12/22/2012

[&] designer + programmer (wowlab)



職業としての編集デザイン
第1回 編集的開発
――wowlabにおけるデザイナとプログラマの協働について

http://www.a-m-u.jp/event/2012/12/shd-01.html

鹿:鹿野 護さん(WOWアートディレクター)@zuga
村:村田 純一さん(BNN書籍編集者)@mujun

村:
ここは amu という名前の場所です。
amu は(編む)です。編集とか、デザインとかそれらを総合したものを
編集デザインとして、世の中につたえていきたいというものです。
編集デザインはなんなのかというと、
情報を取捨選択して、整理するものです。
解きほぐして、あらたに紡いで、あたらしい価値観を作り出すものです。
編集デザイン的なものはいろんな分野で、いろんな人たちの間で行われていることです。

鹿野さんは映像制作をされていますが、wowlab のみなさんが、どういうモノ作りをしているのかを
ひも解いていきます。

鹿:
デザインだけでなくプログラミングもやります。
学生時代に情報デザインもやっていました。
デザイン的な表現が中心なので、プログラミングに関しては、コンプレックスがありました。
最近ようやく解けてきて、表現することと、プログラミングすることができるようになってきました。
Built with Processing という本があって、お世話になりました。

Built with Processing[Ver. 1.x対応版] -デザイン/アートのためのプログラミング入門

影で支えていてくれている人が重要なキーワードです。
今日の「編集」というテーマも大変興味深いです。

村:鹿野さんは、センスオブワンダーの固まりです。

鹿:
wowlab に長崎という世の中の全てのプログラミング言語をつかっているようなプログラマがいます。

村:
実際にお仕事されていて、もっている問題とか、解決方法とか、違うと思うのです。

鹿:
共同制作に関しては模索していて、完全な解決方法はまだないです。
こういう模索をしている人がいるんだなとわかってもらえればうれしいです。

編集するために、世の中を分解していかなければいけません。
個とチームの関係性に関しても触れていきます。

いつも重点を置いているのですが、
自分の中にデザイナーとプログラマーを共存させていくのが重要だと思っています。
時間があれば、これまでに作ってきたものが、どういう思考回路で作られてきたのか
ふれようと思います。

●協業がもたらすもの。
究極的には全員がデザインとプログラミング両方できれば良いのですが、
実際はそういう感じになはりません。大きな溝があったりします。
協業すると何がもたらされるかというと、
経済的な視点と、創造的な視点があると思います。
経済的な視点に注目しがちなのですが、創造的な視点が重要です。
両方共存させていく必要があります。
まず、一番わかりやすいのは、
コラボレーションがうまくいくと、効率化して、プロジェクトを並走させることができます。
実際はデスマーチに近くなりますが、これは一人では難しく、複数でなければ無理なことです。
必ずプロジェクトの終わりと次のプロジェクトの始まりは重なっていて、並走が必要です。

究極的には「どんな状況でも納品に向かっていく強さ」です。
風邪ひいたり、娘の運動会に出席したかったりしても納品しなければいけません。
震災の時に、オフィスに出社できないという状況になり、
Skype と共同制作の環境で、なんとかのりきりました。
仙台のオフィスなのですが、交通手段が無く、ネットだけがギリギリあるという状況でした。
これが「協業」の強さでした。
そうすると、最近、会社に居なくてもいいんじゃないかなと思うようになりました。
なにかプロジェクトを立ち上げるときは、顔を合わせる必要がありますが。

もう一つの視点として想像的な側面として
「個を超えた成果」は協業から生まれると思っています。
プログラミングもできるようになってから、自分のやれる範囲内でしか
ものを作らなくなるので、より専門性の高い人と一緒に仕事することを意識的にやってます。
協業してものを作っていくことが個の力を超えたものを作っていきます。

逆のケースもあって、一人でやったほうが良い場合もあります。
成果物があるものは協業し、
作家性があるものに関しては一人でやった方がいいです。

デザイナーが作るものはスタティックなものが多いです。

世界観の構築「かたちとふるまい」
世 = 時間
界 = 空間

世界観という表現をしていますが、
世界を作り出している、その世界があるだろうという幻想を造り上げる効果があります。
これを押すと、これが動くだろうという、
予測と結果がうまくくみあわされたものがあると思っています。
形と振る舞いの両方を表しているものを、デザイナーとプログラマが造り上げています。

たとえば、グラフィックデザイナーを決めていく時に消去していって、一つに残します。
プログラムはテンプレートを作ってから、バリエーションを増やしていきます。
ひな形を作る作業と、そこをうまく作れば協業がうまくいきます。

会場の参加者:デザイナー人数>プログラマ人数

たぶん、その違いはどうしてもあって。
wowlab は 4名はプログラマで、全体は 10人くらい。
それ以上増やすと収拾がつかないです。40%がプログラマ、60%がデザイナー
デザイナー向けにプログラムの勉強会をしていますが、
初歩の段階で激しい拒絶が発生しています。
やったことが無いとはいえ、プログラマがそばにいる仕事環境なのですが、
なかなか踏み込めないんです。
変数とか、関数とかの段階で、デザイナーがキレてしまいます。
モチベーションが違うので、無理に強要することはできません。

●「一揆」

なぜ一揆?
こういうように激しく打ち壊すだけが「一揆」なわけではなく、
大勢で物事を決める時に皆のエゴとかで決められなくなったときに、
共同で持っている幻想をもとに、皆で決めましょうというのが一揆です。
共同幻想に基づいた合意形成です。

一揆は何かなと考えると、おなじ目標や、同じ幻想を持つのが大事です。
デザイナーとプログラマーの仕事は「一揆」だなと思ってます。
優れた成果物や、優れた美意識を共同幻想として持つのが大事です。
共有する何かを持って。
それは言語化できるものだけとは限らないです。
共同幻想を持つのが大事だなと思っています。

村:一揆にたどりついたのは、どういうプロセスですか?

鹿:Amazon がなぜか僕に「一揆」の本を薦めてきたんですよ。
何回もレコメンドされるので、読んでみようかなと思いました。
それも絶版の本でしたが、読んでみました。
なんか今まで読んだ本と似たような本なら買わないのですが「一揆」だと気になりますよね。

村:レコメンドされるべくしてされたのかも?

鹿:共同制作に関して、何を行っていくかというところで、
開発があるんですけれども、プログラマー長崎も言っているのですが、
開発は、編集的な作業です。
いろんな表現のエッセンスをプログラムに盛り込んでいく、編集的な作業です。
いわゆる開発しましょう、デザインしましょうというのではなく、
細かい要素をミックスしていくようなものです。
amu (編む)といっていいような感覚があります。

ここでWOWの作品上映:どんなものを作っているのか、映像と開発事例を。



WOW Visual Design(ワウ ビジュアル デザイン)


25周年。今までやった仕事の代表的なものをまとめて。本になっています。
Amazon でレコメンドされたら是非買ってください(笑)

力を入れてやっているのはインスタレーションです。
空間に映像を投影します。
コンピュータベースですが、アルゴリズムベースで表現することが多いです。
空間と映像を組み合わせて、映像を人の居る位置でコントロールしたり、
映像プラスアルファ、人に体験してもらう、体験を需要視した映像です。
目で触覚を感じる映像とかを作ってます。

WOW 全体としては 40名くらいのスタッフがいて、CG専門のスタッフも結構します。
CMとか、プログラムと関係ないスタッフも、主力メンバーとしている会社です。
自分たちでオリジナルで作った映像も作ります。
一年に1作品は絶対オリジナル作品を作ろうとしています。
始めは僕が勝手につくっていました。会社の承認とか無くって(笑)
会社の中で、空き時間に勝手に会社のプロモーションビデオを作りました。
上司のところにもっていったら「いいじゃん!」となり、毎年作ることになりました。

僕も、もともとは、コマーシャルを作る仕事が 99% だったんですが、
2006年に、インスタレーションを経験してから、
「これは、もう違う!」と思いました。
Motion Texture というプロジェクトをやってから、足を踏み込みました。



