OpenSocial - Google CodeDeveloper Summit に参加してきた。
Objective-C の話は、ああ大学の先生の話だな〜という感じ。
Ruby のまつもとさんの話は、プログラミング言語に対する情熱が
溢れ出てくる感じで素晴らしかった。10年後に主流の言語は何なんだろう?
LivingWorld 西村さんの話は、納得するところが多々あった。
この微妙な感覚が参加者の他の皆さんにも伝わっているといいんだけど。
JavaScript の JIT の話は、すごくよく調べてまとめてあって技術者らしいプレゼン。
でも数日前に Google Chrome DEV V8 の正規表現ライブラリ、
がらりと変わったんだよ〜と言いたかったけどやめた。
(訂正:僕の勘違いでした。最新版を元に話されていたようです。すいません。)
パネルセッションは Open Social,
豪華メンバーであるとともに、モデレータの司会が絶妙でした。
OpenSocial は仕組みとしては素晴らしい、
だけど、OpenSocial の上で何か作れば成功するということではなく、
土壌が広がる、使ってもらえる可能性が広がるだけ。
「ソーシャル」なポイントを生かした素晴らしいサービスを作るのは
やはりとても難しいこと。いろいろ考え尽くして、
便利で新しくて楽しくて無くてはならないサービスを作らなくては。
そんな風に思いを馳せて思い出したのがこの本
[
グランズウェル ソーシャルテクノロジーによる企業戦略 ]
以下、パネルセッションのログ。
2009年、OpenSocial 普及元年に「これから」を大予言
developer summit / OpenSocial 2009/Feb/12
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モデレータ m; 川崎:リクルートで OpenSocial にプラットフォームとコンテナで取り組んでいる。
i; Google 石原:開発者により使ってもらうのが仕事
o: mixi 小山:Mixi でも企業開発者に使ってもらうよう広めている
k: NTT レゾナント 北村:Goo での利用。Sindig, 仕様策定にも参加
s: あゆた 白石 :グローバル市場を目指す
t: グルージェント:田中:世界中プラットフォームが多い。アプリケーションの先にユーザが居る
使った人の声を聞くことが重要。ランキングやライフサイクルも気にする。
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■ OpenSocial の現在(コンテナ編)
■ OpenSocial の現在(アプリケーション編)
■ UIとユーザエクスペリエンス
■ OpenSocial とビジネス
■ アプリケーション開発の進め方
■ OpenSocial 今後の進化
■ Q&A
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■ OpenSocial 概要
i: OpenSocial で作るとグローバルに展開できるということだが....
2007/1 以来、一年間で 6億人以上のユーザ、さらに成長中
OpenSocial の使える国が広まりつつある。もちろん日本も。
どれくらい? 3.15 億個以上のアプリケーションがインストールされている。
850万のPV、7500のアプリケーション、200以上のコンテナ
■ OpenSocial の現在(コンテナ編)
o: まだクローズドベータの状態なので、目にしている人は少ない。スナップショット程度の紹介。
マイミク占いなど。mixi ユーザーのプロフィールページに貼付けることができる。
数が多くなるとレンダリング時間がかかるのでおすすめしない。
mixi のユーザートップページにもはることができる。アクティビティ通知ができる。
自分が進めたアプリケーションを友人が通知したことや、アプリで買い物したことなどが分かる。
友人から知って、自分も使ってみる。
@Canvas, @Profile, @Preview(アプリをインストールしていない人が見られる), @Home
@Mixi できるだけ色んなところで動かしたい。日記の中で動かすことも考えている。
日記を起点にすると、いろんなことができる。日本固有の広まり方だと考えている。
m: あまり具体的な例はでていない?
o: リクルートでも mixi のアプリを準備中。
m: 日記でも見られるのは日本的な要素
k:goo ホーム 2007/10 スタートした goo の SNS
goo全体をソーシャル化するのを目指している。すでに 10個のサービスがソーシャル化している。
goo地域でお気に入りのスポットを登録できる。
4つの新機能を紹介:OpenSocial に対応。外部サービスのインポート。
アクティビティストリーム、デザインテンプレート
v0.81 に準拠。ガジェットを募集。開発環境としてのサンドボックスを提供。
外部サービスのインポート:Twitter など人気の 30のサービス。
アクティビティストリーム:gooホームのアクティビティ、外部サービスでのアクティビティ
デザインテンプレート:CSSを自由に編集。サンドボックス環境。
@home にすると、ガジェットを全画面で表示できる。
ガジェットディレクトリ(ギャラリー)から検索してもらって追加してもらう。
開発環境:動作を確認しながら XML を微調整していくことができる。
ガジェットを開発して、どのように実際ユーザに使ってもらうかの流れ
1. サンドボックス登録申請
2. ガジェット開発
3. 公開申請
4. 本人確認
5. 一般公開
3月中旬、登録募集開始。4月オープン
http://developer.home.goo.ne.jp 現在は開発者ブログのみオープン
m: goo の現在の機能だけではなく、外部のサービスも取り込む
t: いよいよ日本でもオープンソーシャルが始まるなという実感。
サンドボックスで登録して、開発する。開発中のテストで、他人に迷惑をかけてしまう。
k: goo ホームでは、全く別な環境サンドボックスを活用できる。
t: 本人確認の方法は?
