12/31/2011
[&] little brother
今日はコリイ・ドクトロウの
[ リトル・ブラザー ]
を紹介します。
著者のコリイ・ドクトロウは、
カナダ出身で、現在イギリスで活躍中のSF作家。
夏にカナダで開催された SIGGRAPH でデジタル時代の著作権や、
デジタルな道具を操るアーティスト達がネット上で活躍することなどについて
示唆満載のキーノートスピーチを行った。
小説の方は、「今どき」という言葉がぴったりあうくらいの背景や環境。
w1n5t0n (winston) というコードネームで活躍する 17歳の凄腕ハッカーが
活躍する話。怖くてイライラさせられるけど、痛快なストーリー展開。
日本語翻訳版が出たのは 2011年だけど、原著が書かれたのは 2007年。
数年しか経っていないけど、その時に比べて
さらに現在のテクノロジーの進化の度合いに驚くばかりだ。
そして、逆に変わっていないものにも気づかされるのだ。
12/29/2011
[&] design lessons
今日は:
[ デザインの授業 目で見て学ぶデザインの構成術 ]
を紹介します。
特に感銘を受けたのは、下の二つの項目。
●デザインに人間味を取り入れる
ソールバスの映画タイトルを引用して、
人がおこなう作業としての痕跡を残すのが人間味を出すコツ。
●ノイズをデザインに活かす
Ray Gun の雑誌デザインを参照して。
ノイズをかっこいいものとして、
デジタルの解像度の低さを逆手にとって利用する。
ジャギーを活かして、グランジ感を出すとか。
■創作するためのデザインの読み方
デザインとふれあう
デザイン力を高めるデザインの見方
デザインのボキャブラリー
■レイアウトの構成術
論理的にレイアウトを構成する
ページを埋め尽くす装飾の情熱
位置や大きさに意味を持たせる
複数の構成要素を組み合わせて「体験」を提供する
幾何学的な図形の表現力
「新しいタイポグラフィー」
斜めの視線移動を意識する
デザインに中心をつくる
見えないものを見えるようにする
グリッドデザインが生み出す静かな秩序
意図が伝わるレイアウト
余白が生む静かな緊張感
動きを感じさせる写真の使い方
小さくても力を持つ写真
余白に役割を割り当てる
「見る」から「読む」への流れをつくる
レイヤー的にイメージを重ねる
■色彩の構成術
色彩の全体像をとらえる
白と黒を活かす
白、黒、+1色でデザインする
全体として基調色を明確にする
色による軽快なリズム感の演出
原色をワンポイントで使う
やわらかな色彩
ぼかしによって色をまぜる
■タイポグラフィーの構成術
フォントの関係を構造化する
デザインの存在意義を考える
サンセリフ書体の幾何学的な特徴を活かす
デザインに人間味を取り入れる
文字の密集したタイポグラフィー
文字の間隔と色使いのバランス
個性的なフォントを活かす
ノイズをデザインに活かす
12/28/2011
[&] redesign
今日は:
[ 暮しのリ・デザイン―生活で測り直す (1980年) ]
を紹介します。
先日、目黒区美術館で開催されていた(現在は終了)
DOMA秋岡芳夫展 モノへの思想と関係のデザイン から
いろいろなことに興味がわき、
秋岡芳夫氏の著作をいろいろと読み始めている。
この本もその一冊。
ほとんどのごはん茶碗が 105g 前後なこと。お椀は100gくらい。
コーヒーカップは 110g〜120g くらいが一番売れているとか。
その他にも箸、タバコ、カメラの重さなど、
普段手にするプロダクトの「重さ」に着目する。
人間は100グラム前後であれば、ものすごく正確に手で計れることとか。
普段、モノに対して見た目や使い方には注目するが、
重さに関しては意識的に注目していなかった気がする。
無意識下で、このコップは少し重いから使いにくいな....