最近は、インスタレーションを一歩すすめて、アプリやユーザインタフェースを手がけています。
UIのデザイナーも仙台に4名いて、面白いキャリアの人も居ます。
海外ベンチャー系の iOS アプリ作る会社と一緒にもやっています。
いろいろな縁があって、お仕事するケースが多いです。
こういった形で、プログラミングに関係するものから、関係しないものまで、
スタッフが望めばいろんなことができる環境になっています。

開発といってもプログラムベースでつながるだけでなく、いろんな視点が加わり
ファッションのデザイナーが加わったりします。

今回は開発をテーマに掲げた時に、調べてみました。

●開発
本来は仏教用語「かいほつ」
自然や知識を利用して、より人間に有用なものを生み出す行為

村:Winnyの金子さんと、お坊さんの対談があって、それで知りました。

鹿:意味としては、良い言いですよね。

村:役に立つものを作らないといけないんですよね。

鹿:アプリ、ツールを作るということだけではなく、道具を作れないかと考え、
道具を意識しています。道具も仏教用語です。

道具
本来は仏教用語:自分の身に役立つもの、仏道修行のための用具

鹿野:メタデザインというのを意識するようになりました。
デザインするためのデザインというのを。
デザインを生み出すためのデザインを考えています。
それが開発の道具ということで「熱いな〜」と考えています。
コンピュータもメタ道具ですよね。
たとえば WordPress でページを作りたいと思った時に、
テンプレートが大量にあるので、ゼロから作るよりも、
テンプレート使った方がいい場合が多くなりました。
そういう時に、デザインとは何かと思ってきて、
ゼロから作る方のではない作り方があるのだと。

もちろん一品ものだったり、特化したものは大事ですが、
一歩引いたものも、デザイナーは作らないといけないのかなと思います。



脳みそが、ものを認識する時に視覚として、とらえたときに、
直線だけとか、輪郭だけとか、色とか、分解されて、脳みそで認識して、
何なのか分かるのですが、分かれた時点で、
実は皆がみているのは、みんな全然違うリンゴじゃないかと思いました。

このすきまを埋めるのは編集的な行為で、
世界をいかに見るか?
同じものでも、見る人や、文化によって違います。
これを開発によって世の中に提示していくことが、僕の中で熱い興味です。
もろもろの意識はあいまいで、感情に左右されたり、経験に左右されたり
しますが、われわれがこういう風に見るというのを
世の中に提示して、新しいデザインを提示するというのが、
僕の中で編集的デザイン、編集的なプログラミングです。
世界をいかにみるかという見立ての提示が、面白いことです。

村:そうですね。編集それ自体を定義するのは難しいです。
認識それ自体が違うので、ひとそれぞれで、
とすると、なんでも有りなところがあって、
制約をもうけないといけないのですが。
編集の価値とか、評価は編集成果物でしか評価できないと思ってます。

鹿:再構築のための分解
手の届く範囲に、常に恐ろしいほどの不思議が潜んでいる。
自分自身に究極的な秘密が隠されている。

恊働的に作業する時に、
個人邸な作品の開発と、個人の初期衝動によるものと、
受託して開発するものと2つの大きなスタイルがあります。
これはアプローチの方法を変えないと危険です。
受託でやれることと、個人でやれること、
作歌性が不要なものもあります。

WOW で気をつかっているのは、この中間のものを考えています。
個人の衝動を周りに広げていって、
集団による個人作品、集団による集団作品を作るのを目標にしています。
会社的には直接的な利益にはなりにくいですが、知識や技術が広まるきっかけになりますし、
チームが作った作品を展示し、YouTube に載せたものが海外で展示されたり、受託開発を誘発し、
チームの開発もビジネスの中に入る、循環の一つになります。
並走できる力もチームによる開発というのに重点をおいています。
インスタレーションに限らずアプリケーションも、
自分たちの美意識でつくって、それが常に複数人のチームで作りたいんです。
会社的には、それをやりすぎると危ないんですが、
仕事がおろそかにならないよう、気をつけていますが、

個人的衝動で作品を作ることが会社がサポートするのは重要で、
一人で作った方がよっぽどいい作品ができる場合もあるのですが、
世界中に展示するような時、一人でやると疲弊し、
一人でやるほうが早いけれども、会社がサポートし、皆で表現するのが良いです。
会社も個人のセンスを利用してプロモーションをかけることができます。

どう具体的にやっているのか?
ちょっと古いですが、
仙台のオフィスで実験していたものです。
会議室にプロジェクタを置いてあって、なんか面白いことがあれば、
すぐに実験する。面白いな!というのを、せんだいメディアテークに持ち込んで
インスタレーションとして展示してもらうケースとかがあります。



TENGIBLEという影絵を使ったアート作品です。
CGで金魚を作ったり、近くのスタジオを借りて撮影したり、
すぐに実験できる環境を作ってます。

村:仕事とは関係なく?

鹿:部活的な活動としてやっています。
デザイナーとプログラマが一斉に同じ課題に対してアイデアを出すということをすると、
お互いの興味やスキルが分かるので、それが重要です。

●恊働を成功させるために必要な四つの要素

●知識・共通認識を増やすのが重要。
用語/概念/難易度/達成感/美意識

お互いの用語が食い違う。パラメータという言葉にしても、普通のことと、わからないこと。
計算の方法とか、概念が全然違うケースがあって、わかりあえるのが重要。
難易度。プロジェクトの進行を妨げる。
すぐできるとデザイナーが思っても、プログラマーとしては難しいこともある。
難易度の共有は重要。
デザイナーが「いい感じに出してね」とか、「しゃれた感じに」とか言うと、
プログラマーがキレます。
花びらがひらひらするシーンがあって、「美しく舞い降りてくれ」と言って、
デザイナーが映像を作って、それを再現するということになりましたが、
お互い同じ動きを共有するのが重要でした。
パラメータをプログラマが用意して、デザイナーがその値を調整するという
方法で作りました。

これはデザイナーとデザイナーの協業でも、同じものを見るのが重要です。
同じものを見て、キレイ、ダメとか共有するだけでも
協業作業が全身します。
WOWができたころから、社内ポータルにどんどん映像をアップして、
皆で共有しています。
プログラマがなにか課題をだしたら、一斉に皆が見て、考えるということをしています。

あのデザイナーがイケてる!っていっていたな〜と、
プログラマもぼんやりと考えることができます。

●同じことを試す。
お互いに同じテーマで、同じことを試す、
仕事をして行く中で自動的にできていると思うのですが、
仕事ではないケースでも同じことを試すようにしています。

たとえば、影絵を使った表現を課題とした時、
デザイナーが考えるものと、プログラマーが考えるもの。

●人 またがる知識を持つ人材
両分野の知識を束ねてプロジェクトを進行させる
デザイナーもしつこくプログラムに触れていく上で、
レベルの差はあれど、そういう人材が育つ環境は重要です。

●技術 橋渡しの道具
デザインリソースの受け渡し
インハウスツールの開発

クラウド系サービスの活用
Evernote, Dropbox, Git, POTAL, Skype,
簡単なTODOソフトとか。
Evernote のノートの共有をよく使っています。

いわゆるサイボウズを使わずに、自分たちでポータルを作ることで、
ネット上の自分たちのよりどころができます。
こころの拠り所ができます。実体は無いんだけど、拠点があるという考え方ができます。
単にクラウドサービスだけを使っていると、「一揆」がおきます。

このポータルは 15年前、単なる掲示板のようなものを作りました。
これもオリジナルの社内プロジェクトです。

Quartz Composerという技術を体験してから、
本を出しました。ビジュアルプログラミングの本です
コーディングしなくてすむプログラミング環境です。
今、自分たちで解析して、自分たち用に改造しています。
QC4iOSといっていますが、QCでiOS用に動くものにしています。
40個のパーツを解析して、自分たち用のパーツを20個用意して、
フロチャートでプログラムが作れます。

デザイナーとプログラマを橋渡しするツールとして、
QC4iOS が存在します。

実例として addLib http://www.appart.jp/
というアプリの続編 addLib U を用意しています。
採った写真から、いろんなグラフィックレイアウトにしてくれます。
今まではイラレで作ったものをプログラマが必死に再現するということを
していましたが、今回はツールそのものを作って、
デザイナーがテンプレートを作って、それをプログラマがプラグインとして開発しています。
来年の 1月ぐらいにリリース予定です。そこでは、
いくつかの乱数に基づいて、その乱数が変わるとデザインが変わるという仕組みを作りました。



これは結構うまくいっている、恊働制作の方法で、
この技術がすごく面白いので、オープンソースにしてしまおうと考えています。
ただ、このまま公開してしまうと、Apple のライセンスに抵触してしまうので.....

