[&] AKQA Ray(Rei) Inamoto
AKQA Ray(Rei) Inamoto @ JAAAクリエイティブ研究会
http://www.jaaa.ne.jp/2013/01/2164/
hashtag #jcreative
スピーカー:レイ・イナモト氏(AKQA チーフクリエイティブオフィサー)
モデレーター:河尻亨一氏(元「広告批評」編集長)
「広告の未来は広告ではない」
こんにちは。よろしくお願いいたします。初めまして。
最初っからトラブっていると、なんだか先が.... OKですか?
自分の顔をスクリーンで見ているのも、なんか変な感じがしますが......
それでは、お話をさせていただきます。
自己紹介から。
僕は実は、双子なんです。正直言って、写真のどちらが自分なのか僕もわからないんです。
日本で双子として生まれて、三人兄弟で弟がいます。
日本で中学3年生まですごしました。
飛騨高山で過ごし、高校一年から海外ですごし、もう人生の半分は海外で過ごしています。
日本語が話せる外国人みたいなものです。
まずちょっと変わったところから。
これは、言うまでもなく iPad です。iPad を持っている方は何名くらい?けっこういらっしゃいますね。
2010年4月に発売になって、
電子機器関連ではもっとも素早くたくさん売れたものです。
iPad のは原型がありました。
1972年にプロトタイプとして発案されたものがあります。
けっこう雑なところ、本当に機能しているものではありませんが、
1972年にアランケイが大学院の学士論文として発案されたものです。
考え方がシンプルで、Dynabook という名前、ダイナミックな本。
子供全員にあたえることができるパーソナルコンピュータです。
まだ72歳のおじいさんで、大学院ののち、Xerox, Apple, HP など研究者として働いています。
40年くらいまえにこういうものが発案されていました。
デスクトップのコンピュータが出るまえに、未来を予言していたのです。
今日のテーマは、未来はどうなるのか?
「未来を予言する最善の方法はそれを発明することである」アラン・ケイ
40年以上前に考え出して、プロトタイプを作っていて、40年後を予言していたのです。
シリコンバレーとか、未来を予言するとか、考えていくと....
Twitter を使っている人は? FBは?
Twitter の最初のオフィスがこれです。
近くに公園があります。Twitter がミーティングルームとして使っていた部屋は、
Instagram のミーティングルームになりました。
シリコンバレー、SF, NYの、こういうところから未来が作られているのです。
広告の話に戻します。
Madison アベニュー。ここにたくさん広告の会社があります。
ちょうど Madison アベニューとシリコンバレーが交わっているのが今の時代です。
そこでスタートアップに注目して、メディアの未来を考えてみます。
広告代理店は「スタートアップ」の様に振る舞うべきか?
昨年いろんな人と離しました。
これが話をした数人です。
半分は広告業界の人です。半分はシリコンバレーのスタートアップの人です。
●左上、28歳。Kevin Systrom。Instagram を発明した人です。
先ほど紹介した小さいオフィスに居たころに知り合いになりました。
●クリス投資家の方:Twitter で彼の名前を検索すると、おおくひっかかる投資家です。
一人の投資家として、FB, TW, Instagram, その他いろいろ、だいたい成功しています。
●クリスの奥さん。彼女は、広告業界でアートディレクターをしている人です。
カップルで全然違う業界で、話をすると面白い人です。
●1987年から、2005-6 DDH の社長になられた方。
戦略家ストラテジー ドロガファイルという小さいブティックのエージェンシーの戦略か DEDE (http://www.de-de.com/)
デザインとデベロップの会社を作りました。スタートアップをシステムにしている会社です。
●Mashable (http://mashable.com/) というブログの副社長。出版社の方。
幅広く、広告とシリコンバレーとの関係を知る人。
[インタビュー動画]
インタビューの時はバラバラの答えでよくわからなかったのですが、
まとめてみるとテーマがでてきました。
機構:STRUCTURE
報酬:COMPENSATION
思考:PROCESS
ビジネスにならないと、回っていかない。
広告エージェンシーは、今後どうやっていったらいいのか。
思想は思考はどうしていったらいいのか
偏見で、勝手な意見で、失礼なことを言ってしまうかもしれません。
■機構:STRUCTURE
エグゼクティブ候補を考えてみましょう。これは一体なんなのでしょう
クリテイィブと戦略家、デザイナーの明確な違いはありません。
クリエイティブがテクノロジーを適切な形で活用できなければなりません。
肩書きによって構造が決まるわけではありません。
ちょっと日本のシステムとは違うのでしっくりこないかもしれません。
アートディレクターとコピーライターが一緒。Bill Bernbach の方式が今でも使われています。
海外では日本のCMプランナーは説明できません。これは「絵がかけるコピーライター?」
アートディレクターとコピーライターが一緒になって広告を作り出すことが 1960年代から行われています。
