ページ

4/22/2015

[&] Value Proposition Design



バリュー・プロポジション・デザイン刊行記念
イヴ・ビニュール博士講演会
------------------------------------------------
アリガトゴザイマス。

15年前にアレックスと、ビジネスモデルジェネレーションの本を作りはじめました。
その時の質問は、どのように成功するビジネスモデルを思いつくのか?
そこで思いついたのは、ビジネスモデルキャンバスです。

次に思いついたのは、ビジネスモデルの中に、どうバリュープロポジションを
生み出すことができるのかということです。
キャンバスの中に優れたバリューを作るには、まずお客様を理解するのが重要です。

まず、ビジネスモデルキャンバスは、あなたのビジネスを作るもので、
バリュープロポジションキャンバスはお客様の価値を考えるものです。
バリュープロポジションを作るのは、デザインをしていくことです。
目に見えるキャンバスを使って作業します。
デザイン思考という手法を使って新しい価値を生み出します。
これは選択、チョイスするようなものではありません。

実際に製品を作る前にテストしていきます。
すでにある会社では、製品を新しくしていく場合もあります。

新しい本のメインの章を紹介していきます。
初心者の方から、エキスパートの方まで、いらっしゃるので....

最初に話すのは、ビジネスモデルキャンバスです。
このキャンバスは自分に対しての価値、プロジェクトの価値を
ストーリーテリングで使うためのキャンバスです。
7つのピースについてお話しします。

AirBnB について。
オープンピアトゥーピア市場。ひとと人を繋ぐ、どこでも宿泊できるというビジネスです。
このビジネスモデルはどういうものになるでしょうか?
バリュープロポジションとしてあるのは、部屋を貸してくれる人、部屋を借りたい旅行者、
手数料の 3% が AirBnB の収入となります。
すでに空き部屋がある人であれば、空き部屋が貸せた場合、3% を AirBnB に支払います。

どのようにお客様にアクセスしてもらうのか?チャネルは?
AirBnB.com にアクセスします。
コミュニティを作りたいと考えています。
ここで、キャンバスに書き込むことでどこで何をするのかが、はっきりと解ります。
バックステージはお客様には見えないところです。

見えないところでは ITのインフラや、旅行のエキスパート、
データベースの中にたくさんの宿泊先が登録されています。
ここで、主要な活動は?
マーケティングの一貫として、宿泊客のフォローアップがあります。
サーバーのメンテナンスや、IT関係の仕事もあります。
予約をとったりする仕事もあります。

主要な活動の一貫として、お金のやりとりは paypal に任せたり、
カードや保険などは、専門の会社にまかせています。
綺麗な写真を撮るのもビジネスパートナーに任せています。

細かいコストに関しては考えないですが、
構造についてお伝えします。

バリュープロポジションは主要な大事な部分をフォーカスします。
その内容は.....

優れたバリュープロポジションを作り上げるには、
お客様の気持ちになるのが重要です。
まず簡単な方法として「何が欲しいですか?」
「どういったことをしているのですか?」とききます。
そこからより良いバリュープロポジションを作ります。

やるべき仕事、タスクがあります。
job to be done.
お客様はやるべき仕事をやらなければいけません。
飛行機で旅行する場合、チケットを予約して、..... チェックインするという細かい仕事があります。
お客様をより良く理解することで、価値を提供できると思います。
鏡として反映させるようなイメージです。

これからお客様とバリュープロポジションに関して説明します。
右側にある丸い方はお客様のプロフィールで、
お客様は見る、観察することが必要です。
左側の視覚は、デザイン、課題解決をし、
どう価値を提供できるか考えていく必要があります。

ビジネスモデルキャンバスは、どのような価値がもたらせるか?ではなく、
お客様にどういう価値を与えることができるのか?

HILTI という企業、
建設業に携わっている人向けのサービスです。
イメージとしては、ロールスロイスのようなハイブランドです。

このキャンバスにあることは、主要な事業としては、建設業者ですが、
注目するのは、マシーンツールです。
数年前に HILTI は競合他社の脅威に遭遇しました。
そこで、彼らは、お客様を理解しようとしました。
そこで彼らが気付いたのは、ツールを買うことが目的なのではなく、
一番の仕事は、ツールのメンテナンスと管理をすることです。
どこの現場にいつ届けるのかが重要だったのです。

お客様がやらなければいけないことを記入していきます。

 契約をきちんと行う。
 納期を守る、
 スケジュールを管理すること。

お客様の痛み、問題に思っていること、イヤだと思っていることを記入します。

 ツールを買う時、投資がかかる、
 ツールが壊れている
 盗まれてしまう
 ツールが届くのが遅れてしまう

これらに建設業者は悩んでいる。
お客様の利益については、どういったことを考えるのでしょう?

