1/15/2010

[&] Tangible Bits / Hiroshi Ishii @ AXIS


MIT Media Lab - Tangible Media Group

Tangible の概念を主流のものとした MIT Media Lab の石井先生の講演、
Media Lab, 新しい建物が出来上がり、12月に引っ越したそう。
5億円寄付すると、部屋に自分の名前をつけることができるそうです。

石井先生定番の英単語と日本語のごちゃまぜ講演。
今回ならではの新しい気づきは
"atom hacker"
インテリジェントな新しい素材や材料が生まれるのを待たずに、
デザインを初めてしまおうという新しいプロジェクトについての紹介。
僕らの分野でもこれをヒントに何か新しいことができそうな予感がする。

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栄訣の朝 Tangible Bits / Hiroshi Ishii / MIT Media Laboratory
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なぜ自分が仕事にとりくんでいるのか、
どういう未来を考えているのかを
共有しながら、議論を頂けるとうれしい。

若い学生さん、デザイナーさんは?
未来は皆さんの上にある。
ぜひ、何か今日の講演から持って帰ってもらうものがあればうれしい。
どうぞ、割り込んで質問して欲しい。

英語、日本語、なんの言語でも。
デザイナーは一番こわいオーディエンス。
ビジネスマンと話すなら大丈夫なんだけど。

どういうテーマで話すか?
9つのテーマで話す。

「表現」
表現は本質的、ある種、どういう解釈をするのか。
宮沢賢治を例に紹介。
プロセスにひかれる。
明朝体9ポイントの奇麗な文字で読んだ。
宮沢賢治記念館で、手書きの原稿を読んだ。
苦労のプロセスが見て取れる。
身体の痕跡がキャプチャーされている。
その表現に深い感動を覚えた。
なぜ、文庫本、印刷でしか読むことができなかったのか。
大量印刷の中でそぎおとされてしまったもの。
表現者が嘆いたことを聞いたことはない。なぜ?
きわめて効率化されている。
標準化の中で消えてしまうもの。
本、フィジカルなもので持ち運ぶことができる。
なんども何度も読んだ、読み手の痕跡が文庫本には残る。
読み手の痕跡を残すことができる。
Kindle には痕跡さえ残せないものになっている。
表現者、鑑賞者の本質的なものを考える。

「想像」
感動は何から来るか。
いかにイマジネーションを喚起するか。

「感動」
何が感動させるか。
空想する隙間の無い完全なピクセルのハイビジョン映像ではない。
頭に浮かんだ想像にかなうテレビはない。
記憶を想起して作品として完成させるか。

「子瓶」
●musicBottles (jazz)
http://tangible.media.mit.edu/projects/musicbottles/
どうしてもあうボトルが無くて、
実際にガラスをふいて、検討した。
割るとおなじ物が得られない。一個しかないもの。
パーソナルな理由。
天気予報の入った個瓶を母親に贈りたかった。
(Origin :Weather Bottle)
醤油の瓶をあけると、香りが漂ってくる。
基本はマシンに触ることなく、理解をデザインする。
コンピュータを使いこなさないと仕事できない時代ではなく。

「表現」
粘土。
●Illuminating Clay
http://tangible.media.mit.edu/projects/illuminatingclay/
粘土ほど、フレキシブルなマテリアルは無い。
コンピュテーションできない。
粘土のアフォーダンスを生かしたプロジェクト。
新しいマテリアルになる。
光があたると、コンピューター的な表現ができるようになる。
ランドスケープデザイン、水がどの方向に流れていくのかを形で分かる。
レゴを使った実験。バーチャルな世界に即反映する。
フレキシブルにランドスケープに入り込む。