k: クレジットカードで確認、郵送などが考えられている。
o: mixi も同じような方法で本人確認をする予定。勝手にコピーしたものが使われないように。
法務と調整中。
■ OpenSocial の現在:アプリケーション。注目のアプリ、参考になるアプリ
i: アプリケーション BuddyPoke おそらく今一番人気がある。ソーシャル的な感じがする。
友達とは微妙な近さがある。アバターでキャラクタを表現。
マネタイズの話:広告も表示されている。
成功しているアプリ。一ヶ月に 1億円を超えるアプリも登場しつつある。
日本でこんなアプリは:ハッカソンで実装する予定のアイデア「 ソーシャルクエスト」
実際の友達をパーティーに加える RPG. 職種ごとに得意技が違う。
パワハラ部長に強いのは、派遣女子チームとか。
日本に特化したアプリケーションの可能性も感じて欲しい。
m: 既存の環境に取り入れることができる。一億円の収入も夢ではない?
t: ソーシャルグラフをうまく利用したエンターテインメント性の高いもの。
プロフィールページをいかに飾るかといった視点もある。
Friends Slider 友達の顔写真がクルクル回っている。
ページのカスタマイズ:SNSのページとは思えないほどカスタマイズをしている人もいる。
m: 画面の見た目も変わってくる?
■ UI とユーザエクスペリエンス。ユーザの体験がどう進化していくのか?
ゲストパネリスト:y:矢野りん(デザイナー)いつもデベロッパーが見落としがちなことを指南している。
y: 3億以上、埋もれるアプリケーションがある。
面白いものにたどり着く一番の方法は?
基本的には、人づてだと思うが、陳列の仕方や、見せ方でも変わってくる。
goo では見栄えはどこまで許容されるのか?
k: ガジェットをはりすぎると画面を占有してしまう。ガジェットを最小化することもできる。
y: いくらでも登録しておける。
o: mixi も同じ。幅が決まっている。高さの上限は未定。ある決まった大きさの中。
アプリケーションビュー(単体)では自由な大きさで。
デザインを意識しないと、ユーザに選ばれて残っていかない。
y: ガジェットを作る立場では、どう差別化していこうと考えている?
s: 派手なものにしたいと思うが、思うだけ。絵にとらわれるとソーシャルなアプリから外れてしまう。
目をひきたいが、自分の作りたいものとは違う。
t: 使ってもらうときにどこに貼付けるか、ページの上に持っていくかどうかはユーザの都合になってしまう。
楽しく使ってもらって、その結果広まっていくのであれば良い。
一番デザインに苦労したのは、まず利用者は、どんなアプリケーションを探すところから始まる。
アプリケーション一覧。小さな絵と説明書きで探さないといけない。記述内容はかなり重要。
y; コンテナベンダーが盛り上げてほしい。
t; myspace だと人気のアプリは別枠で表示してくれる。
t: ガジェットを広く作ってもらうという意味で、(決して mixi にライバル心をもっているわけではないが)
goo home はオープンなので検索エンジンが探し出してくれる。
アクティビティストリームの中にガジェットが追加したことが知らされるので、試すきっかけになる。
ガジェットをシェアすることでバイラル的。
■ OpenSocial とビジネス
m;
アプリ内の広告モデル
不ランディング(ブランド認知)
自サイトへの誘導(送客)
効果測定の方法
ユーザー課金モデル
コンテナベンダー提供のポイント制度
PayPal, Amazon FPS など
グローバル展開/世界のユーザへのリーチ
エンタープライズアプリケーション
10年に一度のコンポーネント流通市場の誕生
o: mixi では
1. アプリの中に広告をはってもらう。よその広告をはってもらってもいいが、
コンテナベンダーとしての広告配信システムを提供したい。
2. 課金のためのAPI を提供する予定。
3. mixi のユーザに使ってもらう際の mixi のバナー収益を開発者とシェアしたい。
立場によって違ってくると思う。個人的には 3. に力を注ぎたい。
ネガティブな話:OpenSocial がバラ色な未来ではない。作り手が使いやすいアプリを作る
難しさは変わっていない。
ソーシャルなアプリを作って、使ってもらう難しさは何も変わっていない。
OpenSocial で使われる場所が広まるという意味ではチャンスがあるが、根本的には変わっていない。
m: リクルートも色々なアプリケーションの検討をしている。