現代はもうそういった手法は通用しないんじゃないかと考えています。
Instagram の Kevin Systrom と Mike Krieger が象徴的なのは、
Kevin の両親が広告代理店で働いていた人です。
一番最初にインターンシップで仕事をしたのは故郷のボストンの大御所の広告代理店に務めたという
バックグラウンドを持ちます。
マークは、プログラムもかけて、デザインもできる、すごい兄ちゃんです。
二人が Instagram というシンプルなソフトウェアが開発されました。
彼らのチームはアートでもなく、コピーライトでも無いです。
ART&code
コピーライトも ARTに含まれます。
物を書くという表現はかわりません。
code はテクニカルという考え方全部を含み、コードだけではありません。
スタートアップの中で言われている言葉、
最低限実行可能な製品 [ Minimum Viable Product ]
Instagram の前はバーボンというソフトでした。
携帯電話用の地図がはいったり、写真がとれたり、レストランガイドがはいったり、
友達の連絡先がはいったり、ごちゃまぜなソフトでした。
バーボンというソフトを作って、けっこう小規模な範囲、
数十人に配って、ユーザーテストをしました。そうした時に
一番人気があったのが写真をとってシェアすることでした。
そこでビボットして、バーボンにあった余計な機能を全部とりはらいました。
写真を美しくとってシャアする、最低限実現可能な製品にしまいました。
これは正直無理があると思ったんですが、
これは会社を作る時とかにもあてはまります。
最低限実行可能な代理店
これはどういうことかというと、
ハスラ、ハッカー、ヒップスター
実業家、プログラマ、最近のことがわかっている人
最低限この3人がいると大丈夫。
ヒップスターはコピライターの場合もあります。
■報酬:COMPENSATION
僕はお金のことはわかりません。ビジネススクールにいったわけではありません。
そのシーンを集めて映像を紹介します。
[動画]
目的は結果として資産価値を得ること。
長期間風化しないものを作る。
広告代理店はお金のために働きます。
人は単位起案の仕事をあたえられると、長期的に見て利益が無くとも働いてしまいます。
広告業界の人は湯水のようにお金を使うね〜
マジシャンがのし上がっていくのと同じです。
技術者ならちゃんと効果(スコア)を記録するけどね。
広告は空っぽに見えるね。
ブランドとビジネスの運命を変えることが出来れば、それはとても大きな満足感になるでしょう。
僕は、広告を作ること、話をすることでのし上がっていきたいですね。
どうやって報酬を頂いているのかはっきり把握していませんが、
一般的には、リテイナー・フィーです。Retainer
この会場にはクライアントのNIKEもいるので言いにくいのですが...
エージェンシーの人間はこの言葉が大好きです。
クライアントの方から見ると、リテイナーを払う、ある程度の報酬を決めつけるのは難しくなってきています。
誤解がある、考え方がずれているのは
リテイナーフィーを払うことが、人の数を決めつけることだと、システムがなってしまっています。
クリエイティブは、考え方を提供してサービスしているので、
数だけで物事を考えても、質にはつながりません。
人の数は才能ではありません。
例えば、10人居るよりも優秀な3人の方がいいのです。
もうひとつ、平たくいっているが、現実にはやりにくいのは。
「シンプル」は使いやすく、作りにくく、請求しにくい。
Google とか。シンプルだけれども裏側にはむちゃくちゃ複雑な仕組みがある。
クライアントにシンプルな構造を提供してお金をもらっている場合は、
なんでこんな簡単なものに、こんなにお金がかかるの?と言われ、
これはずっと続く課題だと思います。
もうひとつ。
ラクサン?ティーハン?という小さいエージェンシーの経営者です。
彼らのビジネスモデルとしては、ほぼフィーをもらい、製作をしながらお金を稼ぐ、
ここ2−3年実験的にやりはじめているのは、作ったものの効果によって報酬をもらうということを始めています。
2000万円でなにか作ってくださいと言われたとします。
1000万円で作りますが、効果が出ればでるほど、報酬をもらいます。
クライアントと話して決めますが、最高額で4000万円までもらえるという交渉をします。
2/3 のクライアントは「嫌だ」と言うそう。1/3 のクライアントは承諾するそう。
それら1/3 のクライアントの場合、100% のプロジェクトが倍額支払うという実績になっているそう。
意気込みが違い、広告主もハッピーになります。
もうひとつ。地味な事例です。
2002年にやった仕事の一つで、NIKEの仕事で、Running Calculator
マラソンをやる時にコースによってペースを考えながらはしらなければ行けません。
コースごとに、計算するマニュアル的な計算機を着くリマ四tあ。
2004 RUN LONDON, Google Map が出て1年たたないくらいの時、
ジョギングのコースが、マップの上でポイント設定すると、自分のコースが何キロあるか、
シンプルなツールです。NIKE がやられたのはブランドがMap をマッシュアップした初めての例です。
2004 RUNRONDON スマホが出る前。10km のジョギングのイベント。
どうしたら、コースを走りきった喜びをシェアできないか?