村:Apple に買ってもらえば?

鹿:世界中の皆さんに活用してもらいたので、QC コンパチブルな開発環境として。
2013年、オープンソース化しますので、
見かけたら、是非使ってみてください。

最後に....

●環境 他の分野を巻き込む
二軸で恊働していくうえで、建築の人、プロダクトの人、
もう1つ2つ加えていくと、自立した関係を保つことができます。
実際の作業はそれほどミックスされません。
認知科学の先生を読んで話をしたとき、
例えば、表現がどう認識されているのかということを、
デザイナーは、デザイナーとして、プログラマはプログラマとして
興味があります。
探求というか、お互いの興味を進めると、何かが生み出される環境になります。

建築家のプロセスと、プログラミングのプロセスは共通して、
プログラマの視点で、建築家の視点で、面白いことができます。
お互いにプロセスや、問題解決の方法を共有していく、
恊働をうまくさせる一つのポイントであり課題です。

村:リーダーみたいな人がいるんですか?
皆で試していくなかで、その時にチームをひっぱっていく役割の人は?

鹿:基本的には居るのですが、絶対的権力は持ちません。
困った時に、この人に来てもらうかな?というくらいの人。
実際作業している中に居る時もあるし、
プロデューサーがその役目をする時もあるし。
それは面白いなと思っています。

村:抽象的な方と、具体的な方と、理想は全部紹介して欲しいのですが.....

鹿:恊働制作の時にテーマを決めて作っていく時と、
テーマを決めないで、作っていって、後からテーマが分かる時があって、
テーマがあるということが最も重要。
デザインはテーマ性だと思っていて、
どうなんだろう?と思っていた時期もあるのですが、

小説家の小川洋子さんに聞いた話なのですが、
「数行でテーマが書けるなら、物語を書く必要は無いじゃない」と。
現象現象を積み重ねていって、最後に作品になる場合もあることに気づきました。
どちらにしろ、テーマが先でも後で、要素を分解していく必要があると思っていて、
手の届く範囲に常に恐ろしほどの不思議さが潜んでいると思っています。
自分自身に究極的な秘密が隠されている。

水とは何か?
ものすごい秘密が隠されています。




ダビンチが書いてある水の絵です。
ダビンチは水のスケッチを大量にしています。
そのスケッチに描かれたいる細かな様子は、
現代の最新の流体力学の考えと一致しています。
最新の考え方と、表現とがリンクしている状態です。

光とは何か?
交差させても消えない。波長だから。
進化/成長とは何か?
切ったりはったりしなくても、トポロジーを変えずに成長していくとか。
記憶とは何か?
ハードディスクに相当するところが脳みそには無い。どこかに溜まっているわけでは無い。
脳全体のパターンで覚えていると聞くと、なんて儚いんだと思ってます。

新幹線でずっと外を眺めていることがあります。
膨大な情報が流れていますが、全部覚えているのか、覚えていないのか、
不思議になってきます。それは全然覚えていないのか?

言葉で説明できないことが表現にはいろいろ含まれています。
自分の顔の特徴をだれかに電話で伝えるのはほとんど不可能です。
相手はそれを想像できません。
顔をパラメータ化するのも失敗しています。



いまこの空間の雰囲気も、言語化するのは難しいことです。

美しい色とは?
美しい色とは何色でしょうか?
美しい色は定義できなくって、配色とか、使われている状況とか
関係性で変わってきます。使われ方で美しくも、そうでなくもなります。
身近な概念があり、何かを作るきっかけはいくらでもあり、
なにか気になったら、作り出せる環境を考えています。

村:それは子供のときから?

鹿:特に社会にでてからです。
仕事以外の表現を考えた時に、
不思議なテーマを持っていて、
自己表現のために作るのではなくて、何かを知るために公開すると、
同じく知りたいと思っている人と知り合えることができます。
同じ興味や知りたいと思っている人と合うための活動だと思っています。
そのための色々な好奇心だと思っています。

●自己内での協業
自分の中で大きなテーマになっています。
20世紀ボヤージュという作品です。

http://www.zugakousaku.com/src/project.php?ref=voyage-ja

何かを生成することと、破壊したこととを交互にシャッフルして表示しています。
シャッフルすることによって、時代や歴史の見方が全然違って見えてきました。
シーケンシャルのなものではなく、空間のようなものとして時間をとらえられないかと
考えて作ったものです。

http://www.zugakousaku.com/src/project.php?ref=gadget-ja

これは「ホテルガジェット」という作品で、オブジェクトと
「孤独な痕跡」形容詞と、名刺のシャッフルした組み合わせです。
計算をして、16億通りのバリエーションがあります。
こういう想像力に対しての挑戦があったりとか。シュールレアリズムがテーマでした。
もともと細かくある要素をアルゴリズムによって編集して
一つの見立てとして編集することが凄く面白いんです。
自分が編集したのではなく、編集するためのアルゴリズムを作ることが
自分にとっての「編集」です。

こういったものを作る時に、デザイナーという自覚とともに、
プログラムも出来ますという自覚を、自己内に共存させることが重要です。

それなりのデザイナーと、それなりのプログラマーが自分の中に共存して、
プロジェクトによって、どちらが主導権を握るのかを決めて、
より純度の高い制作、制作速度の加速的な飛躍があります。
作品によっては4日くらいで作るものもあって。
20世紀ボヤージュは1年半くらいかかりました。

目指しているのは、
「描くようにコーディングしたい」ということです。
考える/描く/組み立てるを一体化させたい。
プログラミングしながら、表現を考えることができるのが理想です。
最近はようやくそれも出来つつあり、実現しつつあります!
共存が凄く楽になってきている状況です。
知の探求のためのスタイルで、無理しなくてもいいのです。
自己表現ではない、知の探求の結果としての作品。
作品と言っていいのかわかりませんが、それで人に出会ったり出来ています。

好奇心を連鎖させる
分野の枠の外から
分野全体をも包んでいる謎を見つけ出す。

「誰が水を発見したのか知らないが、魚でないことだけは分かる(マクルーハン)」

編集されたものを作るときに、
現象を集めるのが重要。
アルゴリズムをもちいて、現象を統合し、独自の世界観を構築する。
いつも感度を高めてひろっていく作業を続けていくと、
現象を常に収集しています。

水をテーマにした作品ですが、水がゆれるというのが疑問になると、
そういった水というものを疑問をもったときに表現できることを
自分の中に収集していきます。その現象をどう組み合わせていくのが重要です。
分野を超えて、特にやっぱり、アルゴリズム化をしていく必要あり、
それを意識した収集をしていきます。

最初にタイトルを決めるという方法
本を作るとき、最初にタイトルがありませんか?

村:企画書に書いたものがそのまま行くときもあれば。
後からかえる時が多いです。

鹿:ぼやーっとしている時に、タイトルが思いついたら「完成した!」と思います。
そうすると、手が動き出します。

●極度の没頭に要注意!
プログラマは感じるかもしれませんが、プログラミングと思考がシンクロしてくる時があります。
コーディングから離れられなくなる時があります。
日常生活とか、どうでも良くなってくる時があるので、注意しましょう〜

村:楽しくなる?