効果測定が重要。
t; どれだけ使われたか、どれだけ人の目にふれたか。
Google Analytics で確認できる。 XML に 2行追加するだけでレポートを得ることができる。
注意点としては、アプリケーションの配置場所を全部取得しても意味が無い。
Canvas view にたいしてどれだけ使われたか、測定してこそ意味がある。Profile ページの測定は意味が無い。
s: 広がるビジネスの可能性:アイデアはいっぱいある。マーケティングのことなどを考えたりしている。
一番最初に知ったときに「いいマーケティングの場所があった!」と
ソーシャルガジェット自身もあるが、あるサービスのガジェットを作って入り口にする手がある。
誘導する手段であれば、口コミ効果が高い。夢を抱けるプラットフォーム。
m: ベンチャー企業でも、世界にリーチできる。
t: ブログパーツの延長とも考えられる。そのまま OpenSocial ガジェットとして取り込むことができる。
m: ユーザ課金。どういった形でユーザーに課金するのか?
t: 武器を買う、髪型を変えるなど、機能が増えたり、するために課金。今は PayPal が一般的。
PayPal の IPN(Instant Payment Notification) を使う。多くのアプリがこの形で課金している。
m: 国内では確定していないが、海外では paypal で。
i: Oracle や SalesForce など、エンタープライズのユーザ相手に何かできるのではないか?
Google I/O のセッションリストを見るとエンタープライズ用途も模索されている。
今年後半にかけて、盛り上がるかもしれない。
m: コンポーネント一個一個が流通するような仕組みがひろまってくる。
■アプリケーション開発の進め方
m; 今日からどうやって進めよう?
i: 最初に必要なドキュメント。オープンソーシャルのオンラインドキュメント(日本語版)
ドキュメントを見ながらつくっていくと、様々な質問がでてくる。
OpenSocial Japan コミュニティ(Google Groups) 日本語コミュニティ。
Hackathon イベント。Hackathon の見学会もあり。
m: オンラインドキュメント、コミュニティ、Hackathon, 書籍、開発環境/サンドボックス
m: 実践的に使えるいい本。
k: 開発環境:デベロッパーに登録してもらって、公開するまで。
サンドボックスで、作っているガジェットは友達以外は見られない。
キャッシュがきいてしまって反映しないのも、デフォルトで無効になっているので、開発しやすい。
o: mixi はサンドボックスの提供の予定は無い。テスト環境のみ。
オープンソースの環境でパッケージングした形で配布したい。
本番のサーバーで開発するのは怖い。手元の Sindig でセットアップして作ってもらうことを薦めている。
t: 本番環境でしか試せないのは、苦痛に感じる。リアルな友達に迷惑をかけてしまう。
現在 Eclipse 環境に SNSを仮想的に作って、その中でアプリケーションを動かすように作っている。
試せる環境を作っているところ。OpenSocial Japan グループ内で開発中。
m: だいぶ簡単に使えるようになってきた。書籍にも詳しく解説されている。
■ 今後の進化 : OpenSocial 0.9
t; 利便性の向上 テンプレートエンジンが載る。OpenSocial MarkUp Language タグが使える。
Lightweight JS API, 0.9 から記述量が減る。
Albums API マルチメディアデータの共有。
その他、様々な API が追加される。
策定のプロセス。提案〜プロトタイプ作成。提供も間近。コンテナベンダーがサポートするのは大変。
i: ユーザの利便性、コンテナベンダーのメリット、開発者の利便性の 3つの方向を考えている。
m: 最後のまとめ
k: 今回 goo home はガジェットのみ対応。ソーシャル化という意味ではますます面白くなってくる。
そのの世界に行くことも今後検討していきたい。
o: いままでソーシャルなアプリケーションを作ってもよっぽどじゃないと人が集まらない。
OpenSocial を使うとすでにユーザが持っているコンテナベンダーが動いている。
常にユーザがいる状況でスタートできる。楽しいものを作る難しさは変わらないが、
スタートラインは下がってきている。知り合い同士で使うオンラインアプリを考えてほしい。