RFICタグのチップを靴に入れて、ゴールに着いた時にタイムを計測して、
ゴールに設置されたビデオカメラで、ゴールの瞬間のビデオを編集された短いビデオが携帯に送られてきます。
これをシェアすることができます。その時は画期的でした。
実はこれが NIKE+ のもとになったり、Fuel Band のもとになったものです。
広告 vs ソフトウェア
広告とソフトウェアを比べた時に根本的な違いがあります。
賃借 vs 購入
賃借と購入の違い。
一ヶ月 30万円で借りたとします。これはドブに流すのと同じ。
20万円、20年くらしていても、自分の財産にはならない。
20年間ローンを支払い続けて購入した場合、自分の財産になる。
広告とソフトウェアの違いはそこにある。
■思考:PROCESS
[動画]
技術系の人が広告を否定したり、避けている。
けれど並外れた躍進とクリエイティビティーをもっている。広告業界の問題は古い体制から買われないこと。
新しいアイデアを古いプロセスにくみこんでもなりたたない。
物への感情移入はなくならない。広告は重要。Webをつくるのに必ずしもコードは必要ない。
最近言っている事。
360
360度のコミュニケーション
UBERはアプリから直接呼べるタクシー
Square は、スマートフォンでクレジットカードを読み取れる装置、サービス
すべていいサービスだが、ブランドが、こういうものを作ったり、投資したしすれば、
ブランドにも意味があるが、なかなかそうしない。
コダックがインスタグラムを作っていれば.... 4000万円の投資で、インスタグラムは一年続けられた。
インスタグラムが買収されたすぐ後にコダックがつぶれた。もしコダックが投資していれば....
雑誌社 CONDE NASTがもし Flipboard みたいなのが?
カード会社 AMERICAN Express がもし Square をやっていれば
NIKE Training CLub はアプリにすぎないが、ビジョンがある。
NIKEの課題は、男性ばっかりにアピールしていて、どう女性を巻き込んでいくか?という課題。
その時に眼をつけたのは、
個人的なトレーナーが作れないか?というのが課題。
物理的にジムを作るのは限界があるが、お金も時間もかかる。
バーチャルに提供できるサービスがないかどうか考えた。
ポケットの中にあるトレーニングジムを作った。
すごくシンプルな考えではあるが、その360という数に、5を足すと、
365 というのは、365 日。
スタートアップは広告代理店の様に振る舞うべきか?
いやいやいや。
広告業界は古い慣習にとらわれている。テックスタートアップはそれとは違う。
エンジニアは少数精鋭で、広告代理店の考え方で、顧客と良い関係を結べます。
スタートアップが広告から学べることは多い。戦略。献身。情報発信する方法。
人々のイマジネーションをとらえるものを作る点では、広告もテクノロジーも同じ。
■まとめ
構造:階層性の軍艦
報酬:現金取引
思考:360
これからは
構造:最低限実行可能な代理店
報酬:賃借ではなく、購入
思考:365
すべてにあてはまるとは思わないが、何かのヒントになれば良いかと思います。
あと一つ。
双子のもう一人はどうなったか?
双子の兄弟 Yu は建築家。今日はこれでオシマイです。