....とか感じたりはしていたけれど。凄く奥が深い話だ。
薪 石油よさらばの村
山の篭 雑木山の炭焼じいさん
栗の木 ほんとにいい木だ
栃の木 巨木をパルプに砕くなんて
割箸 吉野で樽屋が儲からなくなると
板を創る阿呆 酒屋の大火でまた一人
打歯物 村の鍛冶屋が東京に
槍鉋 法隆寺の鉋がいまマンションで
職人太鼓 小浜の宗像さんの祭
合砥 床屋は砥石屋に通わなくなった
幻の石 但馬砥が見つかった
椀 第二の目で買いたい
パイプもそば猪口も みんな手頃な目方だ
包丁 重量のデザインがしてある
木の床と畳 なぜ日本人は玄関で靴を脱ぐ?
女の椅子 生活で測って創ろう
男の椅子 肘なしに限る
大学の食堂 あきらめ喰いはよくない
中古愛用 ライカシステムの耐用年数
風呂も新幹線も 繕って使い続けたいんだが
土間のある家 ぼくの家は工房住宅
木のクラフトマン 楽しんで鳩を作ってます
民芸 いま益子で風化している
裏作工芸 日本の工芸の四つの型
裏作工芸展を グループ モノ・モノの企て
週一日制がいい 画廊も道具図書館も
[&] Sori Yanagi
今日は:
[ CasaBRUTUS特別編集 新装版 柳宗理 ]
を紹介します。
プロダクトデザイナーの草分け。
雑貨屋のカトラリーとして普通に売られていると思えば、
美術館や博物館に展示されていたりする。
スープストックでスープを食べるたびに、柳宗理のことを思い出す。
構造や使い勝手の良さを追求し、そこからにじみ出たものが
結果的にデザインとなる。単に形が美しいということだけではなく。
バタフライスツール、エレファントスツール、
スプーンや、ボール、ヤカンは良く知られているけど、
横浜市営地下鉄のベンチや、
東京オリンピック、札幌オリンピックの聖火台や聖火トーチも柳宗理デザイン。
どんなにたくさんののスプーンがあっても、
柳宗理の独特のカーブをもったスプーンは一瞬で分かる。
よく、建築家の作品はずっと残って凄いね。。と言われるけど、
柳宗理の世の中にあふれていて、普通に使われている作品達も
多くの人々に親しまれ、手になじみ、記憶に残っている。
素晴らしい。
R.I.P.
12/26/2011
[&] TECHTILE
今日は新刊:
[ 触感をつくる――《テクタイル》という考え方 ]
を紹介します。
そんなに厚くない、小さめの本ですが、中身は満載。
テクタイル [ TECHTILE ] という新しい分野を切り開く本。
触れる、感じる
触感を知る
触感を測る
触感を操る
触感を創る
<テクタイル>の未来
高村光太郎の詩や
宮沢賢治の童話、
村上春樹の小説などが引用されている。
触覚には単に「触る」ということだけではなく、
様々な側面がある。
押し込む(硬軟感)
持ち上げる(重さ)
輪郭をなぞる(形)
横になでる(テクスチャ感)
手をあてる(冷温感)
包み込んで持つ(体積)
naadee の紹介なども。
12/25/2011
[&] Book Advent Calendar (day25) THE PERMANENT COLLECTION
Book Advent Calendar 25日目は
[ 「ニュー・デザイン・パラダイス」永久コレクションブック ]
を紹介します。
「デザイン」それは地球に残された最後の資源.....