飛行機に乗る時に、飛行機の中に自分の席があるのは当然だと考えます。
期待はしないけれども、マッサージできたらいいなと考えたりします。

建設業の人は、契約でどれぐらいの収益、コスト、
新しいツールに対して、常にアクセスできるのか?
安全であるのか? が求められています。

お客様をきちんと理解することで、どういう価値を与えられるかが解ります。
ツールを売るということは、お客様の一番良い解決方法ではありません。

ツールが壊れてしまった場合は、すぐに新しいものに交換してくれるサービスもあります。
ツールオンデマンド、毎月の支払いで、新しいツールを使い続けられるサービスを開始しました。
どういったツールがいつ必要なのかを計画することができます。
これが HILTI が新しく考えたサービスの内容です。

バリュープロポジションで考えなければいけないのは、
新しい価値をどうつたえるのか?

HILTI の場合、お客様の悩みをどう解決するのか?
お客様のもっている悩みをどう減少させていくのかを考えていきます。
お客様の悩みとして、高い初期投資をかけずに、サブスクリプションで
新しい価値を提供していきます。

この gain creators で提供するのは、
もしあったらうれしい!ということをどう提供していくのか考えます。
ツールに対してすぐにアクセスできたり、すぐに交換できたり、
コストもそう高く無い。
ここでお客様のプロファイルにフィットすれば、良いサービスを提供できます。
お客様に対して、適しているものなのか? を考えます。
次に、実際のお客様が使ってくれるのかを考えます。
このビジネスは正しいものだったのかどうかを確認します。

まずビジネスモデルキャンバスで、ズームインしてお客様に注目して、
キャンバス間をいったりきたりする作業が必要です。
一番始めの HILTI のケースだと、あたらしい価値を生み出すことができたので、
ビジネスモデルの流れが大きく変わります。

まずここで話したいのは、AirBnB で部屋を貸したい人と、部屋を借りたい旅行者について注目しましょう。
東京に空き部屋を持っていて、スイスから旅行者が来たとします。
お客様がどういったことを行わなければいけないか?
その時、何が悩みの種なのかを考えます。

皆さんにキャンバスを渡しますので、どういった悩みの種なのかを考えていきます。
お客様のプロファイルでやるべきことを、見つけて載せていきます。

まずはお客様がやるべき仕事は、
部屋を管理する、部屋のクリーニング、ビジターを受け入れるなど。
悩みの種は、お客様が家を壊すかもしれない、お金のやり取りが難しい。
ケースとして、地元のホテルに訴えられるという稀な問題もあるかもしれません。
一番の課題は、収益があがるのか? という問題もあります。

1000ドル以上の収益がひと月にあがるのか?
来て頂いた宿泊客と良い関係が継続するのか?
お客さんになる可能性がある人を呼び込めるのか?
お客様のプロフィールを埋めた後は、どういう価値を提供できるのかを考えていきます。

サービスとしてはいろいろなことを管理しなければなりませんが....
それによる収益の 6% をとりますが、その他は部屋を貸した人、
安全な支払い方法を提供します。(ホストとゲストの両方から 3%)

いろいろな物を壊したとすると、100万ドル以内であれば、保険でカバーすることができます。
お客様が得るものとしては、世界中の旅行者にアクセスすることができます。
コミュニティに参加することができます。そういった利点を渡すことができます。

●バリュープロポジションのデザインとは?

選択し、意思決定をしていくものではありません。
どれに決めるのか?ではありません。
すでにある既存の3つの答えから選ぶのではなく、
新しい商品やサービスを作りあげていくのです。
その中から何がいいのかを選びます。

デザインをするプロセスにおいては、試行錯誤を重ねて、
一つのアイデアだけではなく、たくさんのアイデアを作り上げていきます。
プロトタイプでは、最初のアイデアに決めつけるのではなく、
いろいろ試して可能性を拡げていくことが重要です。

一番始めに思いついたビジネスモデルだけでなく、いくつか派生したものも考え
どれが良いのか?
ビジネスマンにとっては、数多くのモデルを作るのは難しいと思います...

Jim Glymoph 最初のアイデアと恋に落ちないでください。

3つのアイデアが思いついても一緒に出来ない場合、一つを選んで他の二つは捨てる必要があります。
一つしかアイデアが無い場合は、そのアイデアを捨てるのは非常に難しいことです。
この本の中ではどうテストしてプロトタイプを作るのかを紹介しています。

例えば、すごくいいアイデアが思いついたとしても、お客様ではなく、あなたの考えです。

まず、なぜビジネスが上手くいかないのか? お金?人材?
一番の理由は、誰も欲しく無いビジネスを作ってしまったからです。
一生懸命つくった製品を出したとしても、誰も欲しく無いものであれば....

