[&] Don’t let team politics get in the way of shipping great design (Japanese translation)
Googleベンチャーズが教える
政治的駆け引きに、素晴らしいデザインのリリースを邪魔させない方法
(原文 : Don’t let team politics get in the way of shipping great design / Daniel Burka )
http://www.gv.com/lib/dont-let-team-politics-get-in-the-way-of-great-design
素晴らしいデザインの製品をリリースするのは骨の折れる仕事です。あなたが Photoshop の達人で、色彩理論、コピーライティング、グリッドシステム、ブランド戦略などにおいて特に優れたレベルにあったとしても、全然つまらない製品を続けてリリースしてしまうことがあります。いろいろなことが起こりえます。例えば、同僚があなたの仕事に干渉したり、誰かが勝手に組み込んだインターフェースがまずかったり、妥協してギリギリまで切り詰めたり、開発の現場での素晴らしいアイデアが見過ごされたりします。
残念ながら、デザイナーのソフト開発スキル向上の手助けとして利用できる要素は、チームで働き、信用を築く以外にはほとんどありません。ここでは、私が有益だと思ういくつかの手法を紹介します。
自分のチームを熟知すること
■意思決定者を見極めよう
大きな組織では、これらの人々を、うるさい出資者と呼びます。小さなチームでは意思決定者には会社の創業者やUI(ユーザーインターフェース)を初めに作ったエンジニアが含まれる場合があります。こういった人々を意識的に見極め、彼らを良く知りましょう。彼らを動かす原動力は何か? 彼らが毎日ワクワクしながら仕事に来るのはなぜなのか?
■ 彼らが使う言葉を話そう
意思決定者があなたのことを理解できるように、ご自身の意見を説明して下さい。ロゴの微調整の必要をあなたが確信している場合、意思決定フローを改善するか、特別な方法で機能を見せるかして、意思決定者が普段使う業界の言葉を使おうと努めて下さい。「人は、それを好むでしょう」とか、「よく見えるでしょう」では、エンジニアや最高経営責任者(CEO)の心に響くことはないでしょう。「人々は、さらにこの機能を利用するようになると思います」とか、「これは当社ブランドを強化します」の方が、より強い主張になるのです。
■ 相手の痛みを理解する
意思決定者がどのようなプレッシャーに直面するか考えてみましょう。自分自身が役員会で約束した内容に、社長が不安を感じているかもしれません。エンジニアが主要部分のソースコードのリファクタリングを行っており、UX (ユーザーエクスペリエンス) 管理者がプラットフォーム間の整合性を保とうと必死に努力しているかもしれません。プロジェクトを市場に出すための過程においては、こういった人たちすべての妥協があります。そしてその妥協多くは必要なものです。こういったプレッシャーに対して自分自身の決定に納得できない場合、それが会社にとって本当に正しい決定であるかを考えてみましょう。
信頼性の構築
■ データの裏付けを取ろう
自信をもって進言できるようにやるべきことをしましょう。モバイル優先のデザインアプローチをしていますか?あなたの製品のモバイルにおけるアクセス統計を示せるようにしましょう。新しいインターフェイスが大きな進歩だと思いますか?物的証拠をつきつけてあなたの社長が間違っているということを (親切に) 証明してあげられるように、素早くかつ賢い手を使ってユーザースタディーを行っておきましょう。
(参照 → http://www.gv.com/lib/the-gv-research-sprint-a-4-day-process-for-answering-important-startup-questions )
公開後、あなたのデザインの成功の様子を測定しましょう、あなたの決断を証明するだけでなく、次回同じアプローチを試したい時に「前回この手段で120%も効果が得られた!」と言えるように。
■ 議論からデザインへ
人々が抽象的に議論する時、デザインを決定することは困難です。幸運なことに、デザイナーはモノを作ることができ、それが概念と現実とを繋ぐ架け橋となります。仲間が適切な商品とは?研究とは?と議論している時、ペンと紙を取りまたはノートパソコンを広げ、大まかな表現ではありますが、考えているものを描くことができます。そうなるとそこには議論すべき現実的なモノが存在することになり、あなたがその議論の中心となるのです。
■ あらかじめ準備しておく
最大の難題は通常、プロジェクトの終盤に発生します。そのためプロジェクトの早期からチーム全体での協働に取り組むことが重要です。大まかなコンセプトを仲間と共有し、社内のエキスパートからのフィードバックを受けてみましょう。例えば、新しい価格設定画面があなたの会社の製品の購入スタイルに合っているのかどうかを、営業チームにたずねてみましょう。人は、自分にも関わる機能だと感じる場合には、その機能の構築を助けようと尽力してくれるものです。特に、エンジニアはできるだけ早期から関与させましょう。これは、エンジニアをパートナーとすることが非常に重要なだけでなく、彼らから得られる情報は常に、全体を優れたデザインにすることにつながるからです。
■ 先回りして準備しておく
これは、究極の対人スキルの一つです。それは関係者全員と仲良くしておくことです。もしプロジェクトマネージャーやエンジニアや経営者が、あなたとランチを共にするなら、あなたは重要な情報を真っ先に知ることになるでしょうし、頼み事もしやすくなります。生涯の友になる必要はありません。しかし人間関係の構築は努力を要しますし、頼みごとをする必要ができた時に人間関係を築こうしても遅すぎるのです。
■ 初めからテーブル席に着いていますか?