その言葉で始まる、深夜のテレビ番組。
著名なデザイナーが、世の中にあるごくごく一般的なものを
再デザインするというお題をもらって、試行錯誤してデザインする番組。
2005年くらいのフジテレビの番組で、毎週欠かさず観ていた(と思う)。
横断歩道
名刺
紙コップ
ナルト
タクシーの行灯
マスク
地図
ポケットティッシュ
傘
蚊取線香
線香花火
将棋
マヨネーズの穴
ガムテーブ
ボウリングのピン
うちわ
カレンダー
ベビーカー
救急車のサイレン
電話ボックス
学校の机
あれ?他にもあったよな。。。と思った人は正しい。
この本には、パート2もあるんです。
12/24/2011
[&] Book Advent Calendar (day24) The Evolution of Useful Things
Book Advent Calendar 24日目は
[ フォークの歯はなぜ四本になったか 実用品の進化論 ]
を紹介します。
原題 "The Evolution of Useful Things " と比べると抜群にキャッチーなタイトルがついている。
「フォークの歯はなぜ四本になったか 実用品の進化論」
世の中にある、当然そういうモノだと思っているモノが
どのような変遷を経て、今の形になっているか説明している本。
同じタイトルで、先に出ている単行本もあるが、
こちらは少し厚めの文庫本サイズに凝縮されていて読みやすい。
タイトルになっているフォークはもちろんのこと、
ジッパーの構造や、
ハンバーガーのパック(ケース)、
ペーパークリップのデザインなど。
世の中のたくさんのモノのデザインを見る目、
視点が少しだけ変わるであろう本です。
Advent Calendar としては、今日で最後なんだけど、
Advent Calendar という仕組みのおかげで、
無理矢理にでもブログが書き続けられたので、
この仕組みに乗って、ずっと続けるという手があるな。
12/23/2011
[&] Book Advent Calendar (day23) COURRiER Japon
Book Advent Calendar 23日目は
[ COURRiER Japon (クーリエ ジャポン) 2012年 01月号 [雑誌] ]
を紹介します。
もともとクーリエ・ジャポンは、キュレーションが逸品で、
オリジナル記事は少ないながらも世界中の興味深い雑誌記事などを
うまい具合に組み合わせて、独自の視点、なかなか目にしない話題を
取り上げている雑誌。
そのクーリエ・ジャポンの1月号は、なぜか突然MIT特集。
joi が MIT Media Lab の所長になったことも影響しているだろうか。
パワフルな石井先生の記事や、MITの深部までわかる数々の記事が興味深い。
それと、知っている人ならニンマリする
Susan Kare さんが IDEO の「デザイン思考」の記事のために
書き下ろしたアイコンが雑誌記事に使われていること。
Susan Kare さん http://www.kareprints.com/ は
初代 Macintosh で使われているアイコンのデザイナー。
そんな、知りたいことを知る、
知らないことを知る、
知ろうとは思わなかったことを知る
そういうツールとしては「雑誌」という形は最強の気がしている。
人とのコミュニケーションで知ることとはまた種類が違うけど。
[&] Book Advent Calendar (day22) rebooting paper media
Book Advent Calendar 22日目は
[ 再起動せよと雑誌はいう ]
を紹介します。
今日紹介する本は、
帯に「Stay hungry. Stay foolish. それでも雑誌はおもしろい」
と書いてある、少し不思議な本。
ブックデザインも、中身のレイアウトデザイン、色づかいも独特で、
雑誌でも、単行本でも無い、読むというよりは、見る本かもしれない。
話題として取り上げられている雑誌や本は
POPEYE, BRUTUS, Esquire, yom yom, ユリイカ
AERA, COURRiER Japon, rockin'on
OZ magazine, Hanako, Mart
他、フリーペーパーや電子書籍、アプリの話題も。
なんだかんだ言って、
雑誌には興味深い自分の知らない話題がつまっているわけだし、
思いがけない情報にも出会える。回顧録的になりがちだけど、
ZINEや電子書籍アプリのヒントになることが満載の本。
12/21/2011
[&] Book Advent Calendar (day21) A Touch of Code
Book Advent Calendar 21日目は
[ A Touch of Code: Interactive Installations and Experiences ]
を紹介します。
今日紹介する本は、比較的新しいメディアアート系の作品紹介本。
日本で公開されたものから、そうでないものも。
