[&] takram academy * FUON Tomihisa
takram academy * FUON Tomihisa
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(コミュニケーション、活字、編集)× テクノロジー
馮 富久 氏(技術評論社)
#takram1206
たいそうなタイトルを付けてしまいましたが、お酒を飲みながら....
今日は '99に入社してから、情報、コミュニケーションが
テクノロジーの変化とどう関わってきたのか、自分の経験を振り返りながら、
また現在の技術系コミュニティでの話しなど。
1975年うまれ。理工系の単科大学の修士。
研究がハイパーカードの研究で、99年に技術評論社に入社。
入社以来、Software Design, Web Site Expert の編集長。
gihyo.jp の立ち上げ、Gihyo Digital Publishing 責任者。
TechLION プロデューサー、WebSig24モデレータ
電子書籍を考える出版社の会代表幹事。
電子書籍って、日本の書籍が出遅れている感じがあったので、
悩みを共有しようという集まりです。
1999年はどんな年?
iモード登場。ADSL登場。2チャンネル登場。
1999年4月1日初出勤日。初日に社長に「Linuxやれ!」と言われ、
帰り道に秋葉原のラオックスで技術評論社の「すみからすみまで Linux」を購入しました。
このころは限定された読者。
Software Design 毎月 18日発売。
前身は「プロセッサ」という雑誌。
1999/4-2008/9 まで。
2004年10月号に、Project Looking Glass の全貌という記事。
Sun の JavaOne で新しいテクノロジーが出て来たころ。
アメリカのイベントで日本語で会話できて助かった。
JavaOne ステージの後に、記事で取り上げたり、
人の繋がりは不思議で、今こういう機会を頂いてありがたいです。
■雑誌って?
情報のお子様ランチ。
時代時代の流行もの、情報の美味しいとこどり。
情報のつまみ食いができる。
おまけもある。
時代時代の変化はあっても、流行はあっても、パッケージングされている。
(雑誌という)概念は普遍的、中身は刻々と変わる。
情報発信の元となっていた。
■雑誌の作り方(当時の場合)
3号同時に動く。
翌月発売号とその前後
特集と連載のバランス
テーマ/書き手/ボリューム
SDはぎりぎりページ割りが決まらない雑誌で、
カラーのページの台割を決める(先割、後割り)
雑誌としての体裁
広告の位置づけ
ビジネスモデル。イベントと連動など
■1/18発売号であれば、
前の月に編集していたものが書店に並んで....
雑誌をやっている時は、一ヶ月が早かった。
長期の休みは雑誌の方がやりやすかった。
うまく調整、スケジューリングしやすかった。
Webの場合は、さぼりがち(笑)
技術系雑誌の場合、発表のタイミングやリークや情報公開から、18日が選ばれてます。
■雑誌作りにおける編集業務
記事/企画/原稿依頼/受け取り/編集/DTP
発表会/イベント取材/インタビュー/記事執筆/写真撮影
個人的ポイントは
好奇心と経験
情報に増える
★人に合う
技術に触れる
まとめる(編集する)
情報を伝える
関係する人たち
読者
編集メンバー
執筆者/広報
印刷/製本関係者
販売関係者
広告クライアント
書店員
いろんな人と関わりながら雑誌ができていました。
当時はリバーサルフィルムが使われていて、
組版と、フィルムとの組み合わせでアナログで本が作られていました。
■第一部
時系列に見る自分のターニングポイント
2000年の夏ぐらい
この頃 PostgreSQL, Samba のユーザー会ができました。
ユーザー会のメンバーと記事を作ることになり、
メーリングリストを使って、企画して、原稿を頂いて、校正して記事を作りました。
当時メールと、ftp だけで、作業しました。
行動の可視化ができたのと、
言語の非温度感。顔が見えない分、たんたんと情報が流れていました。
メーリングリストで「わからない」と言われたり、
オンラインコミュニケーションというのを意識し始めたのがこの頃でした。
2001年6月
JavaOne 2001 取材。初めての海外取材。
海外の取材に行ったときに、あまりにも大きいイベント。
要領つかめなくて、英語が話せない、理解できない。当時ノートPCを持っていなかった。
時間と距離とインフラを凄く意識しました。
21世紀に入って 9.11が起きた年。
JavaOne Conference とは。
毎年春頃、アメリカ・サンフランシスコで開催されている。
現在はオラクルのカンファレンスと同時開催されている。
MOSCONEセンターという巨大な会場で開催されます。
街中が Java だらけでした。
プレスで質問したら、サンフランシスコジャイアンツのチケットをもらいました!
