」を作ろうとした。

新しいものを作るとき、
ウォークマン)いよいよ悪いものがある。
いままで無いものにマーケティングをしても仕方が無い。

完全に新しいもので、新しい業界を作るようなもの。

結構知られていないところ、
iPhone は画面の上でのユーザインタフェースがすごいと思われているが、
画面の上だけではない。

ヘッドフォンを使って一時停止ができる。
ヘッドフォンを抜くと一時停止になる。
マナーモードかどうかが物理的なスイッチで手探りでもわかる。

加速度センサーを内蔵しただけで、ゲームレベルで満足してしまう。
機能を搭載することも大切だが、
こころのそこから感心/感動できることが大切。
iPHone は、いろんなことのお手本になっていく。

持ったときの喜びまで追求できているのか?

ソフトウェア、日本語入力がすごい。
日本の携帯電話の入力に慣れた人も高速に入力できる。
ラーニングカーブに合わせてより素早いユーザインタフェースになる。

ゲームからユーザインタフェースを学ぶ。
特に学ばないでも最初からユニバーサルに使えるのがゲームのユーザインタフェース。

女子高生が「おやよう」を「ぉはよう」 とするのは、
#を押すと逆順で入力できるから。

■何からなにまで一台のコンピュータに頼る生活からの脱却。

mobileme でインターネット側にすべての情報を持つ世界。
iPhone がなぜ登場したのか。
パソコンは新しい時代に。パソコンを中心に同期することによって、
生活の中にあるデジタルデバイスが便利になる。
パソコンへの依存度が緩くなっていく。

Apple TV Take2 リビングに置くものから、新しいステージに。
ハードウェアとしてのこだわりは無くなって、
いろんなデバイスに MacOS が入って、様々につながっていく。

デジタルライフスタイルは中心がパソコン中心だったものから、
ipHone を中心にしたものへ。

携帯電話はデジタル機器のなかで唯一みんなが持っているもの。
家電やエアコン、テレビの録画まですべてをコントロール。

ライフログの考え。写真/ビデオ/駅の乗り降り。
日本の場合、個人情報保護法で、利用への歩みが遅い気がする。

個人の責任で判断し、便利になって欲しい。

Twitter 、今でどこやっている
今まで見えていなかったものが可視化されている。
イベントの時の同期性も素晴らしい。
コミュニケーション 2.0

■世界観

「世界観」重要なキーワード。
一番の違いは世界観が描けているかいないか。
機能の相対的な違いばかり競争している。
イマジネーションの部分を膨らませている。

いらないと Apple が考えているものは潔く切り離している。
赤外線もメモリカードも無い。
割り切りは必要。

日本人は高機能思考。
年に一日しか使わない機能が欲しくなってしまうのはおかしい。
統合する部分に議論が少ない。
iMode も進化はしているけれども、根本的な進化は無い。

iPhone は Flash が搭載されていないので、
Ajax を使ってがんばろうとしている。
日本の携帯電話は JavaScript が動かない。Flash Lite を使うようになっている。
Iphone は JavaScript が動くので Web スタンダードの世界。

■ソフトウェアのグローバル化

AppStore もすごい。
10MB 以下は 3G/itunes でダウンロードできる。

国ごとに無いアプリがある。
iPhoneを通して世界進出できる。
国情報。無料ダウンロードの部分に関しては、世界へ。

日本から世界へ。
世界から日本へ。
日本へチャンスを与えてくれる。
ゲームなど、言葉が要らないものもある。
日本では廃れてしまったゲームもアジアのどこかでこれから流行るかもしれない。
マーケットが広がる。
iPhone というものを通して、日本が世界進出する可能性がある。

お財布ケータイ。
felica の開発者には Jobs に世界観を説明して説得して欲しい。
iPhone に搭載して欲しい。

■ ガラパゴス化した日本

シンガポールと香港では Felica の仕組みは使われている。
QRコードも日本から広がっている。

サービスのグーバル化。
予約システムなどが、日本語でしかできない場合がある。

社会のグローバル化が進んでくる。
いままで遮断されていたサービスが世界に、海外に広がる。
ローミングにはキャリアにがんばってほしい。孫さんにがんばって欲しい。
public WiFi が少ない。
日本はセキュリティ、
まずは文句を言われないことを考えてしまう。
US はまずユーザにどう喜んでもらえるかを考える。

■通信のところをどうにかして、iPhone をきっかけとして
広がってほしい。
スターバックス = 無線 LAN がある場所(日本意外)
その場で音楽を買うことができる。
今は進化の途中でしかない。
地理情報を結びついた形でサービスが提供される。
駅というものが情報ハブになっていく。

■二台目の携帯として使うか?

お財布ケータイ以外は すべて iphone にリプレイスできる。
ポイントカードも入れられる。
着うたフルを買いまくっている人。
携帯電話だけのサービスを使いまくっている人。
一人 2台もっているのが普通の国もある(西ヨーロッパ)
日本の携帯電話にどれだけつかっているのか。

iPhone がどれだけ売れるか? 予想は? 分からない。

iPhone がいきなり市場が独占することは無い。
が、
閉塞感を打ち破るきっかけになる。
日本のベンダーから匹敵するものがでてくる?

■日本にとって厳しい?明るい?

使う人達のイメージ力しだい。
使う側の心の準備による。
iPhone の救われるのは楽しいし、ポジティブな気持ちを ON にしてくれる。
生活の中の時間を素敵なものにしてくれる。

すごい明るい未来が開けている。
「楽しい」
ユーザも楽しいし、開発者も楽しい。
これですべて。

インターネットもまだちゃんと使い物にならない頃から、
ワクワクして使ってきた。
負の部分もあるけど、もう無い世界は考えられない。

iPhone は明るい未来を考えていて、明るい未来を作っていく!

7/19 (土) 11:30 BS朝日 で放映。