LOOK, TOUCH, EXPLORE, ENGAGE, INTERVENE
の5つの分野にカテゴリ分けされている。
もちろんほとんどの作品は写真で見ただけではその神髄はわからず、
実際に体験してみないと面白さが分からない
インタラクティブな作品も多いのだが。
いろんな作家のいろんなアプローチの作品が見られ、
それぞれの作品が何を見せたいのか、
どんなテクノロジーを利用しているのか(利用していないのか)
単にプロジェクタでなんか光るもの映して.... という単純な作品ではなく、
なにかしら見た人、体験した人の感情を揺り動かす作品ばかりなのが素晴らしい。
建築のアプローチ、空間設計からのアプローチ、
コミュニケーションからのアプローチ、デザインからのアプローチ、
既存の作品集だけれども、たくさんのヒントがつまっている本だ。
12/20/2011
[&] Book Advent Calendar (day20) Naming Thinking
Book Advent Calendar 20日目は
[ ネーミング発想法 ]
を紹介します。
今日紹介する本は、ネーミング(命名)に関する本。
人の名前ではなく、ブランドの名前や社名。
著者は DOCOMO や au/KDDI, BIGLOBE, あいおい損保など、
数々の社名をつけた人。
前々から世界中で販売される車の名前とか、
新しい企業の名前はどうやって決めるのか不思議に思っていた。
そういう、ネーミング技法、名前をつけるまでの思考法を
紹介している本。
ネーミングとは何か
ネーミングのプロセス
法則に則って造語する「言葉の発明」
辞書の中から見つけ出す「言葉の発見」
視点を変えたネーミング発想法
ネーミングの権利をどう守っていくか
商標法における商品、サービスの分類表
ラテン語やエスペラント語からの引用とか、
アナグラム、逆さ読み、韻の踏み方、掛詞、
語呂合わせ、擬人化、文字の抽象化など。
なるほどと思わせられたのは、商標登録できない
一般的な言葉を、ひと工夫して登録商標にしてしまう方法。
ウメッシュ(梅酒)、きれいきれい(ハンドソープ)
ザ・カレー(カレー)、
XY(ゼクシイ:普通の読み方ではない)
キャベ2(キャベツ)など。
なるほどと思うこと満載で、巻末の参考文献集も役立つ。
UNIQLOの元が(Unique Clothing Warehouse) なこととか
会社名に「鉄」という漢字を使わないこと。
なぜなら「金を失う」と書くから。
そういった雑学的なことも満載。
なかなかイイな〜と思うインターネットサービスがあっても、
名前が残念だと、なんだかがっかりさせられる。
あまりにも一般的な言葉で、検索できない名前も残念。
いいライブラリとか、フレームワークも有用かどうかも重要だが、
名前から受ける印象も大きい。
そんなこんなで、ネーミングは凄く大事。
何かの名前を考える時は、この本の手法、プロセスを
使おうと考えるのでした。文庫なのですぐに読めるのも良し。
12/19/2011
[&] Book Advent Calendar (day19) SPACE GRAPHYSM
Book Advent Calendar 19日目は
[ Space Graphysm ]
を紹介します。
日本科学未来館や、函館みらい大学、
横須賀美術館のサインデザインで知られる、
廣村正彰 氏の仕事をまとめた本。
サインデザインは、単なる矢印や文字だけでなく、
ピクトグラムと文字、数字の組み合わせで、
広い建物内の空間全体と現在位置を把握させる。
間違えて読み取られても困るし、
言語にもあまり依存しない。
さらに近くで見る時もあれば、
遠くから見る時もある。
普段これらの施設に入ると、
何気なく見ているサイン、
迷っている時にも頼りになる心強いサインが、
実は綿密なリサーチと膨大な試作から
出来上がっていることがわかる本。
未来館の床に広がる行き先表示のサインが、
漫画AKIRAの引用だったんなんて、初めて知った。
空間デザイン、ピクトグラム好きの人にお薦めの本。
12/18/2011
[&] Book Advent Calendar (day18) Brutus+starwars
Book Advent Calendar 18日目は
[ BRUTUS(ブルータス)2011年10/15号[雑誌] ]
を紹介します。
一冊まるごとスターウォーズの BRUTUS.
普通の資料集などとは違い、カルチャー全体からとらえた、
雑多なスターウォーズの話題が満載の本。
内田樹氏や暦本先生らの対談記事とか、
名セリフ集、
YouTubeで見られるファン動画、
キャラクタのネーミングの由来、
(Yoda は ヘブライ語で「知識」「経験」を示すイエダと、
サンスクリット語で「戦士」を意味するヨッダーの造語らしい?)
(R2-D2 は映画の編集用語 Reel-2, Dialogue-2 の意味?)
実際に C-3PO と R2-D2 を作ったら、幾らで作れるのか?