鹿:ハイになる、思考レベルがハイになる状況です。
ささいな頭の中と、プログラムのささいな差異が気になります。

プログラム遍歴
僕が最初にプログラミングしたのは MSX です。
マニュアルどうりにプログラムをうったら、自分の命令によって
動くものが表れたのを体験して、描かせるというこことが
コンピュータによって出来るんだということがわかりました。
入力したプログラムが高速で動作する「MSXべーしっ君」が必須でした。
HyberCard, MacToolBox, Flash, Processing, OpenFramework, Three.js/JQuery
最近は WebGL/Three.js が興味深いと思っていて、wowlab でも調べています。

村:まとめると、
なるべくチームを作って、同じものを作って、同じ言語を共有して、
コミュニケーションできるようになって、
プログラマはデザインを勉強するし、
デザイナーはプログラムを勉強するし、
そういう環境とツールを用意する。

鹿:QC4iOS で、デザイナーがプログラミングにコミットしたい状況になっています。

Q&A

Q. チームの作家性のために、実験的なことをされていたと思うのですが、
うまく機能したことと、ダメだったこと。

A. リーターが居ない状態で、作品がどんどん出来ていった状況で、
自発的にできあがる時がありました。
ディレククターが居なくても出来たのがありました。
一番うまくいかなかったのは、デザイナーがやりたかったことが、
技術的に実現できなかった場合がありました。
カメラの台数が足りなかったり、映像がマッチしなかった時があり、
プログラムの修正が何度も何度もありました。
それはいつも失敗だなと思いました。
見かけ上はうまくいっても、うまくいってない場合があります。
技術的に翻訳する段階、コミュニケーションのエラーです。
それは避けないなと思っています。
好きな事をやってもいいよという現場を作るのが大事です。

Q. 今までの仕事、すごくモノやコトをゆだねているという感覚を受けたのですが、

A. 科学者の人が何か数式を発見した時には、その科学者が作ったわけではなく、
たまたま見つけた時。
みんなが複雑なストーリーや現象をたまたまお借りして、表現しているにすぎない。
オレが!ということには結びつけられてなく。
創造性としては、お借りしているという感じです。
インタラクションものの場合は、自分がコントロールできるのは半分で、
もう半分はそれを見る人によるものなので、作品に寄り添ってもらう感覚があります。
インタラクションは色を使わないとか、フラットなものにしています。
参加している人が想像する部分だと思っていて、そこには毎回気をつけています。

Q. 理系の学生は表現が得意では無いと思っていますが。どう連携すれば?

A. 例えば情報デザインとか表現系では無い人の発表は、デザイナーの視点で
イケてない場合が多いですよね。そう見られるということを意識する。
良いグラフィックデザインをたくさんみたりすることが重要。
僕らも、映像を作る時もグラフィックデザインをベースとしている。
インフォグラフィックスも重要。
あと、研究以外の情報交換が重要なんじゃないかなと。

12/17/2012

[&] Direct Publishing 2012 Winter






ダイレクト出版オフ 2012 冬
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ダイレクト出版オフ 2012 冬 @NHN
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いしたにまさき さん

すばらしい出席率の高さに加えて、すばらしい知った顔率の高さです。
一応、今回、なんで?というのもありましたが、
一応アンケートによると、45%ぐらいの方は KDPで出版されているということで、
そのことは、もういいやってことに、各自どうにかググってくれということに。

僕の立場としては、KDPはいろんなものを吸い込む要素を持っていて、
それが楽しくて、各方面をあおったり、いろいろしています。
知り合いが多いので、授業参観みたいです。
鞄の話なら一晩できるのですが、今回は違うので。.........

KDP おもしろい!。いろいろな立場で話せますね。
アメリカで始まったのは 4-5年前。
遅れて日本で出て来た。
アメリカの状況と、日本の状況は違うよね?
予想していた人、Kindle Store 始まると同時に KDP 始まったのが凄いですよね。
始めから皆さん期待していました? 始めから来るのがびっくりしました。

●他の書籍マーケットとすると 4〜30倍の差があります。Kidle Store 全体で。
しかも Kindle ストアは始まったばかり
しかも Paper White 出荷前の数字
Kindle ストアはこれから、大きくなることしか想像できない。
すでにこんなに差がついている。
他の電子書籍マーケットに出す理由がない。Kindle Store に出さない理由がない。

Kindle 限定でコンテンツを出すということに関して、Amazon が優遇するとか。
僕自身は、調査と原稿を用意しているのですが、校正が遅れて、まだ出せてません(笑
ある意味一番数が少ないのが、いままで本を出していた人が Kindle 本を出す。

●iPad mini できまり
でも他のアプリなどでも PC 版もそのうちリリースされるはず
さ●れど Paper White
世界でいちばん Kindle が一カ所に大量に集積している場所あり。
→飛行場の忘れ物置き場(笑
無くなっても、IDでヒモづいているので、別に困らない。
5-6000円しないし、誰も回収しないそうです(笑
これが Kindle の有るべき姿かもしれません。

●KDPを使う立場
エロも可能
アップデート可能(表紙はアップデートできない)
技術系では運用実績あり
紹介してくれた人にお金と評価というフィードバックあり
アフィリエイトという経済圏とは違う

他の媒体と違うのはアフィリエイトが設定されていること。
今電子書籍系のアフィリエイトは 10% の率で設定されています。
ベストセラー系だと、3% とか4% とか、1000円の本を売るよりも、
300円の Kindle 本を売った方が良かったり.... というのが現実であります。
なぜか若干安売りの傾向があって、1万円の本とかあってもいいと思っています。
そうすると、本気でアフィリエイトで紹介してくれる人も多くなると思います。
ごく一部の大量の PV を稼いでいるひとはともかく、
ブログに載せたレビューが評価されたという、継続的に紹介する
モチベーションにつながっていくところが面白いものです。
これはアフィリエイトをやってみないとなかなかわからないところです。

●ウォッチャーとして
いろんなものの中間地点にある
Webと紙
ブロガーとライター




その人の好みによって、左によったり、右によったりするでしょうけど。
いろんな状況で変わってきていて、
ライター時代もありますし、ライターの知り合いも凄く多いのですが、
仕事の領域が、動いてきています。
若い世代であれば、いきなりライターデビューというのも無理なので、
何か書きながら、だんだん広がっていく。
とにかくSEOで勝てないと仕事が回って来ないのです!
これは書籍に限らず、自分の書いたものが、どう流通していくのか?
電子媒体で書くからには、流通すれば流通したものが価値。
検索して、見つからないと、読んでもらえない。

●お金の話
多くの人は、儲かる手前でやめてしまう
儲けないと継続不可能になる。
ただし続けるために儲けようとするのは、手段と目的の転倒
ダークサイドに落ちるなよ!

●うちの近所に 1000円キャバクラってのがあって...

うちの近所に1000円キャバクラってのがあって、5時から7時までワンドリンクで1時間1000円
キャバ嬢がドリンク頼んでもいいですかー?って聞いても断って(キャバ嬢はこのオーダーで利益を得る)、
俺の好きな鉄道の話を1時間たっぷり聞かせて帰ってくる
友達も嫁も家族も聞いてくれないからな
これがキャバクラの正しい使い方
ここのキャバクラ嬢のほとんどが鉄道知識豊富になって、休みの日一緒に田端で撮影したりするようになった
(http://2chcopipe.com/archives/51758233.html からの引用)

●そこそこ書いているブロガーは、地の果てまでバックリンクを追いかけてますよね?
その次を捕まえたり、変化していくには、見たものをものに
新しい読者を確保して、見える化していくのが重要です!

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NHN 齊藤さん

livedorr Blog
事業10年目のサービスです。
国内ブログサービスの中でPV1位です。
EPUB書き出し機能(β)始めました。縦書きに対応しています。
今日ベータがとれました。

「キンドる速報」も始めました。
個人が発信するツールや環境を提供し続けてきました。
個人出版を応援するブランドでありたいと思っています。

Kindle 本ランキングの傾向
11/14 からはじめて、技術書が上の方にあったり、創作ものが多かったが、
週をおうごとに、実用書がランキングに入るようになりました。
割引のおかげでグインサーガが入ってきました。

100位までの中で
最初は 12% 程度でしたが、今は 30% ほどです。
コンサルティング関係の実用書が占めています。

タイトルの収集のために、ランキングの下まで見ています。

泉鏡花の現代訳
虹創作の同人誌(さすがに今はストアから消えています)
ゲームブック

●買ってはいけない、ワンクリック詐欺風(1万9000円の本もあったり)
1週間以内であれば、1クリックで払い戻しされます。
機械翻訳しただけのものとか。

EPUBの書き出し機能をテストしていて、
青空文庫の本を1日出していたら、銀河鉄道の夜が 100円で 10人売れてしまいました。
ごめんなさい。

●ランキングを観測してわかったこと
現時点ではパイがちいさい
ネットの口コミの影響はおおきい
値下げの効果は大きい
サブカテゴリのランキングは売れ行きにあまり影響しない

