[&] ART DIRECTOR'S EYE - Tamotsu Yagi
ART DIRECTOR'S EYE - Tamotsu Yagi
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どうもはじめまして。八木ともうします。
Oliviero Toscani 1984-
http://www.olivierotoscani.com/
80年代に、アメリカのアパレルメーカー エスプリ (ESPRIT)というのがありました。
世界戦略のために、オフィス戦略をインハウスデザイナー、カメラマンが求められました。
なぜイタリアのカメラマンを選んだのか?
全世界2000億ドルのビジネス、1オーナーのビジネスでした。
80年代、エスプリが作った服は、どう世界的に売るかといった時に、
サンフランシスコ空港で雑誌を見た時に、ジャンプして、笑って健康的な写真が目に留まりました。
クレジットを見ると、全部Toscani の写真。
ファッションリーダーの仕事であった。
すでに、Toscani はエスプリの仕事をやることになっていた。
ベネトンのアクティブなキャンペーンも彼が担当しています。
1984年にアメリカに行った時のエスプリのカタログです。
30年前、A3 より少し大きいくらい。
年4回作りました。アートディレクションをやりました。写真は全部 Toscani です。
すごく評価をうけたものです。
新聞の紙にカラーで印刷し、環境に配慮し、こういうもので表現しました。
エスプリのジーンズの差別化をするかとうことで、議論になりました。
開くと、ビスが大きく映っており、
エスプリのオーラが宿っていたものは、ビジュアルコミュニケーションでした。
アメリカにわたった当時は、英語がしゃべれませんでした。
ビジュアルコミュニケーション。言葉はいらない。
タイムレスというのを凄くいっていました。
永遠。古さを感じない。コンテンポラリーでタイムレスがキーワードでした。
エスプリのジーンズのベルトを外して、バンダナで留めた。Toscani のアドリブでした。
一番使われたのは集合写真。
ジーンズとそのラインを差別化するために、後ろのヘアースタイルとをメインで使われたイメージです。
30年前はコンピュータ無しで、全部版下、原寸で扱いました。
校正刷りができ、それで出来たものを世界中に送りました。
Robert Carra ロベルトカーラーのブツ撮りです。
メンフィスのチームが作ったものです(今はない)
これが先ほどのもので、ジーンズをものすごく拡大したものです。
印象、ビジュアルコミュニケーション、言葉が無くてもイメージで伝えていくのです。
アメリカはいろんな国の人が居るので、言葉の代わりにイメージでコミュニケーションするのです。
エスプリがコーポレートアイデンティティではなく、コーポレートイメージと言っていて、
システムを作りませんでした。
Robert Carra 1984- 物撮りのカメラマン。
Toscani は動く写真を良くとります。これはカタログにはなりません。
細かいディテールが分からないので注文しません。
全部俯瞰で撮影する手法を編み出しました。
これは当時のこういうスタイルを見いだしました。グラフィックデザイナーと一緒に。
平面的なものを見せていきました。
バックも、バックの中身も。
キャプション、品番、サイズが入っています、メールオーダーカタログです。
1ミリオン印刷しました。
黒ばりと呼ばれるもので、100%サイズの原稿のチェックをしました。
当時コンピュータが無いので、手でやったのです。
まあ、このスタイルを見るだけで、エスプリというイメージを消費者にあたえるとうことで、
ビジュアルキーワードと呼ばれるスタイルを作ってきました。
ほとんどスタイリストは居ません。
マーチャンダイザーと呼ばれる、組み合わせを考える人がいました。
まあ、こういうものを作ると1年つくると、類似品がでてきます。
また差別化するために、次のやり方を考えます。
年中、ほとんどシューティング、テスト撮りをやってました。
ハッセルブラッドの写真を使っていました。
ライティングテーブルの上で山のように並べて、選び、
選んだ写真のスケッチを書いて、ラフを渡すと、レイアウトして、写真を使います。
もう、すべて手作業です。
当時は8人でやっていました。グラフィックデパートメントは。
世界のカタログはサンフランシスコでやってきました。
僕は約7年間やっていました。
オーナーはすごくセンスがありました。
Irving Penn - Passage 2009
あれほど大きな本を4冊作るということは、大量の本を作っていました。
作るたびに、グリーンピースがデモをしていました。
7年半エスプリに居て、エスプリを出るのですが、
その仕事しかできないという勝手なイメージを自分でも持ってしまいます。
八木保 = エスプル = パワフル と印象づいてしまうと、日本で仕事が見つからないので、
アメリカで、独立しました。
Irving Penn は Passage という素晴らしい本を出しました。
NY の Irving Penn にあいにいきました。
日本にもあうレイアウトがしたかった。
当時写植で日本語を入れる作業をしました。
彼はどこまでわかっているのかわからないのだが、一冊の本ができました。
当時、僕らがデザインした後に、確認のために、
印刷のために、ファイナルの印刷直前のものを全部送ってきました。
全部トンボが入ってます。縦に三面付け。これで確認して、印刷。
ある程度印刷の知識がありましたが、これほど丁寧に作っているということに、感動しました。
すごい地味な方です。
7年ファッション、ディテールにこだわらない仕事ばかりだったのですが、
Penn の仕事で、物の見方、すごいことを学びました。
ものすごいラッキーでした。
Stefano Massei 1999- Still Life Photographer
http://studiomassei.com/
ベネトンで撮れなかったアイデアをエスプリで撮る、
エスプリで撮れなかったアイデアをベネトンで撮るという仕事でした。
ファッションというのはヨーロッパで流行ってアメリカにくる、
アメリカで流行ってヨーロッパに来る。お互いがメッセージをやり取りして
すごい、オープンな環境でした。
Stefano Massei は、三フランシスコにユニークなカメラマンが居ると聞きました。
それからほとんど一緒に仕事をするようにしました。
とてもカジュアルな方で、
日本のパッケージのイメージを撮るということで、
ひたすら並べて、絵コンテなどは書かずに、
クライアントは現場に来てもらいません。直しが入る。リシュートほど無駄は無いです。
Stefano はアシスタントを使いますが、ほとんど自分でやってしまう。
一日で 20-25カット撮ります。
全部自分で、準備して撮影してしまいます。
日本語の文字に対するアドバイスをしますが..