●Sand Scape
新しいテクニックで、ビーズを使った。
http://tangible.media.mit.edu/projects/sandscape/
子供に人気がある。
ガキのことの砂遊び。
ビーズが散らばって、拾い集めなければいけなかった。
インタラクティブな表面になりうる。
建築家ゲーリー。フィジカルなマテリアルを直接つかって設計し、
弟子が図面にする。
コンピュテーションは大きな役割を持っている。
上流のマニュピレーションしやすいのが本質的なもの。
デザイナーもアーティストも、Physical と Digital のどちらかを
選ばなければなかった。
ダンサー、コレオグラファー、
描くことは大切。
いったんデジタルに行ってしまうと、物理的なものが失われてしまい、
戻ることができなくなる。
すでにあるマテリアルのいいとこどりをして活用する。

「変化」
宿命だと思う。
スピードが速くなってくる。
企業と議論する一案のテーマ、
どこに向かっているのか?
ゲシュタルビューを持たないと自分の位置も見えなくなる。
変化していく大変な時期である。
大きくアンテナをはって、自分たちで未来を発信しつづける。
人々に対して、早期警戒システムとして機能しうる。

北斎の絵。
The Great Wave off Kanagawa (Hokusai 1832)
ファンドを集めないと行けない状況。
研究の価値を伝えるのが難しい。
静かに存在しているのが富士山。

Vision
Users' need
Technologies

客に欲しいものを聞いて、欲しいものが言えるようなのは未来ではない。
クォンタムリープ
自分たちが思い込んだものを作った。
周りに聞いても意味がない。
マーケティングは大切、売るためには大切だが。
ビジョンを支えるものは「アート」
アートから数多くのインスピレーションを得た。

なぜか?
ライフスパンを考える。
技術は1年で古くなる。
Application は 10年で古くなる。
Vision (Art) は 100年保つ。

0.5% 優れているものに青春を費やすのも大事だと思うが、
自分が居なくなっても貢献することに全力を尽くす。

新しいアプリケーション、価値観を作ることができる。

「存在」
基本的な仕事。
タンジブル、存在、確信させるもの。
存在の確かさ。映画みたことある?
バーチャルな世界に情報が吸い込まれる。
「鍵」鍵束は感じることができる。存在の確かさ。
どこにどのキーが有るのか分からない不確かさ。
いかに存在感の無いものに存在感を与えるのかがタンジブルの役目。
目は受け身で、情報を得ることができる。
クリエーターは自分の身体を使わないといけない。
手がとても大事。

Orrery : Tangible Representation of Knowledge
骨とか肉がきしみながら動く惑星時計。

いつもそろばんの例を出します。
そろばんは 10進数を表現している。単なる「玉」
入力と出力が一致している。

Tangible Bits
抽象的な情報に形を与えてみた。
GUI と TUI
Visual - Tactile
General Purpose - Special Purpose
Remote Control - Direct Manupilation
MIT に居たとき、マービン・ミンスキーと聞くと AI(人工知能)が 0.5 秒で思い浮かぶ。
世界のトップ 100 人の中にそういう反応が得られればテニュアとして認められる。

GUI と全く反対なものとして TUI を考えた。
結果的に GUI は水の底に情報が沈んでいる。
TUI は基本的なものは氷山として水の上に見えている。

「触」
InTouch
http://tangible.media.mit.edu/projects/intouch/
"Reach out and touch someone"
普通のオブジェクトをコントロールする。
ローラーとローラーがネットワークで繋がっていて、感じることができる。
自分の信号をおくりつつ、反発を感じることもできる。
それまでのテレプレゼンスをフェイクなんだがスクリーンの裏に表現しようとしていた。
表現せずに表現してみた。
見えない存在を見せる。
論文は落ちた。アーティストにはウケた。
ある種メタなコンセプトは科学の領域では扱えなく。
どう存在を示すのか?

「重力」
重力は我々を惑わせるもの。
もし Media Lab. が宇宙船だったら?
ある瞬間に無重力環境を作ることができる。
自由に想像ができる空間。
ブラックホールが突然現れて、予測不能なくらいなものが現れている。
Google がそう。
あちこにちブラックホールが現れている。
どう吸い込まれないように、宇宙航行していくのか?