●Kindle本の市場規模はそんなに小さい?
津田さんの本でも一ヶ月1位でも1万冊いかない。
紙の方と比べてどのくらい小さい?
阿川さんの「聞く力」の書籍は、月あたり8万冊ぐらいのペース

●意識調査
1006名のブロガーの皆様から回答を頂きました。11月下旬の時点
男性70%, 20-50台が80%
購入ありが 30%
書いてみたいと思った人が 55.5%
書いた事がある人で一番多いのは同人誌。商業出版も30%弱
書いてみたい本の種類:
小説、実用書、技術書、ハウツー本、日記、エッセイ
漫画、イラスト
電子書籍として販売したい人が 47.3%
出したいと思っている人は多い。(ブロガーだから)
KDP 知らない人が 65.3% 、使ったことがある人が 1.6%

今書いてある記事ですぐに利用したい 17.4%
記事をあらたに書いてから利用したい37.%
Livedoor blog の EPUB 書き出しに関して、7割知らない。

編集の存在を必要と思っている人が多い。
編集作業サービスが欲しい。
自費出版商法との誤解。(60代とかで、コリゴリした人がたくさん居る)
「これ切ないな〜:いしたに」

●潜在的「出版ブロガー」は少ない?
アンケートの割合からいうと、ブロガーで、ブログ出版したい人が 12万人いる計算

ブログサービスも昔有料だったので。
Kindle の仕組みを知ってしまったら、今すぐに、今週中にも増えるかもしれない!
「自費出版商法」の負の影響がある。

●今後推進すべきこと
正しい情報とともに認知度向上
出版の支援体制
色々な挑戦をしていいという空気の醸成
ブロガーの背中を押す

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■パネルディスカッション


■パネルディスカッション

Q1.
現在執筆中で近日出版予定です。
まだ手探りなので、執筆から出版にいたるまでのお話をお聞かせください。

セルフバブリッシングに言葉を変えた。そうしないと、自費出版の広告が載ってくる。

会場から:
編集はどうするんですか?校正はどうするんですか?
読者が「編集/校正が無いということは、失礼だ」という人が居る。
出したいんだけど、編集/校正どうしようという人がいる。
書きたい人がいるんだけど、どうするんだろう?
ISBN とかどうするんだろう?とか。

会場から:
ブログを書いた時間とか、時刻を、どう電子書籍に落とせばいいのかな?

ライブドア:
livedoor ブログであれば、時刻はあまりいらないので、デフォルトで消しています。
コメントも、デフォルトで消しています。
リニアで最後まで読ませるものとしては、コメントは違う。
作るひともそうなんじゃないかなと思っています。
自費出版、自己出版。との違い。そこからです。

会場から:
自費出版と、編集が無いといけないと思っている。
自分から直接出したので、編集が無い方がいいと思っている人がいる。
それがこの件で混ざりやすい。
自己出版の手伝いをすることと、どういう違いがあるのか?

いしたにA:
KDPが面白いのは、出したくても、出せなかったのが、
「とりあえずだせる」というのが大きな変化。

Q2.
ダイレクト出版を執筆者と編集者で組んでやる場合、
印税をどの比率でシェアするのかの議論を聞いてみたい。

ハートロジック小林さん:
何をしたいか?編集者と組むという場合も、
二人で作りたい目標を共有しているのか?
編集者の機能を使いたいだけなのか?文字校正を何文字するのか?
機能をバラで提供するのか?そういう値付けをすることで
答えは出るのかもしれない。
編集者を(サービスとして)使う値段は書く人が想像するよりも高くなると思います。

いしたに:
編集者に幻想を持っているのかもしれない。
仕事の仕方ということでいいと思います。
ちゃんとコミットして二人で作品つくるなら、折半。
一般的な書籍なら10% なら、そのうちの 10% とか 15% とかで決めるしかない。

Q3.
Kindle 意外に出すとしたら、どのプラットフォームがよいでしょうか?
Kobo、パブー、直販。
ファイル直接売るのは、自分でコントロールできるので、いいですよね。
あとは自分でPRするだけですよね。

iBooks Store にだしましょう!
一番お金をはらってくれるユーザーが居る。
アプリ本で 6万とか、15万とか数のでるプラットフォーム。
大きなヒットが狙えます。
ジーンマッパーは、Kindle の次に売れているのは直販です。
値段の問題はすでに出ていると思うのですが、
そこは iBooksをうまく併用してくれる。iBooks で買う人は Kindle で買わないので、排他的です。
ほとんど変わらないので iBooks Store に出した方がいいです。
KDPでしか出さない。デメリットが無い。
独占販売でPRやってくれるのは Kindle だけなので、
三ヶ月後とかに他のプラットフォームで出していいと思います。

Google Play でトップになっていた時があるが、全然売れなかった。
Nexus 7 ブームが普及した後でも、それでも「ええ?」というくらいしか売れなかった。
デバイスって、なかなかでところから自由になれないなと、
音楽だと iTunes だし、Kindle だと一番売れているのは書籍だし、
Google は売る気無いし..........
Kobo も軒を貸す会社だし。
意外と企画者、担当者を苦しめているんだな〜という実感。
自分としても Google Play で本は買わないよ〜
登録するのも「異様」です。
Google の Preview のブックサーチ用の広告を作りなさいということころから始まり、
そこにアップロードしたら、やっと販売可能です。

Q4.
EPUBフォーマットに(どのような)未来・将来性・魅力を感じますか?
個人出版物に音や映像といったマルチメディア的な要素はどれくらい、
付与されるものでしょうか?

マルチメディアがいいなら、iBooks でしょう。
オーサリングツールを触ったけど、全然大丈夫です。
最終出力が iPad と固定されているので、安心です。

会場から:
本だと思って、マルチメディアを提供するとおかしくなりますが、
Webや、チュートリアルなど、導線をあたえるといい。

KDPでがっかりしたのですが、RSS登録すると、それでいきなり販売できます。
だったら、すごく早いわけです。
わけわからないメルマガに、みかじめ料を払うよりもいいです。
メルマガお金払っても、全然来ません。

Q5. 紙媒体と電子書籍では著者の文章に変化が生まれるのかどうか?
例えば、リフロー機能により、ページという概念がなくなり、
上下巻といった巻数の分け方にも変化があらわれるかもしれない。

もっとページネーション気にしろって言われるけど。
横書きが気にならなくなった。
横書きで文芸を読んでも気にならなくなった。

会場から:
紙と同じような縦書きで作っていましたが、
6冊ほど書いているのは、全部横書きにして、横書きも、縦書きにならって、
一文字落としで書いていますが、
ブログと同じように、書いています。縦書きにこだわらなくていいかな〜と

画像は根深いですよね。1ページ1画像が現実ですよね。
それ以上挑戦すると、どこかを訴えたくなりますよね?
うまくいくとは到底思えない。

ライブドアブログでは、絵文字もあるので、つなげて出力するようにしている。

PDFで行くか、EPUBでいくか?
過渡期であるのですが...........

特に HTML もろもろの知識が無い人にとっては、EPUB はひどいことになっていて、
EPUB は HTML ですよね?
ブログから変換するのは簡単ですが、
ワードみたいなものから、変換するのがよっぽどきつい。
ブログ事業者は簡単に作れるので、すぐにどのサービスも始めるでしょう。

朝日新聞:
新しい文体が生まれてくる。
日本人が見ても文法間違いがある英語の本。
繰り返しがやたら多い。
編集者が居たら、削ることがら。
ほぼ編集の手が通っていない本。
だからこそ、電子書籍端末で見ると新しい。
アフォーダンスも変わっていて、なんか楽しい。

例えば、それって実は EPUB前提ではなくて、すでにブログがそうだった。
特に始めた直後はいじって、ページレイアウトしようとか思うが、
ある日、すべてが無駄だと思って、
使えるテクニックは「改行」改行だけが武器になる。

「本ならざる本」という新しい本。
皆が学習している、ところ。

本は活版印刷と思いがちなのですが、
もっともっと手前で、19世紀くらい。
文字の下をそろえるのも、実はDTP以降の話。

高く編集する、販売促進する人がでてきてもいい。

Q6. 携帯における「ケータイ小説」やブログにおける
「2chまとめブログ」のような、Kindle 以降のセフルパブリッシングにおいても
「ならでは」の表現が出てくるだろうと思いますが、
具体的にどんなものが出てくるとお考えですか?

