6/09/2011

[&] DAI FUJIWARA @ AXIS

AXISフォーラム 藤原 大
(ISSEY MIYAKE クリエイティブアドバイザー
 株式会社 DAIFUJIWARA 代表)

元ISSEY MIYAKEのクリエイティブディレクター
現クリエイティブアドバイザーの藤原大(ふじわらだい)氏のお話。
ファッションを軸としているのだが、ファブリックや、建築にもつながる
壮大な話だった。
なんかいろいろヒントになる言葉があったのだが、
まだ僕自身、解釈しきれてない感じ。
#あとで写真を追加するかもしれません。

ちなみに文中にたくさんでてくる A-POC というのは「一枚の布」での表現のこと。
Apple好きの人には、ISSEY MIYAKEというと、Jobsが着ている
黒いタートルネックのブランドと言った方がわかりやすい?



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藤原 大:こんばんは。
ひさしぶりというか。
経歴は、お手元に配られたものをご覧いただければ。



ひとつ、お箸入れみたいな「おてもと」のような折り紙があります。
線が書いてあって、山と谷でジグザグ折ることができる。
普通山と谷で折るのだが、これはひたすら山折り。
そうするとジグザグの形状ができる。
イザやってみるとルールがあって折りにくい。
このジグザグの形状を使って、コレクションを行ったのを紹介したい。
実際に折ったのを見て比較してほしい。

三月に発表されたのが「演舞 Rondo」
ISSEYさんの仕事を通じて、丸い感覚が強いデザイナーだなというのを
自己分析した。
今後自分のキャラとして活用していきたい。
丸いことの興味を持っている。

今日はたくさん資料を持ってきました。
多くの人に来ていただいて感謝しています。

これは Rondo というものです。
これは Rondeo #2 です。
皆さんが良くしっているエッシャーです。
いろんなところで使いたかった。
コピーライトがうるさかった。
とにかく人から伝わってくる関係性がとても好き。

今回紹介した「折り紙」
折り紙という感覚ではなく、
リボン状のものを折っていって、一発でミシンで縫えれば、とまる。
いろんな造形が簡単にできるのではないかという。

テープの幅が違うだけで、折り方は同じ。
着物で50cm とか、着尺という概念が広がったが、
基本的には40cm前後の幅。
みればいろんな情報がはいってくる。
30cm の幅で作るのは日本意外でもいろいろある。
ナチュラルプロダクトからとった、麻とか、その幅を決定づける要因は
環境が決定づけている。
日本はなんで 40cm 前後なのか?
(またどこかでおはなしできれば)
テープの幅をいろいろな幅で、つくると、
世界のいろいろな人と交流しながら、いろんなものが作れる。

Rondo ということなので、いろんなことがつながって、終わりがある。
そしてまたつながって。
ピアノもひとつひとつ演奏してもらえるよう、探した。
子供に演奏してもらえるように、10歳から18歳まで、
ピアノを弾いてもらった。

 写真:veryverychic
 http://veryverychic.typepad.com/veryverychic/2011/03/issey-miyake-autumnwinter-2011.html

ビジネスにつなげていくための内容が含まれているもの。
最初にショーはピアノ調律からはじまる。
8つつくったけれども、会場の構成で5つになった。

#一番作るのが得意だった人が、直前に折山をかえたため、
#なかなか仕上がらなかった。むちゃくちゃあせっていた。
#その前の人が時間を調整して。

以前プロセスを演出していたことがあって。
こういうプロセスを見せるべきなのか?
トレンドもあるので。
やっぱりこれが好きだし。
プロセスを表現の中に取り込むことが最終的にクオリティにもつながることだし、
あとから説明すること無しで、最後までお客さんと一緒に
ゆらゆらとわかってしまう。
最終的には理解してもらえる。
それぞれに理解してもらえる。
プロセスを見せないと説明が入ってしまう。
いわゆるゼロから説明するよりも簡単。
自分たちの中で芋だった表現をどんどん作ってきている。
どちらがコスト的に良いかは一概に言えない。

一番細いテープから始まっている。
段々に縫っていない。まっすぐに縫っているだけ。
このコレクションは最初から最後まで全部この折り方で決まっている。

先ほどのエッシャーのモチーフが循環しているもの。
チューリップなど、紋章的にジグザグなもの。
はじめから最後までひとつの考え方で、落とし込むのは
昔から好きなのだが、
仕事をしていくと様々な条件があって、
毎回毎回照らし合わせていけるのはむずかしい。
ISSEY さんのところでクリエイティブディレクターとして培ってきたもの。

