12/21/2014

[&] 1000 books #6 - Snow Crash (Neal Stephenson)



「安藤日記の千冊紹介」6冊目は、
『スノウ・クラッシュ』ニール・スティーヴンスン

1992年のSF小説で、近未来のアメリカには、
ハードウェア用のマイクロコードを書くプログラマと、
ピザの配達人と、エンターテインメント産業しか残っていないというお話し。
「メタヴァース」と呼ばれるバーチャルな世界の描画とか、
ネット時代の社会構造とかをことこまかに描いている傑作。
調度この頃 Webブラウザ上で3DCGを表現する VRML が盛り上がりつつあって、
Snow Crash を読んでいないと、比喩やたとえ話しに着いて行けなかったりした。

それから12年経った今では、小説に描かれていた近未来が、2014年の現実が追い越していることもあるかもしれないけど、
VR/MR/SR といった仮想現実系に関係の有る人は、発想が広がるので、一度読んでおいても損は無いと思う。

なんで今、スノウ・クラッシュをとりあげたかというと、
Neal Stephenson が、巨額の投資を得ている Magic Leap という
謎の拡張現実を手がける企業に、Chief Futurist として加わったからだ。

Sci-Fi Author Neal Stephenson Joins Mystery Startup Magic Leap as ‘Chief Futurist’
http://www.wired.com/2014/12/neal-stephenson-magic-leap/

謎が多すぎる Magic Leap だが、600億円を超える資金を集めているということは、
すでにかなりのレベルのデモがプロトタイプ機で動いていているということを示唆している。

特許情報と、従業員名など公知の情報から、いろいろと予想されている。

655億円の巨額投資が動いてるのに内情一切不明。Magic Leap のARとは?
http://www.gizmodo.jp/2014/12/655magicleapar.html

はてさて、いったい何が出てくるのか?
Google Glass や Magic Leap みたいなものが世の中一般に広がるためには、
技術的なクオリティ云々や、キラーアプリがうんぬんよりも、
実は社会性や、思想、哲学的なことの方が重要で、
常に 10年くらい先の未来を思い描いている Neal Stephenson みたいな頭脳を
召還するのは、とても気が利いた人事だと思った。
今の技術で出来ることと、今はまだ出来ないけど、その先の目指すところが必要だと思うから。

2001年に出た文庫版の表紙も気に入っている。小説の世界観をとても鮮やかに表現してるから。