同じステージには乗らない?
権利関係に関する意識が、自分とは全然違う人がでてくる。
権利関係を無視しても、大衆が求めるものがあれば、大きなムーブメントになる。

差別用語とか?
本人がリスクを追う時代がくる。
誰も備えてない。
それを指摘して、お金をとろうという人が出てくる?
Amazon は問題がおこったら、取り下げるだけ。

Q7. ぶっちゃけどれだけ売れますか?

...................


Q8.
これからなにか情報発信していく際に、
Webと電子書籍をうまく組み合わせる方法についての
アドバイスをお願いします。
まずはブログで情報を展開し、意見を取り入れ、まとめ記事としての
電子書籍があり、またその電子書籍のサポートページとしてのWebの存在意義など。

A.
鞄の販売。制作過程を全て公開しています。
皆ほとんど読んでいるので、全然クレームがありません。
鞄だから実物見たいですよね。自分のパソコン持ってきて、入ることを確認して帰る。
ツイッターの分析とか見ていても、発売して2時間半で、売り切れてます。
なので、ツイッターは関係ありません。
なんか皆、エンジンに火がついてしまって、買ったツイートが....

ブログで小説を書いていたものが本になりました。
Webですでに公開していたのが大きいです。
やっぱり、一番、すごく大事なところは、
KDPも何にも無い段階で、完結していたものに、チャンスが回ってきた。
プロだったら、ちゃんとした仕事をするんだけど、
出してやろう!と考えると、どこかにそれが見えてしまう。
それは読んでも流通されない。
それが、最初から、出版ベースで考えたのではなく、
最初からブログで公開していたものだというのが大きい。
一回終わらせているからこそ、KDPで出す時に、編集の手が入るという
意味があった。
最初の動きは良かった。Webで読めるのに、わざわざ買ってくれた。
別に色気をだしているわけではない。
鞄のメイキングも、自分で書いているわけではなく、記者の方が書いている。
プロモーションに近い話。
KDPだろうが何だろうか、読者の声が聞けるという場所に入れば立ちどころに分かる話。

Kindle でうれしいのは、読者が読み終わったという通知が来るのが素晴らしい仕組み!

Q9
ニコニコ動画や同人誌でみられるような
「そこから売れてプロになる(出版社からオファーがかかる)ような流れは起きると思います。

Kindle本がきっかけで、
来月の SFマガジンに載るようになりました。
そういう意味では、商業誌にデビューできる。
SFマガジン、4万部 売れる雑誌です。

プレゼンで SEO の話題をしたように、
検索できないものは無いも同然。
専門性が高いものほど、Kindle からの流れもある。

版権が切れたものは、新訳を作っていい。
徒然草(現代訳)ボットとか、出たら買いますよね!
夏目漱石、現代訳とか出せば 1000冊くらい売れてしまうかも!

12/06/2012

[&] tonerico @ AXIS

tonerico @ AXIS



AXIS (アクシス) 2012年 12月号 [雑誌]

(写真は後ほど追加します)

http://www.tonerico-inc.com/top.html

Y:米谷ひろし:
前段というか、話をしてくださいということになりましたが、何からはなそうかな?
AXISさんに取材をしていたくこと自体がわれわれにとって名誉なことで光栄だったなと。
いまでも AXISビル、雑誌アクシスがデザイン界の最新情報でもあり、体験する場所であり、
表紙がデザイナーであるという長年続く雑誌なので、表紙をかざりながら、
インタビューを受けるという、20年前を考えると、素晴らしい出来事でした。
取材の中で、
インテリアデザイナーとしてやっていく中で、
「インテリアデザインの深さについて」
最近インテリアデザインを最近取り上げていないんじゃないの?と言っていた
先輩のデザイナーがいらっしゃって、「最近インテリアデザイン面白く無いよね?」と
いっておられましたが、自分としては、インテリアデザインはずっと面白いと思っている。
挑戦するのにふさわしい業界だと、今でも思っています。
取材対象になって、若い人、現役の学生さん達に、
僕らがイイものだと、世間一般に言われるよりも面白いものだと言っていかないといけないと、
一般論だけではなく、トネリコの経験からくるインテリアデザイナーの深さを題材に話していこうかと!

写真にも公開された4物件の中から、
LOFT さんの物件は外しますが、
他の物件を紹介します。
自分たちで設計した自宅があるのですが、AXISの取材で、リビングの話など。
一時間半くらい、残りは質問コーナーにとっておきます。

「深さ = 密度」

インテリアデザインの深さというのが、一言で言うなれば、密度なのかな。
自分たちの目で見えた
密度 = 抽象

圧倒して行くような、いろんな要素を抽象化して
抽象化されたものだからこそ、密度がある。
抽象化は単純化みたいなもので、抽象化したことで密度が上がると考えている。

抽象化 = 単純 = 見えないカタチ

空間で表現される見えないカタチ。
見えない要素、メッセージのようなものを付加していきます。
プロダクトでも空間でも深さに対して、簡単に説明すると、こういうこと。
普段文字で、説明することは無いので、わかりやすくまとめています。

「空間」

われわれた取り扱う「空間」なんですけれども、
空間 = しきみ
これは未だに大事にしている空間感です。
しきみ = あいまいな境界線

ここから向こうに入らないでくださいねというちょっとした結界があります。
身近なところだと敷居、敷居が物理的に高いのではなく、
意識で線引きしているような、日本の伝統的な空間感。
西洋の人はそういう文化が無いので、日本的な感覚。
あいまいな境界、強固にしきられていなくても、証明が明るい/暗いでも
日本人は境界線を感じる。
空間の境界を仕切っていく。法規的なことは生々しくありますが、
強固に仕切るという、どういうボリュームで空間を仕切るのかを可gなえる。

インテリア・ワークス(作品集)

[写真]
左の何も無いところから、少し床らしきものが立ち上がっています。
一本の柱が立ちます。ぐるっと囲まれた空間があります。
柱が4本立つと、空間がわかれています。
背の高い板状のものが2枚入ると、空間が複雑に文節されます。
これがインテリアデザインの原型です。
どんな物件でもこういうことなんじゃないかと。

インテリアデザインとはいまだに強く影響を受けている考え方。
装飾的よりも、空間をどう、意識の領域を切っていくのかが大事で、
色とか、形とか、なにか様式的なことは二の次です。

MILANO SALONE 2005

K:君塚賢:
冒頭に説明して頂いた、3年目の作品です。
これはものとしては、家具の展覧会なので、
3年目の時に一番なにが変わったのかというと、
見本市の場だとしても、全体の空間を、空間としてとらえた時に、
どう相手につたえようかということに、集中することにした。
照明器具は空間を作る為のオブジェクト。
照明が着いたり消えたりし、影も着いたり消えたりする。
空間の変化、純粋に綺麗だねと、心を動かせるような何かをやりたくて
発表した作品です。結果うまくつたわり、アワードを獲得しました。
周りの人からの反応が圧倒的に綺麗ですねという単純な喜びとして伝わった。
いまだに自分たちの中では財産になっています。

Y:
この4m角の 3m という話がありましたが、
スモールブースとして決められた大きさで、SML と選べるが、
僕らは、この空間を生かした空間インスタレーションをしようと考え、
3m の 罰点の抜きを入れてとか、逆算で、このオブジェクトを設計しています。
この空間の原理原則というか、
これに集約しようと考えたのは、
空間は「内と外」や、「外部と内部」といった空間のしきりのような、
1面解放されていて、3方壁の限られた空間ではなく、グルグルとずっと回り続けられるという中心。
永遠にシームレスにつながる空間をあたえられると思った。
小さいけれど、永遠とつながるような一つの強い空間を作ろうと。
シリンダー状になっているもの1200φ 光が外に広がりながら、影が広がりながら、
中の光を消すと、周りの光を受けた外側が浮かび上がってくる。
消えるとともに、影が吸い寄せられるような感覚。
空間の本当に、空間にとって一番大事な要素で表現した。
数字を選んだ理由、原理原則とともに、数字の○が一個ならゼロで、
○が二つなら八で、デザインの形に意味があるとすれば、
装飾的なものであれば関係ない、世界共通な記号。
無意味と意味のはざまをどう使おうかという挑戦でもあった。
最初に数字がいいと言い出したのはマスコなのですが