箱根の峠道を歩いているようなもの。
自分の会社が始まるので、微妙なところ。
17年間 ISSEYさんのところで働いて、全く社会性が無い。
とにかくついていくのが必死だった。
そう考えると長いな〜
いつクビになるか分からないと思って仕事していた。
96年くらいから、あるいみリードしてくれていたが。

ジグザグ、雰囲気がわかる。
一緒で作りたいと思っている。
(AXISでワークショップが計画されている)

Rondo ですから、バッハ。同じながれでどんどん変化していくもの。
ピアノは若いから、必死でたたいているのが伝わってくる。
弾き方が違うと聞き方が変わってくる。
聞いていて元気がでる。

ここの中では A-POC 2000年から始まった。
A-POC の技術が服の中にいっぱい入っている。
デザインを一緒にやってくれている、チーフデザイナーの宮前義之さんが
後任として発表されている。
彼のチームの中で A-POC が活用されている。
ビジネスとしてリアリティが無いものは出てこない。
A-POC がでてから 14年。だいぶ使いこなせるようになってきた。
今は欠かせないもの。
これからどう使うからは彼らにかかっている。
自分の5年間の中で、いろんな話をしながら、彼らのエネルギー
最後まであきらめない根性に支えられてきた。

いろんなものがある。
最終的にはお客さんにとって実際着てもらえてはじめて。
その循環が無いと、服はそこで終わってしまう。
まさに Rondo
今回最後なんで、恥ずかしい。チームのみんな。

ほんとにこのショーが終わって、からっと秋の空。
アーカイブコレクションでお見せしている。
ギリギリまでいろんなことがある。
でもやっぱり「やっちゃう」
ショーはF1 レースと同じ。
自分自身があきらめてしまうとチーム全体が止まってしまう。
関わっている人がおおい。
どうしても気を使ってしまうクセがついてしまう。
そこが「もっと無理してもいいですよ」というチームだった。
このチームに支えられて5年間があった。

Rondo 2007
一番最初 Rondo を始めたときは Rondo 2 で終わることは考えていなかった。
おおきなコラボレーションを仕組んでいたのだが、最後どんでん返しがあった。
こんなことはしょっちゅう。
一年半年先、こうしたら良いというのが読み切れない時代。
そのときに考えればいいという気になった。
クリエイティブディレクターとして仕事を頂けたのは
メンズとレディースと、、、、、

 #ここで地震:日本はなくなっちゃう?コメント。

A.POCまで、4つを全部こなしなさいという仕事。
クリエイティブディレクターとして仕事させてほしい。
デザイナーではなく。
クリエイティブディレクターはデザインしない。
デザイナーが技術者と組んで制作する。
ここにいらしゃる方はデザインはばっちり?
デザインは小学校、幼稚園からデザインできて当たり前の時代になる。

物事を伝達して、ものからお金に変わって、
お金でお金を作って、
作られたお金で環境を作ってモノを作っていく。
その中でデザインはどういう社会のつながりなのか?
自分たちがやっていかなければいけない「デザインスキル」
デザインを知らないと生活できなくなっていく。
デザインはあたりまえの時代。

A.POC INSIDE
全部に A.POCが行き渡る。
メンズほか、チームが全部ちがう、
勝手に解釈して、まとめさせてもらった。
合同でひとつのショーとしてやらせて欲しい。
そのときに考えてバラバラに仕事できればよい。
そしてA.POCを理解していこう。
会社の中でより広く、活用方法を考えて。
そこから利益を生み出すソリューションを活用していく。
それがまさに自分の仕事。

A.POCは見えない壁があった。
A.POCは何なの?
佐藤さんとユーフラテスにお願いした。



 VIDEO : A.POC INSIDE

いまもチームは多い。
自分たちのオリジナリティの強いものを
マーケットに食い込ませるのか、毎日考えている。
最初でてきたイメージは「天球」
最初はタッシェンの本をコピーしようかと思ったが、
最初から作った。
galaxy というジーンズのライン。

 写真:galaxy
 http://isseymiyake.co.jp/ELTTOB_TEP/jp/semba/2007/06/28191848.html

いろんなシリーズがある。
生生地のままつくったもの。
自然に作ると環境に優しいものがついてくる。
やってみると自然と語れる。

段ボールを天井から釣った。
DMもはみ出している。
これがプロセス。
無駄なものが無い。

横尾さん、ISSEY MIYAKE のインビテーションカードを作ってくれている。
この関係がいいなと思う。

これが RONDO2 につながる。まさかつながると思わなかったが。

■THE WIND
 http://www.isseymiyake.dyson.com/

ダイソン。今年の扇風機すごい。
このときから考えていたんじゃないかな?
ダイソンはものすごい数のデザイナーがいる。
会場の構成をダイソンにお願いした。
優秀なので、あっというまに埋まってしまうだろうと、
遠きところに投げ込んだ。
ブランドが 4つあって、ひとつの考え方ではなかなかできない。
このときは 21_21 デザインサイトのディレクションの展覧会が
着地点をそこまでひっぱって、ずっとやっていた。
ショーのときにはダイソンとのコラボレーションがあまり理解されなかった。