Sun Microsystems
アンディ・ベクトルシャイム、スコット・マクネリ、ビル・ジョイ他
大げさに言うと、サンが無ければインターネットが無かったのでは無いかと。
SPARC, SunOS/Solaris(BSD UNIX), NFS, Java
クラウドの概念も、その頃から言っていたけど、
ビジネスが下手だったので、うまくいきませんでした。
サンは「ネットワークがコンピュータだ」と 1980年代に言っていた。
社員 3万人くらいまで行きましたが、2010年1月にオラクルに吸収合併されて消滅。
キャンパスと呼ばれるアメリカのIT会社は、大学のような作りです。
James Gosling に 3時間 1to1 でインタビューすることができました。
今でもいい思い出です。
技術系の話しだと、好き嫌いがあるので、お子さんの話しとかする方が良かったです。
2004年春
情報コミュニケーションが大きく変わった年。
mixi サービスイン。gree も。
ブログ文化。
ソーシャルで、人の繋がりが一気に増える。記録する意識。
コミュニティとログ、アウトプットすることを意識できるようになった。
2005〜6年
紙媒体が淘汰された時代。
R25 が登場。ライトな情報。専門誌も淘汰される時代。
Web2.0 という概念がこの年に出て来た。
情報を抱え込むのではなく、皆で共有するという意識が進んできた。
2005年 YouTube サービスイン
2006年 Twitter, Facebook サービスイン
2005-2006年に休刊した雑誌が大量にありました.....2年で24誌が休刊。
SD は正体が解らない雑誌?なんとか続けることができた。
2007年オンラインが全盛。
なぜ?動画のコンテンツが増えた。ニコニコ動画、mixi 動画、個人レベルでも動画をながせるようになった。
ブログだけではなく、短いコンテンツを出して行こうという流れになった。
2008年
Twitter がメディア化しはじめた。
日本ではアーリーアダプタのみであったが、アメリカでは全盛期を迎えた。
2008年6月。iPhone3G登場。
2009年 iPhone 3G登場。日本のスマホ時代の幕開け。
手のひらにすべてが集約(し始めた)
ヒウィッヒヒーの年。
2010年
イベントコミュニティへの積極的な参加
人のつながり、リアルの温度感。コミュニケーションの再考。
テーマは「説教イベント」を考えました。でも説教したい人しか来ない(笑)
5年10年伝えられるものを、考えるテーマを続けている。
このコンセプトは、セッションを選べない。強制的に全て学ばないといけない。
2011年
東日本大震災 価値観が変わった年。
行動すること、動いてから判断する。人のつながり、情報、インフラが大切。
WebSite Expert 「緊急時におけるネットの価値」特有。
インタビューすることと、記録を残しておく、情報を伝えていく。
役立ったかどうかはさておき、ムダにならなかったと思う。
行動をおこしたことで、皆が改めてかんがえることができた。
自分が役に立つことを棚卸しできた。
第一部まとめ
紙、オンライン、イベントを通じtえ
人がいることの大切さを年々感じるようになった。
●第二部
コミュンケーションインフラの進化
会話→メール→ソーシャルネット→メッセージング
コミュニケーションコストの低下、ノンバーバル
mixi 2004 笠原さん「「人生が豊かになった」そういわれるSNSになりたい」
●会話
音と動きにデジタル化
温度(体温)の変化がわかる。
喜怒哀楽、雰囲気
コミュニケーションの補完がしやすい、されやすい
●メール
文章(活字)による意思疎通
デジタルの文字が持つ無機質さ
活字が表現する「言葉」に対しての言語能力/理解力の差
活字は受け取り方によって概念的余白が多いので、ディスコミュニケーションが発生しやすい。
●言語(活字)に対する意識の変化
Twitter nおもたらしたもの
いいね!とシェア
絵文字→シェア
Twitter をもたらしたもの。文章の簡略化
メンションによる勘違い。相手に意見を言った”つもり”になれる
良い:発信することの抵抗が下がり、積極的なコミュニケーションに
悪い:意図しないコミュニケーションが発生
●いいね!とは?
いいね!とシェアの概念。
良いね/これ好き/気になる/見たよ/チェックしておく という様々な意味
それをうまくやっているのは path の絵文字
smiled , laughed, gasped, frowned, loved
「いいね」だけで全て表現するのは、まだ無理。
●シェアとは
情報のポジティブな押しつけ。
プラスのスパイラルもあれば、負の押しつけも、シェアが産んでいる概念。
情報が一次情報なのか、二次情報なのか?