思考の多くはメタフォリカル。
世界はメタ。
全てには意味があって、デコードすると、新しいジャンプが生まれる。

セキュリティがしっかりしている会社の人は?
会社から gmail もだめ、google docs もだめ、。。。。
ペリー提督の黒船。これが Google Wave.
会社は鎖国状態。
日本には出島があった。
出島に相当するものは何なのか?
核先制攻撃症候群?

こういう話を日々学生とディスカッションしている。
Media Lab は未来にかけている。
自分たちが欲しいという未来を規模が小さくてもいいので作っている。
デモする、気に入ってもらう。
それによって影響力を公使する。

少しの人が「緑がはやる」といえば、流行るけどそういうものじゃない。
The best way to predict the future is to invent it. (Alan Kay)

PingPong Plus
http://tangible.media.mit.edu/projects/pingpongplus/
卓球は相手にミスさせて勝つスポーツ。
もっと平和なものが作れないか?

はじめ MIT で落ち込んだ。学生の方がよっぽと優秀。
その時に卓球を思い出して、学生達に勝った。
卓球台を買うのに研究費を使ってしまったので、
ロンドンで卓球するのが仕事になっておいしかった。

深いことを言う。身体の痕跡。
卓球のラケットは、多くのことを語っている。
使い続けるうちに身体の一部になる。
全てがインビジブルになるのではなく、
二次的なツールは隠れていてい。

フォアグラウンドとアンビエントがこれからの課題。

「感動」
I/O Brush
http://web.media.mit.edu/~kimiko/iobrush/
Kimiko Ryokai
二週間で考えて作って論文書いたもの。
RGB のドライな色ではなく、現実世界の色から新しい織物を織れる。
鮮やかな色を見ると感動する。
その色を利用して、表現する。

絵画というのは二次元の世界にスタックしたもの。
アートから学び、アートに返そうとするもの。
大事なもの。
アートは熟成している。
技術で新しい多重のメディアを作ろうとしている。
人々をどうインスパイアするのか?
八百屋は素晴らしいパレット。これでどういう表現ができるか?
いかに人々をクリエーションに向かわせるのか。

「未来」
タンジブルの限界。
ピクセルはスクリーンの上で自由に扱える。
atom は形は変わらない。
夢見ているのは、将来きっとマテリアルが変化し、
プログラマブルのマテリアルができる。

atom hacker が現れ、とんでもないマテリアルを作るハズ
テクノロジーが来るのを待たずに、デザインしてみる。

餅:簡単にコントロールできないけど、形が変化する。
そんなマテリアルがあった時に、何ができるのか?

また始めたばっかりのプロジェクト。

「空想」
SF読む人! 〜いいですね〜

「光陰」
I/O Bulb and Luminous Room
http://tangible.media.mit.edu/projects/luminousroom/
風(流体)の表現を見ることができる。
はじめてタンジブルが行けそうなことがわかったあ。

2054 Minority Report
MIT の卒業生 John Underkoffler がデザインしたもの。

g-speak
http://web.mit.edu/invent/iow/underkoffler.html



John Underkoffler が院生だったときに考えたもの。
空間に充満する情報を自由に操作できる。
John はトムクルーズを使ってデモビデオを作った。

The Future is Already Here - It's Just Not Evenly Distributed (William Gibson)

「独創」
何が大事か?

