12/15/2011

[&] SIGGRAPH ASIA 2011 (day4)



SIGGRAPH ASIA 2011
最終日の今日は、地元の中高生の見学者団体が押し寄せて、
展示会場、E-Tech、アートギャラリーはものすごい混雑だった。

いろいろ許可や手配、制限もあるだろうけど、
中高生の頃に SIGGRAPH に触れることによって、
なにかしら、テクノロジーやCGが面白い!と
思ってもらい、そういう道に進む人が増えるととてもうれしい。
また、全く興味が無く見ることの無かった人も、
友達や同級生と見ることによって、なにかしら
記憶に残ると思うから。

最終日のキーノートは、Ken Perlin
http://cs.nyu.edu/~perlin/
Perlinノイズというテクスチャ利用のための
数式(疑似乱数)から自動生成するノイズで
著名な研究者。
僕にとっては、VRMLのペンギン Sid
http://mrl.nyu.edu/~perlin/experiments/sid/
で思い出深い人です。

どんなプレゼンなのだろうと、期待していると、
なんだかビデオで自分の顔を映して話し始めた。
パワーポイントなどはいっさい使わない、
しゃべりだけの講演。
MIT Media Lab の石井先生のNTT時代の研究
ClearBoard
を引用したかと思うと、
スターウォーズの、レイア姫のホログラムを引用した。
盛んに Face to Face の大切さを強調し、何かと思うと、
おもむろにビデオカメラと距離センサー Kinect を使ったデモを始めた。

技術的には既存技術の組み合わせ。。。と言えばそれまでなのだが、
そこにはそれ以上の未来があった。
画面の前で指、手を動かすとコミュニケーションのための
図柄が補完されなたら滑らかに描かれ、
物理現象に従って動き出す。
手を降ると、描いたモノは光のクズとなって消えさる。
その上、スターウォーズのホログラムのごとく、
たびたび画像が不安定になったりするのだ。

こんなにネットワークが発達した時代でも、
メールだけじゃなく、チャットだけでもなく、
電話だけじゃなく、ビデオ電話だけじゃなく、
顔と顔をあわせてコミュニケーションする。
SIGGRAPHにも多くの人が、
あまりおいしくない食事を食べながら長時間飛行機に乗って、
時差ぼけにうんざりしながら、集まってくる。
 
顔と顔を会わせて何かを話すため、
セレンディピティを求め、
発想の転換や、日常とは違う環境を求め。

テクノロジーが進めば進むほど、
コミュニケーションの質と、
そこで取り交わされる情報量の大切さに
研究者はこれからも試行錯誤していくんだと思う。
ジョブズの言葉を借りると「人は気づくから」。

講演の後の Q&A で、客席に居た Bill Buxton の質問も鋭かった。
世の中には市販品クラスのUIがあって、
その上にミリタリークラスのUIがあって、
さらにその上にはミュージシャンクラスのUIがあると。
(これは音楽家が、自分の演奏する楽器に対しての操作感に
 一番シビアだということ)
そして自分の親世代でも使いこなせ、
どんなコミュニケーションにも使える「ペン」にかなうものはまだ無いとも。

この領域、結構飽和しているんじゃないかと勘違いしていたけど、
まだまだ奥が深く、解くべき課題もたくさんあることが再認識できた。

今年の SIGGRAPH ASIA は小規模ながらも、実りある数日間でした。
個人的にはキーノートとE-Techに関しては、
夏のSIGGRAPH以上に充実した内容だと思いました。
スポンサーの皆さん、関係者の皆さんありがとう。
たくさんのボランティアの皆さんありがとう。
素晴らしい SIGGRAPH でした。