押し付けられた感があった場合があり、会話の補完ができない。
ブログのように自分の気持ち/考えを伝えることができる。
●絵文字&スタンプ文化
ノンバーバル。非言語化。ライトなコミュニケーション
表現がより’感覚的’に
うれしい/やったね/がんばる/などなと
良い表現であることはわかるが、きっちりと表現しずらい。
スマホはまだまだ文字を入力するのが面倒なので。
●言葉が持つ意味の変化
かわいい = 認識のブレが多い
戦々恐々 = 認識のブレがすくない
実は火事時に関して、同じ状況が明治時代にもあった?
「百年前の日本語 書き言葉が揺れた時代」
「おどろきの中国」そもそも一つの国としてまとめるのは無理?
■ソーシャルネットワークのコミュニケーションとは?
●グラフ:リアルグラフ/ソーシャルグラフ/インタレストグラフ
●アイデンティティ:実名/ハンドルネーム/匿名
●自己顕示・承認欲求:足あと/タグ付け
あいまいさ+ソーシャルネットがもたらした承認欲求・自意識の増幅
■まとめ
「誰もが15分間なら有名人になれる。いずれそんな時代が来るだろう」Andy Warhol
「誰もが15分間なら有名人になれる。そんな時代が来るだろう」Andy Warhol
人の言葉を引用しやすくなった。
■EPIC 2014
結構近しいことができている一方で、
人は興味以外のことは気にしないのが Googlezon
実は人は人のことを(たまには)見たい
Twitter のタイムラインの概念。ソーシャルネットの公開範囲。
Twitter のタイムラインとは、その人にとっての世相 = 都合の良いところだけを選べる
ただし実は覗かれている?
この感覚の差がいわゆる ITリテラシーと呼ばれている?
●言語化するとは
概念の余白を埋めるものだった。
↓
インターネット・ソーシャルネットの登場によりズレが増えている?
経験値の差異/環境の差異/時間と距離の制約のゼロ化
情報の審議がわからない状況が増えている。
→そもそも自分が知っているものが事実であり真実。
●所有欲の変化
クラウドとデバイスが出たことで、
物理的な所有欲。データに対する所有欲は強い。
アイデンティティの概念の変化。(炎上したらアカウント削除して新しく作り直すとか)
●スキマ時間の現象
パズドラ・ラインポップ・ドラクエ
スマホの断片的ゲームの登場
可処分時間(スキマ時間)の現象が起きてきている。
昔は中断と再開までの苦労が多かった。
スマホでのドラクエならすぐに止めて、すぐに再開できる。
●まとめ
情報量の肥大化
人間の処理時間の増加と処理能力の圧迫
活字 →文字に触れる機会の変化
編集 →自己流編集(≒脳内まとめ)が増えていく。
コミュニケーション →いきなりオンラインでスタートするケースがある。
変わらないこと:コミュニケーションを散る範囲は自分次第
変わること:テクノロジーによる経験値と環境(外部要因)
継続することは一つの大きな価値になる。
■2014年以降できになっていること、取り組みたいこと
●ソーシャルネット新世代登場 コミュニケーションが変わる
mixi から LINE タイムライン
●電子出版ビジネスをもう1段階上に
→デジタルコンテンツの価値と有償化
タイミングが重要。良いコンンツがあれば買ってくれるわけではない。
●世界も見たいけど、日本もね。
あらためて日本で頑張る。日本のメディアを意識していきたい。
スタートアップを取り上げるだけでなく、日本国内でもまだまだ見えてない部分があると思う。
Q. 時代によって、テクノロジーが変わってくるもの、ないもの。
テクノロジーで snapchat がおもしろいと思っている。
写真をおくれるけど、10秒だけ見られる。10秒で消える。サーバーからも消える。
何がおもしろいかというと、データをサーバーに残すのは簡単で、便利だと思っていたが。...
なんでも出来るようにする。Twitter も 140文字の制限がおもしろい。
昔の普通の会話に戻ってきている?会話の体験?一瞬の会話。
A. データの所有欲が無くなってきた。スリム化するテクノロジーもある。
●電子書籍
コンテンツはデバイスとセット
ビジネスは売り場とセット
日々の運用、メンテナンス、そこに対するアテンション
Q. 紙と電子書籍とのコンテンツとしての違いは?
A. レイアウトが全く違う。見る側が押し付けられるレイアウトだったが、
スマホとタブレットでは、情報構造がずれないように考えたり、
文章を考えたり、ズレても解るような書き方をしなければいけない。
解像度があがっていくのが実は問題で、昔の素材だと、眠い(荒い)画像しか表示できない。
デバイスに着いていけないジレンマ。データという意識が紙と違ってきた。
読み手の環境をどこに最大公約数に置いていくのかが難しい。
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