デザイナーの考えは理屈なしに動物的な直感がある。
チームもいっしょになるタイミングが欲しかったので、
3人一組で。
ダイソンのパーツを分解して、服にあてはめた。
技術者はどこの線を切って展開すれば良いのか、
氷を割るような立体と平面の境い目を感じ取る。
技術者にデザイナーの領域まで入ってもらった。

出来上がったのは、素材を溶かして作りたかったが無理だった。
ダイソンに話を持っていったとき見せたもの。

たまにはパリにきて、美しいものを吸ってくれ!
その気持ちが伝わったのか、
会ってくれた。ISSEYの名前があったから?
話を聞いてくれた。
ショーの最後にダイソンさんは万歳していた。
だから物事がひとつひとつ進んでいった。
ダイソンさん「とりあえず聞いておこうか」
チームは必死。
ダイソンに支えられた。

フェット(FETE)は別ブランド、
ひとつひとつのブランドはすみ分けて、同じ考えだが、着地点が別なもの。
命をかけて風と戦っているもの。
それを聞いて、ドレスを作った。

■A-POCALYPTIC LOVERS 恋人達の黙示録
 http://www.isseymiyake.co.jp/en/news/2008/04/issey_miyake_autumn_winter_200.html

ここにあるテーブルは人間そのもの、記憶のことを表現している。
これは販売こそしなかったが、今後必要になるソリューション。
ミョウチンさんに風鈴を作ってもらった。イメージは葬式。
生と死に携わる服はどういうものなのか。

paperlove という展示をミラノで開催。
結婚式に参加できるチャンスに恵まれた。
WEDDING 4'00

日本の伝統的なテキスタイル。
現地に行くとどんどん情報がはいる。
伝統高原と言われるものはがんばってやっていると思う。
新しいものがどんどんでてきている。

■ color hunting 2009
 http://www.isseymiyake.co.jp/en/news/2008/10/issey_miyake_spring_summer_200.html

八丈島。黄八丈(キハチジョウ)。価値がついてしまう。
扱い方によって、みんなが情報を知っている。
それに触れることによって伝統や価値が浮かび上がる仕事。
糸を譲って頂いて作った。



■ Kinetic Frames 運動するフレーム
空手家の人たちと仕事した。
以前「ストレッチ」というブランドがあった。
80年度の後半、仕事として切れる服のニーズがあがっていった。
ストレッチという分野に携われるよう努力していった。
糸が高くて、見合うものに結びつけるのがむずかしかった。
そのことが頭にあったので、
ストレッチというフィールドに挑戦。
一番着にくいスーツ。
デスクワークする人用には、袖が曲がっていることを考えて
作っている。つまり、手を下げるとシワがよる。

空手家は動く。
かれらの動きにぴったりフィットする服を作りたい。

パットをできるだけ省いて。空手家の動きにフィットする。
ショーでは、いきなり演舞が始まって、大騒ぎ。
ぜんぜん静かにならなかった。
すばらしく素早く動いている。それでも服がくっついてくる。
そのとき見ている人みんなの顔がツッパッってしまって、楽しかった。
世界で最初で最後、本気でショーで空手をやったのは。
この的のテーマがキネティック、連続しながらカタチが変わっていくもの。
映画のように連続していくもの。
人間は型を持っている。
それが一番あらわれているのが空手。
それが空手のカタ。
そのカタに注目していろんなカタをショーで出している。

■ NEWS MIX
 http://isseymiyake.co.jp/ELTTOB_TEP/jp/semba/2009/12/28110000.html

東西南北を表している。
リーマンショックの中で沈んでいたが、がんばっている人はいた。
プリントをテーマにした。
かいてかいて、いろんな文化の背景がある柄を描いて、
プリントがいっぱい。
実は NEWS MIX, の前に1年ぐらい前
パリの橋が汚い。
掃除したくなった。掃除にいった。
町の公共物を使うと相当費用がかかる。
なぜやるか? みんなで奇麗で橋を使うように。
ボートにモデルが乗り付けて。
でプレゼンしたけど、やっぱりダメだった。
だめでもかならず後に何かになる。