彼は、すごい入れ墨をしています。
彼も Penn がものすごく好きです。
卵の殻を小道具に使ったり。
CHEESE GARDEN の撮影。
蜂蜜が垂れるのを撮影したいと。
多少は Photoshop で修正していますが。
スカイツリーにオープンした店舗で、スカイツリーと、恐竜のオモチャをジョークで使ったり。
腕に「古池や蛙とびこむ水の音」という入れ墨を掘っています。
Adam Silverman
エキストララージというストリート系のデザイナーです。
エキストララージというカジュアルウェアのブランドを売ってしまい、陶芸家になります。
ヒースセラミックという伝統的な食器屋の工房を借りています。
二人派手なタトゥーを入れてます。
1m x 1m くらいのスペースがあれば、もう充分。
ディテールがどこかで見えたらいい。手前がシャドウがあってもよし。
今年の 9月に出版される予定です。
時々日本でも紹介されますが、面白い釉薬の使い方です。
2カット目からはギャラリーで、発砲スチロールを使ってとります。
日本の場合は、コンテを作ってしまうと、そのとおりに撮れないので、
もっと偶然性で面白いものを撮らないと。
俯瞰で撮るときは、その辺にあるものを重しに使います。
黒バックのリクエストがあったので、自分で、レフ版を即席で作って
光の調整をして、撮影します。
たまたまディスプレイしていたギャラリーの一室で撮っています。
ひび割れという陶器で、印象が残り、床のヒビのまわりに作品を置いていました。
作家は嫌がりましたが.....
僕たち、次のステップやるために、全部ならべて、
大まかなレイアウトを決めます。
クランプで留めて、バインディング(仮製本)もしてしまいます。
これをずっとみて、カメラマンとバランスを見てきます。
これで、3回くらいみます。取り残しが無いかどうかも。
このデーターで、完成です。
たぶんこの秋に完成です。すごい特殊な例です。
すごく僕らの感覚的なことを分かってもらえます。
3人のカメラマンと出会って、未だにイタリア人と仕事しています。
未だにアメリカに残って仕事しています。
ロゴとか作っていますが、ビジュアルの中で写真は凄くコミュニケーションツールとしては簡単。
どれだけ印象的なものを撮るのか。
タイムレス。コンテンポラリーが大事。
呼吸とか、イタリア人は独特の体裁があります。
特殊な3人のイタリア人とラッキーな仕事ができました。
技術を学ぶのか、アイデアを学ぶのか?
アイデアを学ぶにも、基本を把握していないと出来ないこと。どっちも大事。
僕は未だコンピュータが使えません。
手で切ったりはったり。メールも手で下書きしています。
特にアメリカで仕事しているとインタビューがあります。
20分くらいで、自分たちの仕事をクライアントに仕事しなければいけません。
そのとき、全部現物を持っていきます。コンピュータは使いません。
手でものを作る。頭で想像したものを手で表現していくのも、一つのビジュアルコミュニケーションです。
「センチとインチの違いが一番大変でした」
「スティーブは、やってもいないのに、想像だけで否定することをとても嫌がる。実物を見てその場で判断する。」
「デザインしすぎると古くなる」
「たくさん物をみている人ほど、物をみつけられる」
「印象に残るということは、そのことそのものがオリジナリティ」
( Designed by John Casado ) http://www.casadodesign.com/
良質なデザインは、“薫り”を感じさせる。
http://www.clippinjam.com/volume_10/cf_interview_01.html
日々のスタイルを丁寧につみ重ねることの幸福。
http://www.clippinjam.com/volume_10/cc_interview_01.html
八木保さん、今は Google のオフィスデザインのプロジェクトに関わっているとのこと!
#会場は撮影禁止だったため、載せている画像は、説明用に似たものを使っています。
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