ビジネスモデルを自社の中で作るというのは、すべて仮説です。
お客様はきっとこんなことに困っていて、こういうビジネスモデルが.... というのは全て仮説です。
考え方としては、研究所にいるような感じで、実際に検証してテストしていく必要があります。

プロセスはご存知かもしれませんが、リーンスタートアップのプロセスをとります。
小さな最小限の単位でプロトタイプを作り、それを元に測定をしていきます。
会議室での話し合いではなく、お客様との実際の情報交換が大切です。
お客様と話す時に、二つの反応があります。
すごい良い製品だね!と言ってくれても、実際に買ってくれるとは限りません。

たくさん、お客様のことを知るには、いろいろなツールが必要です。
お客様の情報をもとにビジネスモデルを作っていきます。
そうして仮説を検証します。
仮説においては、実際にはお客様が検証していきます。
一つの仮説において、非常に悪い反応であった場合、
キャンバスに戻って、作り直す必要があります。

これらの流れで、行っていくと、お客様からの情報がえられ、
買いたい!となったら、実際に作る。

1. バリュープロポジション
2. プロトタイプのテスト
3. それをどうやって検証していくのか?

進化においては、ビジネスには機嫌があります。
一つ、音楽業界を取り上げます。
音楽業界の流れをお見せします。
カセット→CD→ダウンロード

ビジネルモデルは、冷蔵庫の中のヨーグルトのように、いつか機嫌切れになります。
既存ビジネスを考えながら、未来に向けて新しい価値を、
前もって考えておく必要があります。
絶えず自分自身を改革させる必要があるのです。

Q. 四角と丸なのはなぜ?
A. 以前の本では、エンパシーマップ/評価マップを書いていました。
新しい形を考えた時、新しいものではないので、丸にし、
デザインをしていく必要があるので、四角にしてあります。
アランというデザイナーが居るのですが、すごく反発してきました。
ずっと違う形が欲しいと話していました。
ワークショップで試してみた時、とてもいい反応だったので、このままになりました。
すでに丸は観察して描くもの、四角は新しくデザインするものです。

Q. 価値提案を作る上で、自分のビジネスモデルを作り上げる点で、ヒントになること。
どうやってオリジナリティのあるものを作るのか?
A. アイデアはどこから来るのか?
アイデアはいろんなところにあります。
会社の資産を見直した時に、新しい価値を生み出せるかもしれません。
お客様、競合他社が解決できていない部分は、良いアイデアが生まれるところです。
AirBnB のケースだと、ホテルに行きたく無い、ホテルとは違った価値を提供できるということです。
会社の中に資産があった場合、まったく違った提案ができるかもしれません。

たとえば、Amazon は本を配達するだけでした。
ベゾズが新しいアイデアを思いつきました。15超ドルの売り上げがあって、Google と同じくらいの時、
Amazon のマージンが 2% の時に、Google は 20% ぐらいの利益率でした。
Amazon の中にすでに ITの資産が大量にあることがわかりました。
そこで、自社の中にある資産を使って、Amazon クラウドを提供することで利益を上げることを考えたのです。
ひっぱったり押したりしていろんなビジネスモデルを作ることができます。

Q. 最初のアイデアにこだわるのではなく、課題の全てを解決しなければいけない?
A. 書ききれないことは良くあります。たくさんある中でどこにフォーカスするかが問題。
スタートアップだとフォーカスしきれないこと自体が問題になる場合もある。
スコアリングシートがあって、一つの考え、仮説に対して、どこまで価値があるのか、
フォーカスするのかを決めることができます。

Q. 文化が違う時にどうしたら良いのか、国による違いなど。どのように影響するのか?
A. ビジネスモデルキャンバスは、はじめは 13ヶ国語で出版されました。世界中 700万ダウンロードされました。
ワークショップは、ヨーロッパ、アメリカ、アジア、いろんなところでやりました。
アンケートを行って、いろいろな情報を得ています。
このツールは非常にシンプルなので、いろいろな国の方に使って頂いています。
違いはみうけられませんが、使い方がちょっと違うかもしれません。

投資をするとかは、文化によって違います。
例えば、ビジネスモデルを作って、こんなのがすばらしい!といって作ります。
ビジネスモデルを持っていって、投資家に合うところが、国や文化によって違うと思います。
例えば、投資を行うという考え方から、シリコンバレーはリスクをとることを歓迎しますが、
日本ではリスクを回避したがったりしますが、
ビジネスモデルキャンバスの使い方自身は、文化や国で違いはありません。

大企業とスタートアップは、どの国をみても大きく違います。
新しい事業を始めるのは、大企業では難しいことです。
大きな会社は既存のことを実行するには良いですが、
新しい価値を作るのは非常に難しいです。
大きな会社は、新しい価値を生み出すよう、シフトしていく必要があります。

カルチャーマップというのをいま作っていて、自分の会社がどの位置にあるのかを考え、
そこから適切なビジネスモデルを考えられるようにしています。