スターウォーズのタイポグラフィとか。
驚いたのは MONCLER-GAMME-BLEU のコレクションが、
Star Wars をテーマに作られたものという話題とか。
いったいどれだけ手間をかけたのか想像も着かないくらいの
多岐にわたった情報満載の雑誌。
最近聞いたニュースでは、
チェコ政府が実施した国勢調査によると、
宗教の欄に "JEDI" と書いた人が 1万5070人居たとのこと。
世界中に世代を超えてファンが居るのは素晴らしいことだ。
もう単なるファンって言えないかもしれないけど。
12/17/2011
[&] Book Advent Calendar (day17) The Science of Design
Book Advent Calendar 17日目は
[ デザイン学 (思索のコンステレーション) ]
を紹介します。
デザインそのものや、デザインテクニック、
デザイナーの仕事を描いた本は数多くあれど、
デザインそのものを分析してまとめた本は少ない。
英文タイトルどうり、科学的に、時には哲学的に
デザインをとらえた本。
なんか読み終わっても、もやもやした感が抜けないのだが、
頭のどこかで、無意識下に猛烈に何か考え始めたかのような
不思議な印象の本。
内容を噛み締めながら読むので、なかなか読めないのだけれど。
アブラクション - 生成の根源へ、制作(ポイエーシス)の地層へ
コスモロジーとしてのバウハウス
マイナス方向への遡行と生成
世界の生成プロセスとしての身振り
相互作用 - 呼び合い、触れあい、響き合いの生成
メタモルフォーゼと生命リズム
均衡関係がもたらす新たな造形
リズムの構造・構造のリズム
生命の原像へ、生成の原記憶へ
原像とメタモルフォーゼ
生活世界の「質」と工作連盟運動
二十一世紀のあるべき生活世界の道
あるべき生活世界の形成 - 真の価値と富とはなにか
あと、巻末の参考文献と人物紹介が詳しいのも便利。
インタラクションとは何かという根源的な話と、
手振り身振りとのつながりをひも解いていたり、
自然界にある繰り返しをもった構造物を分析したり。
今すぐに何かに役立つということではないけれど、
確実に記憶のどこかに引っかかる話題が満載の本です。
12/16/2011
[&] Book Advent Calendar (day16) 101 Things to Learn in Art School
Book Advent Calendar 16日目は
[ 101 Things to Learn in Art School ]
を紹介します。
帰りの香港空港で、手持ちの残り現金を使って買った本。
The MIT Press の 一連の 101シリーズの一冊。建築の101本は翻訳されているけど、
この本はまだのハズ。
まあ、アートスクールで習う101の事柄を見開き 2ページづつで紹介した本。
表紙がゴムで出来ていて、独特の手触り。
美大生はデザイナーが何となく身に付けていることがらを
体系立てて紹介した本。
こういうことを授業で習うというよりも、
アーティスト、デザイナーが自然と身につけている事柄といった感じ。
例えば、
●アートスクールを出たから偉大なアーティストになれるわけではない
●あなたの仕事をきちんと記録に残しておこう
●作品のスケール(大きさ)はどんな時でも重要な要素です
●スタジオは作業する以上の場所です。あなたの心の状態を示しています
●人の顔は平らではありません
●旅する時にはスケッチブックを持っていきましょう
●色とは、色ではなく光のことです
●デジタル向け、アナログ向け(手書き)では目的と目指す品質が違います
●文字は言葉ではなくイメージ(形)なのです
●アートとは完成物ではなく、その制作プロセスなのです
などなど。いろいろな心構えが載っている本でした。
12/15/2011
[&] SIGGRAPH ASIA 2011 (day4)
SIGGRAPH ASIA 2011
最終日の今日は、地元の中高生の見学者団体が押し寄せて、
展示会場、E-Tech、アートギャラリーはものすごい混雑だった。
いろいろ許可や手配、制限もあるだろうけど、
中高生の頃に SIGGRAPH に触れることによって、
なにかしら、テクノロジーやCGが面白い!と
思ってもらい、そういう道に進む人が増えるととてもうれしい。
また、全く興味が無く見ることの無かった人も、
友達や同級生と見ることによって、なにかしら
記憶に残ると思うから。
最終日のキーノートは、Ken Perlin