もし製品に根本的な不具合があるならば、これまで述べてきたすべての法則に従っても、あなたは素晴らしいデザインのプロダクトをリリースすることなどできません。理想は、初めの段階からすべての議論に関わって、アイデアのスケッチから具体的な計画の立案まで、全てに関わることができるとよいのですが、それは言うは易し行うは難しです。
一つの方法は、チームを少しずつ鍛え上げていくことです。簡単なプロジェクトから始めて、成功体験を積んでもらいます。誰かほかの人のアイデアを注意深く調べてそのデザインに改良を加え、どうしてそのような小さな改良が必要なのかを丁寧に説明します。その議論にあなたは勝つことも負けることもあるでしょう。けれどもそれでいいのです。でもそうして時間がたつうちに、あなたは内面まで深く理解し貴重なアドバイスをくれる人だと皆から尊敬の念で見られるようになります。
■ できる奴として名を上げるには
周囲に従うより、できる奴になりたいという意欲を見せ、新しいアイデアを実行しましょう。エンジニアが奇抜なアイデアを持ってきた?そのアイデアを否定する前に、一度やってみて共に話し合いましょう。プロジェクトマネージャーがそこそこの完成度のものしか要求しない?その要求に従いつつ、別の解決策を試し、両方の策を持ち寄って共に議論しましょう。
自分自身のアイデアを提案し、それをデザインとして表現しよう。皆が何をすべきか話し合っている隅っこで、自分のアイデアを採用し、本物の製品のような試作品を作るのです。いくつかの想像の段階を超えた自分のアイデアを披露し、それを製品化することができれば、組織内での自分の立場は向上するはずです。
■ 直接掛け合って会議に出席しよう
時には直接的なアプローチが最も簡単な解決方法となります。会社のビジネス手法や戦略的なあり方について理解を深めた方が、製品に関する意思決定でより良い判断が下せます --- あなたの会社の社長はそんな風に考えてみたことなどないかも知れません。上に立つ人間は意思決定に介入してくる競争相手を嫌う可能性があるので、彼らが抱くそうした怖れを和らげる必要があります。最初のうちは企画会議で発言せず、オブザーバーに徹すると約束しても良いでしょう。それからゆっくりと影響力を増して行けば良いのです。
役を演じきる
■ 冷静さを保て
靴をテーブルに叩き付けることで、あなたの思い通りにすることは可能です。そう、これはソビエト連邦の政治家フルシチョフの言葉の引用です。しかし声を荒げることは、あなたが我を失っていることの明らかな兆候です。人はあなたにアドバイスを求めることを避けるでしょうし、次からは筋の通った異議を申し立てるのを恐れるでしょう。誰がそんな人になりたいと思うでしょうか?
■ 夢中になること
こうした助言をすることは、あまり気が進みません。というのは、これは対人スキルの範囲をはるかに越えているからです。しかし、見たところデザインに夢中であることが非常に効果的であることに私は気づきました。幸運なことに、わざわざそんなそぶりをする必要はありません。実のところ、デザインの仕事に夢中だからです。
他の人々が、仕事に対するあなたの熱意を見れば、それは伝わり、彼らはそこに不思議な力を感じ取るかもしれません。ある活字書体デザインで、あなたが本当に幸せな気持ちになるとすれば、その書体デザインには素晴らしい合字(リガチャー)があり、読者の眼を文字から文字へとあらゆる場所にスムーズに運ばせるからです。興奮した面持ちで、なぜ合字が素晴らしいのかを、誰かに見せ、説明して下さい。とても単純なことです。人は夢中になっている人に協力するのが好きなのですから。
■ あなたに拒否権はありません
何よりもまず、「私がデザイナーだ」という印籠を出すことを避けましょう。信じようと信じまいと、デザイナー達は、自分の肩書きがデザインにおける審判を自らに与えていると明言することで議論に勝とうとしています。色の選択などの単純に見えるような決定でさえ、平易な言葉で説明できる明確な論理的根拠を持つべきです。デザイナーと肩書きの入った名刺を会議室のテーブルの上に出すような手段に訴えるということは、自分の信用を傷つけるようなものです。
結局、あなたの上司を喜ばせればいいのですか?
会社の指導部はそういうことを聞きたくないのかもしれませんが、このアドバイスを「あなたの上司を喜ばせるのが大切だ」と解釈しないでください。上司の要求に全て応えれば、近いうちにあなたは称賛を受け、昇給するかもしれません。しかし、長期的には、それはあなたの会社や顧客の役には立たないでしょうし、確実にあなたが素晴らしいデザインを世に送り出す役にも立たないのです。
このアドバイスは他人を操り、自分の思い通りにする方法の手引きではありません。あなたはもしかしたら以前、他人に気づかれないようにこっそり影響を及ぼし、思い通りにしてきたかもしれません。そんな闇の技がたくさんあります。もし闇の技を使えば、あなた自身は自分のことを賢いと感じるかもしれませんが、それではあなたのチームメンバーには好かれないでしょうし、最終的には自分の仕事で苦しむことになるでしょう。
これらのテクニックは、全て、あなたのチームや会社や顧客にとって素晴らしい結果を達成するため、皆で協力する方法についてのアドバイスです。批評、アイデア、洞察、アドバイス、、、あなたのチームは計り知れないほど貴重な資源です。しかし、その能力が最大限に発揮できるのは健全な関係を持ってこそなのです。
This article is licensed under a Creative Commons Attribution-NonCommercial License.
http://www.gv.com/lib/dont-let-team-politics-get-in-the-way-of-great-design
<< Home