 本質的な問いを発することが重要
 独自の視点から新しい本質的問題を見いだし、新領域を開拓すること

 ビジョンがエンジン
 技術/ニーズ駆動

「協創」
デザイナーを雇う、アーティストを雇う、というのは間違い。
頭の中でアーティスト、エンジニア、頭の中で高速にスイッチしないといけない。
全部マスターはできないが、基本的に知ることはできる。

「競創」
NHK の対談で話が8時間もりあがった。

100m トラックを人より速く走ることは、
真の競創ではない、誰も分け入ったことの無い原野を一人切り開き、
まだ生まれていない道を一人全力疾走することこそが競創だ。
そこには観客も審判もストップウォッチも存在しない。

「出る杭は打たれる」
「出過ぎた杭は誰も打てない」

「再起」
MIT に行ったときの条件。
ネグロポンテが提示したもの。
今までの仕事を全部捨てろ。
その挑戦によって、タンジブルを始めた。

「燃料」
そのためには燃料がいる。
「飢餓」
そのための燃料は飢餓感。
ビジネスに飢餓感を持っているか。
食べられるか食べられないか瞬時に判断できるか。
それがものすごいボトルネック。

「屈辱」
屈辱はプライドが無いと屈辱にならない。
いつま返してやる。
竹内まりあ「マンハッタンキス」そういうマインドセット。
自分に対して誇りを持つと屈辱感が多くなるが、
そういう内燃機関を作る。

「誇り」
「情念」
長距離走。
「問」
「何故」という問いが大切。
5回、7回、問いを続ける。
「哲学」
哲学の次元までいく。普遍的。ここまでいくと Ph.D がとれる
「未来」
100の人がいれば、100の未来がある。
大事な未来。

The best way to predict the future is invent it.

2050年違うところに居ます。
2100年、ここに居る皆さんも亡くなります。
2200年、孫かひ孫がいっぱいいる人達に何を残せるか、
どのように思い出してもらいたいか。

「死後」
円満退職で人生がおしまいではない。
未来に何かを残す責任がある。

Q & A
過去最高の質問は「どうやったらスポンサーになれますか?」
新しい MIT Lab の建物ができました! 12/1 に引っ越したばかり。

Q:プロフェッショナルの仕事の流儀、100人の日本人の番組で感動しました。
 すごい館内を走り回っている印象。あれだけいろいろ考えているのになんで走り回れるのか?
 なぜ走り回る?
A: Life is Short のこっている時間が少ないから。
  やりたいことがいっぱいあるから。1分一秒無駄にしたくない。
  ごはんと牛乳。
  MITは1分で病院に行ける。健康的な人生なんじゃない。

5億円で部屋に名前が残せます。

Q: メディアデザイン研究所。古川さんの研究室。
 ものごとの本質を見てデザインするという。楽しく話しをきくことができた。
 デザインをすると、意味を聞かれることが多い。
 アーティストは好きなことができる。

A: 人生そんなに甘くない。「デザインは語らない」
 アーティストは作品が語っているといいわけできる。
 デザインしたもののストーリーを語る努力をしなければいけない。
 ビジョンを語るには、戦略をたてて、理解して伝えないといけない。
 アーティストとして自己表現することと、未来に提示しないといけない。
 苦しみを喜びとして感じられるようになったら面白い仕事ができる。
 最終的に行き着くことは同じ。

Q: インターフェースの話。わからなかったもの。
  今の人、世界中で流行っているインタフェースはキーボード。
  地域によって違ったものがあった?
  筆とペンがあった。将来またできてくるのだろうか?

A: かつて色々な表現方法があった。
 一方でいろんなジェネラルなものではなく、スペシャルなもの。
 何が流行るというものではなく、新しいものを作るとそれが「筆」になる。
 どういう表現をするために、どういうものを作るのか?
 iphoneとも違うものを。
 スイスアーミーナイフ一本で料理するかというとそうではない。
 包丁もナイフもいろいろある。
 面白いもの。これからのスタンダードを提案していって欲しい。

Q: ポストタンジブルに関して。
  こたつ、そろばん、昔からあるものが好き。
  私たちがこれから使うもの、道具にビジョンが宿っている。
  こたつに家族があつまって YouTube が見られる?

A: 今はいろんな可能性がある。
  こたつで Youtube も実現できる。
 おもしろいだけのものを作るのは簡単。
 アーキテクチャが必要。
 まったく新しい、習うことができるランゲージを考えないといけない。