M:増子由美:
7年前ですよね。これを考えていたころ、1年目2年目、いい評価が得られず、
だそうか、だすまいかという話をしていたとき、
たまたまその時、お世話になっていたグラフィックデザイナーのところに、間借りしていたころ。
2人はいつもどうりの仕事をしていて、雑誌をぱらぱらみていて、
広告のページに写真の広告のページに、モノクロの写真のページに、大きめの数字がはいっているページがあった
コムサデギャルソン? いくつか数字を切り取っているうちに、
数字はだれでもわかるものでありながら、弾かれるもの

 [ 写真]

はじめは他の二人の反応は悪かったのですが、
細々としたインテリアを出していたので、ひとつ一つに説明が必要だったのですが、
説明の必要の無いインパクトのあるものを出すことができました。

Y:
両極の話をしているのですが、空間の話と、装飾の話と、
メッセージとして、すごく意図的に使っていながら、3と6は、当時発表した時、36歳だったのですが、
自分の歳だと同じだと感じたり、深いところまで感情が動くな〜と
デザインを追求していくと、そぎ落ちしていって分かりにくくなるのもイヤだし、
「やっていることが全く伝わっていないんじゃないか?」伝わらないほど、痛いことは無い。
それをストレートに伝える、究極の形はなんなのか?
空間の仕切り方とはまた室が違うので。
ただ、これをやらないと先に進めないという切羽詰まった感じもあった。

[写真]
ギャラリールベイン
奥に一枚の壁と、手間にL型の壁。
サローネの空間と同じです。空間ボリュームをとるにはこれがうまくいった。
これをメッセージの格として出しています。
空間デザインとしては、白い2つの壁を立てるというのが最も重要な壁です。
ショップデザインだとその壁の重要性がわかってもらえにくい。
「寂しいので絵を飾ってくれないか」とか。

K:
空間作るときの壁の素材や色は、気をつかっているのか?という質問をされることが
多いのですが、木であれ、赤い壁であるのかというより、
なぜそこにその壁をたてているのかという方がおおきい。
ただの白い、粗の空間がいかに美しいのかということの方が重要。
素材とか、乱暴な言い方をすれば、味付けという感覚。

Y:
空間という感じそのものが「空」ということを意味しますが、
その「間(ま)」をとりますか?というのが空間デザインの原型。
人間同士でも、間の悪いヤツとか、近すぎるとか、ありますよね?
数字では洗わせないのですが、間のとりかた、間の良さ、
商品の置き方とか、いろんな「間」が大事なものです。

展覧会は、誰から頼まれたわけではないのですが「間」のとりかたを
見てもらうようになっている。
ミラノサローネは家具の展覧会なので、逆に空間を見てもらえた。

2008 パリの日本文化会館、竣工10周年で、デザイン展の空間構成の仕事です。
右上がエントランスで、導入部分があって、「WA展」
日本のプロダクトを 4人のキュレーターの方が担当しました。
導入部は伝統と現代。奥の方はカワイイ/木目細かいの木目をテーマとしたもの。
導入のアプローチ空間は、外の世界、パリの世界から、展覧会場に入るまでのもの
茶室に入るまでの路地のようなもの。

気持ちをどう切り替えるのか?というのが大事。
空間的に長くとれる場合もあり、短い場合もあり。
500mm ピッチで区切られていて、上から紙が釣られていて、周りはブラックアウト。
展示物何百という数。人は覗き込んでみるというもの。2200ぐらいの数。
高い天井なので、使い切った方がいいんじゃないかというのを逆手にとって
日本的な空間を感じてもらおうと考えた。
展示物に照明を当てるために、ペーパーの中に鈴なりに照明があるのだが、
紙に反射して間接照明にもなっている。

これも、パリの人にはいっさい日本的な空間とか、畳とか瓦とか、
紙もパリで調達したものなのですが、「非常に日本的な空間ですね」と言われ、
「伝わったな!」と思った。日本の空間構成が伝わった。
僕らも取材を受けるたびに、「日本的な感じがしますね」と言われますね。
そうした時にいつも困るのですが、なんといいます?

K:
実際そういうことを言われることはおおいのですが、
意識してやっているわけでは無いんですよね。
和食屋ばかりデザインしているわけではないのですが。
日本に生まれている以上、日本的なので、海外の人から見れば日本的なのかな〜くらいな感覚。

Y:
この会場に実際に足を運んでくださった方は?
逆氏名して話を聞きたい。

森田:プライベートで行っていた時に、おじゃましたのですが、
なかなかエントランスとか、会場にたどり着くまでに、2F, 3F の上について、
やっといい空間に身を置けたなと、安心しました。
通過儀礼のようなアプローチを通りながら、Black & White の空間で安心しました。
ここで見ているのは、ケースの高さを調整した上で見せていましたが、
体感コーナーも、大人気で、日本の様式美をひとつひとつ確認しながら見ている人たちがおおかった。
ミュージアムショップに置いてあるものがあまりにもかけ離れている、お土産物屋さんだったので、
まだまだこういったものも広くこういう、空間構成とモノを体験できる場所がいいなと思いながら.....

展示ケースはガラスなのですが、最初のアイデアとして床に置こうかと考えていましたが、
床は住むにも何にしても大事なものなので、
床に裸で直に置くという話にしたのですが、ケースにしないと盗まれてしまうということに。
事細かに寸法を計って、展示デザインも、幕の内弁当方式で、綺麗に並べていくのも、
日本的な几帳面さを見てもらうことができた。
空間デザイナーとしては、空間の中に置かれる家具も空間の一部としてデザインされている。
間の取り方とか十分注意しました。
こういう商業デザイン、空間デザイン、全部できる人って少ないんですよね。
いわゆるインテリアデザイナー以上のことはやってみたいなーと思っています。
ショップのデザインとは違った喜びです。

[写真]

TAKEO AOYAMA-MIHONCHO
ちょっと特殊な経緯。
師匠の内田さんが松田真さんと、ベストスリーくらいに好きな仕事、
移転およびリニューアルの依頼が飛び込んできまして、去年やりまして。
非常にありがたい、思い出深い仕事です。
その経緯であったり、何かあれば............

TAKEOの方:
出勤してきて、来店される間に準備していると、たくさんの日の光が入ってきて、
ライトをつけなくても、清々しい気持ちで一日がスタートできる空間で、
複雑に見えますが、シンプルな構造になっていて、6800種の紙の中から提案
する、色を扱う仕事、触っていただいてみていただく、体感して頂く空間なので、
余計なものが無いというまっさらな状態で見ていただける。
棚の前になって、紙を引き出すという作業で、棚の前にまっすぐ立たないと、
引き出しがでてこない、姿勢を正して紙と向き合える空間です。

K:
事前に頂いていた質問の中で、クライアントとどれくらいの打ち合わせをするのですか?
という質問がありましたがが、TAKEOさんの場合は、週に一回、半年ぐらいでつめていった仕事で、
打ち合わせの一回一回の精度というか、コミュニケーションというのが
抜群に取れた、思い出深い仕事です。
やっぱり、デザイナーはクライアントがいて初めて成立して、
特に空間の仕事はそうですが、
提案が丸呑みにされることはなく、どう折り合いをつけるのかが難しさなのですが、
リスペクトしてくれつつ、ショールームとしての押し引きというので、
すごく気持ちのイイ仕事ができました。