http://cs.nyu.edu/~perlin/
Perlinノイズというテクスチャ利用のための
数式(疑似乱数)から自動生成するノイズで
著名な研究者。
僕にとっては、VRMLのペンギン Sid
http://mrl.nyu.edu/~perlin/experiments/sid/
で思い出深い人です。
どんなプレゼンなのだろうと、期待していると、
なんだかビデオで自分の顔を映して話し始めた。
パワーポイントなどはいっさい使わない、
しゃべりだけの講演。
MIT Media Lab の石井先生のNTT時代の研究
ClearBoard
を引用したかと思うと、
スターウォーズの、レイア姫のホログラムを引用した。
盛んに Face to Face の大切さを強調し、何かと思うと、
おもむろにビデオカメラと距離センサー Kinect を使ったデモを始めた。
技術的には既存技術の組み合わせ。。。と言えばそれまでなのだが、
そこにはそれ以上の未来があった。
画面の前で指、手を動かすとコミュニケーションのための
図柄が補完されなたら滑らかに描かれ、
物理現象に従って動き出す。
手を降ると、描いたモノは光のクズとなって消えさる。
その上、スターウォーズのホログラムのごとく、
たびたび画像が不安定になったりするのだ。
こんなにネットワークが発達した時代でも、
メールだけじゃなく、チャットだけでもなく、
電話だけじゃなく、ビデオ電話だけじゃなく、
顔と顔をあわせてコミュニケーションする。
SIGGRAPHにも多くの人が、
あまりおいしくない食事を食べながら長時間飛行機に乗って、
時差ぼけにうんざりしながら、集まってくる。
顔と顔を会わせて何かを話すため、
セレンディピティを求め、
発想の転換や、日常とは違う環境を求め。
テクノロジーが進めば進むほど、
コミュニケーションの質と、
そこで取り交わされる情報量の大切さに
研究者はこれからも試行錯誤していくんだと思う。
ジョブズの言葉を借りると「人は気づくから」。
講演の後の Q&A で、客席に居た Bill Buxton の質問も鋭かった。
世の中には市販品クラスのUIがあって、
その上にミリタリークラスのUIがあって、
さらにその上にはミュージシャンクラスのUIがあると。
(これは音楽家が、自分の演奏する楽器に対しての操作感に
一番シビアだということ)
そして自分の親世代でも使いこなせ、
どんなコミュニケーションにも使える「ペン」にかなうものはまだ無いとも。
この領域、結構飽和しているんじゃないかと勘違いしていたけど、
まだまだ奥が深く、解くべき課題もたくさんあることが再認識できた。
今年の SIGGRAPH ASIA は小規模ながらも、実りある数日間でした。
個人的にはキーノートとE-Techに関しては、
夏のSIGGRAPH以上に充実した内容だと思いました。
スポンサーの皆さん、関係者の皆さんありがとう。
たくさんのボランティアの皆さんありがとう。
素晴らしい SIGGRAPH でした。
[&] Book Advent Calendar (day15) Information Graphics
Book Advent Calendar 15日目は
[ Information Graphics: Innovative Solutions in Contemporary Design ]
を紹介します。
縦に長〜い Infographics をよく目にするようになった。
一目で数値的な事柄や、分析された情報を理解させてくれるので
便利であるとともに、見た目的にもなんだかワクワクする。
新聞や雑誌の世界では、読者に分かりやすく伝えるために、
Infographics 的な仕事をしていた人は多くいる。
Infographics とは言わなくても、
はっとするような、感心するような図柄も多くある。
Infographics を描くには、デザインセンスだけではなく、
情報や数字を読み取って、組み合わせて、伝える形にするといった、
多くの事柄の積み重ねによって形作られる。
素敵な Infographics を目にすることが多くなったが、
その制作手法や、テクニックは、ある意味職人芸的なもの。
この本は 1枚で示す Infographics 的なものから、
マニュアルの中の説明図や、操作画面のデザインまで、
様々なクライアントワークを元に紹介している本です。
出来上がった Infographics がどう読み取られるのかといったことも。
少し古い本 (1999年) ですが、お薦めです。