12/12/2011

[&] SIGGRAPH ASIA 2011 (day1)

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第4回目の SIGGRAPH ASIA 2011, 今年は香港で開催されています。
イギリスの影響がそこここに見られ、
電源の形状が違ったり、2階が Level1 という戸惑う要素もいろいろ。

初日の今日は、まだまだセッションの数も人も多くなく、
ゆるりと始まった感じです。

#コースの内容は ACM Digital Library からダウンロード可(有料)です。

■Introduction to Computer Graphics,
■Modern OpenGL Programming は 90年代から続く
老舗のコースで、内容の初歩的なもの。あまり人気も無かったもよう。

■Time of Flight (ToF) Depth Sensor based 3D Imaging Architecture for Future Display
のコースは、Kinect など3Dセンサー(depth camera) が手軽に使えるようになってきた環境で、
取得データの扱い方や、モーションブラーなどの問題、精度や欠けているデータの補修
などを話題としたコース。
サムスンの研究所の人が、ものすごい手間と資金をかけて、
研究や追試をしていることがわかりました。

■Advances in New Interfaces for Musical Expression
は、最近増えてきたデジタル楽器のインタフェースに関するコース。
楽器は、手軽に誰でも音を出すことができますが、
感動する音楽を奏でるとなると、
ものすごい量の練習をこなさないとうまくなれないもの。
それに才能が無いと、練習しただけではどうにもならないことも。
単に既存の楽器がデジタル化するということではなく、
演奏というインタフェースを考えたコースでした。
(DVDに網羅的な資料があって後から見直せます)

■Developing Visual Interefaces for Mobile Devices
は、タイトルから見て一番期待していたコースなのですが、
内容はグダグダでした。残念。後から資料見れば十分です。

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How to write a SIGGRAPH paper
は、とても素晴らしいコースでした。
そのタイトルどうり「どのようにしてシーグラフ論文を書くか?」です。

 的確な問題を見つけ出すこと
 的確に実行すること
 既存の論文の内容を逆にするだけでもいい研究になる
 (グレースケールをカラーに変換する研究の逆とか)
 たくさんいい論文を書く。
 とにかく頑張る。
 あきらめない。
 シーグラフの論文採択システムを批判しない
 経験のある人と一緒に研究する
 突拍子も無いアイデアを恥ずかしがるな
 すでに製品や作品を作っているグループとコラボレーションする
 著者欄を書くのは後でいい、論文の本文から書き始めろ
 他人にインプレッションを与えなくてもかまわない
 自分が研究したことにひたすらフォーカスして書こう
 たいしたことない論文と思われるかもしれないと心配しないこと
 最後のまとめは要約のコピーではいけない。論文を読み終わった人へのまとめを書く
 最後のまとめでは伝えたいメッセージを込めよう
 完璧な研究や論文は無い。やったことできたものを愚直に書こう。
 エレガントな論文なんてない
 テキストの羅列ではなく、構造化された文書を
 書き終わったら、あなた自身に新しい知見がもたらせたはず
 問題点を隠してはいけない。意図的に隠すのも、意図が無かったとしても。
 自分に厳しく


 体と心の健康は大事。
 研究人生は長いのだから、論文落ちたくらいで落ち込まない。長い視点で考える。
 惜しかったなら必ず次ぎがある。
 プロらしく振る舞え
 消耗する心をうまく扱う
 SIGGRAPHは審査が厳しいので、論文が通ることに自分のキャリアの全てをかけるな
 論文に落ちたら、次のステップを定めよう
 論文に落ちたとしてもレビューワーの評価に感銘を受けたら、再投稿をめざせ
 レビューワーは必ずしもその分野の専門家では無いのだから厳しい評価も気にせずに
 論文がリジェクトされたこと、レビューワーの評価から学ぼう
 

 まずはレビューフォームに慣れよう
 レビューワーにちゃんと理解してもらうことが重要
 論文の重要性、有用性、新規性、独自性をアピールする
 Microsoft Research の
Top authors in Graphics
 解説や用語は適切に書かれているか?
 ロジカルな構成で、読む人に伝わるか?
 研究の問題点を明確にしておくこと、隠さない
 論文の90%は、レビューワーはイントロだけ読んでリジェクトの判断している。
 イントロは重要。内容に漏れが無いように。
 ここで解く問題がいかに重要か?自分のソリューションが素晴らしいか?
 過去の論文では解決できていない問題を解決していることを簡単に示す
 図表をうまく用いる、極端に言うと本文無しで、図表とそのキャプションだけでわかるくらいに
 Previous Work の紹介はフェアに、都合の良いものをならべないように。
 Previous Work は単なるリストにならないように、包括的なものに
 Previous Work は自分の論文との違いを説明する
 最後のまとめは、研究の欠点を再度取り上げ、今後の研究課題としてとりあげると良い


 問題の選び方は重要。既存の方法の改良は新しい研究よりも難しい。
 数式は簡単な表記にすること。全てのシンボルは定義を書くこと。
 数式に関して、全てのレビューワーがその分野の専門家とは限らない
 コミュニティーの一般語を使う、レンダリングならその分野、モデリングならその分野など。
 SIGGRAPHだって良い論文を見落とすこともある、そんな時は他の学会に。


 論文は可能な限りたくさん読もう
 もちろん SIGGRAPH にも参加しよう
 経験のある人に助けてもらおう。
 アイデアが1つ入った論文なら4ページ、2つアイデアがはいった論文なら8ページ以上
 早めにプロジェクトのスケジュールをたてよう
 早めにドラフトを書こう
 体調管理は大事
 創造性は健康度に比例する
 オフィスの外でアイデアをもらうことが多い
 SIGGRAPHは他の研究者と話す良い場所
 採択されなくても怒らない
 レビューワーはいかに採択しないかと考えていると思って挑戦しよう
 客観性を持って論文を書こう。自分は良いと思っても、そうとは限らない
 必ず落ちる論文、必ず受かる論文がある。ボーダライン周辺はあいまい。
 サンプルの三次元モデルを作るのに手間をかけるな
 その研究の中で大事なことにフォーカスする。サンプルモデルは大事なことか?
 
などなど、シーグラフに向けて論文を書くというのは全て人に当てはまらないが、
このコースの内容は、多くの人の多くの場面で役立つと思った。