Y:
1574杯の引き出し。これの深さとか、取り扱う紙の量によって、指がどう
穴にひっかけて、紙を持ち上げて数えるかといった、
使いやすさを熟知していて、聞いた上で、いかに完結に形にするか、明瞭な要望でした。
物件自体も、空間が分かりやすい空間で、
仕切り方で、どうしようかな?と思ったのは、
建築自体が壁構造で、右と左で建築的な構造が分割されていて、
ものすごい壁を感じてしまう。はなから空間がコの字で強い構造があるので、
一体に見せるのか?外周のガタガタとした階段をうまくつかいながら、
左右の連続性を相当意識して、一番大事な決断は、
壁構造の、柱、梁、
家具も照明も全て天井の梁より下に下げたことと、
引き出し1個1個のミリ単位の調整をして、引き出しの間に指を入れて取り出すのですが、
指のスリットの寸法は、ここのお店の場合は15mm にしました。
場合によっては 20mm のところもある。自分の家は 12mm にしています。
紙の量をなるべく入れることを考え、15mm にしました。
モックアップを作って OK を得ました。

「デザイン」

自宅の話。
もう一回デザインというものに対して、日常身の回りのもの、言い聞かせているのですが、
日常というものがなければ、脱日常空間というものはない
商業空間というのは、日常空間があって、
海外のホテルとか、日常を離れていく空間。
「自宅のようなくつろげる空間」とか、飲食空間でも日常空間と混同しはじめる。
自分にとっての日常は何なのか?をふまえたうえで、非日常をやろうとしているのかは?大事なこと。

「住宅 = 日常」
知り合いから「良くこんなところに住んでいるね!」と言われるが
僕らにとってはこれが日常 

Y-House
60何平米という渋谷のど真ん中にある 14階建ての12階のマンション。
いわゆる 2LDK 玄関ホールが少し広い。
設計する時にやる手なんですが、CADでスケッチを起こさないで、
イエローペーパーをかけて、平面のあたりをつけるようなことをします。
[写真]
[写真]
[写真] 天井高を考えたデザイン
[写真」基本図
冷蔵庫は見えるのがいやなので、普段から隠れる場所に置くのをセオリーにしています。
もともと、セントラルヒーティングがあったのですが、設備のパイプを整理。
 [写真] 展開図
住宅というのは自分にとって「収納」をデザインするもの。
収納ありきで設計しているのですが、引っ越してくる前は
古い住宅をリノベーションして、事務所にいる最後のころに設計したのですが、
その頃の持ち物を徹底して整理されていたので、意見を擦り合わせながら、
収納の移植手術ぐらのことでした。
CGで展開しつつ、天井高、照明などを検証。
長いソファーが要望。収納が壁側にあって、ぶつかったあたりが変なのを検証。
木目の仕上げの質感の検証なども。
なるべく間接照明だけで暮らせればいいなと。

K:
普段、日常の仕事をするとき、コミュニケーションをとりつつ、仕事をしているのですが、
自邸ということもあるので、ノータッチということもあるので、
相当普段珍しいことなので、解体する前と、後しか見ないようにしたら、
新鮮に見ることができる現場です。
収納の扉の手がけスリットの寸法、形状をどうするのか?隙間は 12mm, 13mm にするのか?
このへんのところどうなるのか? 究極の寸法に踏み込んでいたので、
住宅としては限られた人しか住めないんじゃないかと(笑

M:
受託を施工してくださった方がいらっしゃて:イケメン竹内さんがいらっしゃったからです。
12mm で進めていたのですが手を入れたところ、ネイルがはげるので、
角を丸くするだけでも、違うので。
「引き手しゃくり」って何ですか? 壁面収納の大事なひとつ。
タッチラッチも試してみたが、使いづらさのギリギリのところで。
床も同じ 12m で、幅木も含めて、全部 12mm でそろえました。
今回も徹底して、11mm だと使えないとクレームしたり。

竹内さん:
ヨネヤさんの自宅ということで、気合いを入れていたのですが、
やはり、見えない領域を作るということで、気配を図面からどう読み取っていくかということで、
どういう風にラインを通すとか、メジを通すということか。
わずかなサイズの違いも気をつけて仕事をしました。

タイル目地ひとつとっても、職人はちゃんとやってくれるのですが、
職人的なデザイナーで有り続けるという、どこまで突き詰めるかという.....

M:
床を全部セラミックタイルにしていています。
緊張するくらいのぴりっとしたクールな空間にしたかったので、
石かタイルにしようと決めていました。グレーのセラミック。

Y:
天井は単なる塗装なんですが、グレーに塗っていて、僕にとっては「雲」です。
内には仏壇があるのですが上に人が住んでいたりすると「雲」と書いてある紙を置くだけでもいい。
天井を雲みたいにペイントしようと、エッジをぼかしたグレーの食う空間。
照明によって、グレーに塗られていることに気づきません。
なんとも意味がありそうで、あることは、やりたくなってしまうところがあって、
気づかれなくてもやりました。
だいたいひとしき写真家にとって頂いた後に、写真家も天井の色には気づきませんでした。
大きなミラーで玄関をふさいでいます。

自分の家だからできたけど、細かいことをつきつめて、
実験住宅というほどではないけれど、自然とそうなりました。
設備と構造を追いかけるというのはトラウマのようになっています。

最後に
K:
Y邸の感想からいうと、リノベーションした家に住んでいて、
そろそろリフォームしなければいけな時期になっているのですが、
相当なプレッシャーです。
今手がけている建物、群馬県のオフィスです。

Y:
社員が100人くらい。群馬の場合、会議が有る場合、100台くらい車がとめられる敷地があって、
思い切って、のばして、全室に自然光が届く空間になりました。
最初 25m 角も考えていたのですが、50m x 12.5 での中身は変わらないだろう〜 ということで。

Q&A
Q: 3人の役割分担は? 3人でやっていることの良いこと悪いこと
A: K: 役割としては、空間の仕事がメインとなってくるので、それに関しては YとK, M はコーディネート、
 しつらえをどうしていくとか、家具や、プロダクトであったりそういうデザインを主に。
 物件ごとに、どっちが主になるのか特に決めているわけではなく。
 場を作って定期的に打ち合わせしているわけではなく、ベランダでタバコを吸っているようなところでパッと決まっていく。

Q: 建築とインテリアデザインとの境界というのは? インテリアデザインは誰にでもできる?
A: Y: どうなんですかね? 困っちゃいますよね? だれにでも出来るというのは、ある意味、なんというのか、
 アマチュアなのか、プロなのか、というのは自己申告的なのかと思いますが、
 グラフィックデザイナーは、20年前は、にわかグラフィックデザイナーさえも居なかったのだが、
 今は年賀状デザインさえ一般にできるようになった。
 空間デザインも、自分はどういうデザイナーなのか自覚、自己申告、プロ意識、
 「インテリアーデザイナーの内田です」とつけて名乗っていた。
 僕らは「インテリアデザイナー」と自己申告的なことを言いながら、他のこともやります。と。
 建築家の方の店舗設計をしていたり、いいことでもあり、時代の特徴かなと思います。

Q: 発想とかアイデアはどんなところから来るのでしょうか?
A: Y: なんですかね〜 やっぱり好きにやってくださいと言われるのが一番難しい。
  要望を細かく聞けば聞くほど良くできる。その聞いたことを逆手にとるか、そのまま使うか、
  まっすぐ来たものを返す時もあるし、受け流したような不足するのじゃないかと思った時は、
  真逆のことを考える時もあります。要望が不足している時は聞かなければいけない。
  アシスタント時代のクセかもしれません。
  K: 普段の仕事は、相手あってのことなので、なにしろ一番は、相手とのコミュニケーションだと思うんです。
   相手が話していることをどこまで聞いていけるのか、どこまで表現してあげられるのか?
   100人居れば100の攻防戦があるのだが、それをどうヒモ解いて仕事していくのかということ。
  M: 私は、大学では陶芸を学んでおりましたし、本の装丁をしたり、なんとなくお仕事をさせていただいて
    現在に至るので、空間というよりも、モノよりのデザインなんですが、
    煮詰まった時はどうしますか?ということの回答は、
   発想の仕方は、普段暮らしていて、何気なく、心にひっかかること、ある時はメモをとったり、写真を撮ることが好きで
   なにか記憶にとどめておくと、仕事の発想だったり、必ず何かに結び着くんです。
  朝起きて、目が覚めた時に、床に糸くずがあって、羽ばたく鳥のような形をしていて、
  それが翌年の装丁の絵柄になったりして、心にひっかかったことは、外に出すまでの自分の中の引き出しに貯めておいて、
  経験が無駄にならなと、そういう風に発想しています。