■Poincare Oddessay ポワンカレ予想
 
 写真:from Fashion Press
 http://www.fashion-press.net/news/944

フィールズ賞をとったかた。
いきなり授業を受けた。個人教授。
なんでか?
接点があった。
葉っぱなどの自然物から宇宙の形状を想像できるひと。
みかんの皮を剥いたものを、服として活用できるのではないか?
そこで、数学のこととかを考えた。
会場:僕たちが考える宇宙空間。

■Ghost in the Clothes
 http://isseymiyake.co.jp/ELTTOB_TEP/jp/semba/2010/12/27111740.html

一生懸命やったことが服に乗り移る。
3年越しで伸びちじみしない A.POC
いろんな多角的なものができるようになった。
しつこくしつこくやっていた。
最初はなんだか?と思ったたが、
これから ISSEY MIYAKEの新しい柱になってほしい。
服が買われてまた誰かに譲られても、
その気持ちが残っていく。
そういう気持ちが残っていくといい。
手書き友禅、髪の毛を一本一本描いている。
会社は、在庫になる。
いろんな伝統的なテキスタイルを活用。

■ The PARK
台湾で去年大きなイベントがあった。
小さい子達と、捨ててしまうものをどう考えたら良いのか、
プロジェクトをくんだ。
そこに集まった友達とペアになって、Tシャツを分解して、組み合わせる。
これを考えたのは子供達。
子供達、わがままをいう。
最後は喜んでもらえる。
すごく楽しかった。
子供達も、そんなことで友達になれる。

■大学時代
がんばれベアーズのアマンダが大好きで、
ずっと今でも覚えている。
何をいっているのか?
ピッチャーの手は何だったのか?
アマンダはどういうグローブが欲しかったのか?
普通のグローブはパーツが10ぐらいだが、パーツが5つのもの。
この考え方、集約/効率 を教わったので、A.POCに素直に入っていけた。

■ DAI&Co.
あたらしい ISSEY MIYAKEのチームができたら、はじめる。

Q&A

Q:今後の活動?

A:
ISSEYさんのところでいろいろ引き出してもらったので、
感謝。これからもお手伝いできることはぜひさせていただきたい。
新しいチームにバトンが渡せたのはうれしい。
次の世代につながって。
色のことはむちゃくちゃ興味があって、
大きな展覧会を予定していたがリセットされたが、
情報化社会の中で、色のボキャブラリーがなさすぎる。
色の持っているバランス、色が使いこなせていない。
それがずっとある。ほんとに色のことがやりたい。
まだまだ、Google で色のことが一覧できるけど、
それだけじゃない、もっともっとある。
それをやるにはコツコツやっていくしかない。

布地やテキスタイル。
服だけじゃなく、建築も、空間/インテリアも
教育も、もともともっている軸がどうもあるような気がしている。
そこはどん欲にやっていきたい。
多摩美の美術館で、建築を発表しています。ヨネヤマキョウコ。
布を活用した建築。

Q: ISSEYさんとの関係は?

A:
サラリーマンをやっていましたから、
2008年、自分の会社のこと、独立しました。
ファッション界の中で、出た/出ないは神経使うことだった。
そのまま静かにしていた。
他の仕事は受けないし、集中したかった。
ISSEYさんがどう思うのは聞けない。
今後話しができる機会があれば、聞いてもらえればいい。
大切にはしてきました。
今後新しいことをやっていきたいことは言っているが、
コツコツやっていく道を選ぶ。

Q: ひとつのテーマを決めて、違うアウトプットをしていくのが面白い。
 テーマはどう決めているのか?それを相談しているのか?

A: コンセプトを作るのが凄い好き。
やってみた結果、毎回毎回ワクワクしどうし。
多摩美のテキスタイルに入ったのもその理由。
みんなと一緒にその源流に携わっていきたい。
最終的にはものを作ったり、社会に対して責任を担う仕事をしたい。
ものを作るには素材、だからテキスタイル。
こういうものが作りたいというものが見えているときには非常に速い。
見えてないときはゆらいでしまう。
チームのみんなにつたわって、着地しなければいけない。
そこで鍛えられた。
今はすっきりとしたチームになってきている。

Q: 会社にはいるとお金のこととかクリエイティブじゃ無いときがある。
  そういうときにどうする?どう自分を奮い立たせる?

A: クリエイティブじゃないな〜というのは
瞬間、風がふくようなもの。
自分で自家発電していく。
いったんエネルギーはどこからでてくる?
物事をしつこくおいかけていったり、人のことを好きになったり。
自分の中に発電機をもっていなければいけない。
エネルギーをもっていれば、奮い立たせる。
それは「好奇心」
ふっと心が動いたことを
獣道をあるいているように、都会を歩いていく。
自分をみつめる。
僕は、熊みたいにあるいているように思われなくないけど、
追っかけているときは直感的なものを大切にしている。理屈じゃない。